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三里塚新やぐら裁判、裁判長の拙速指揮と対決

20171031d-1.jpg 10月30日、新やぐら裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、天神峰・市東孝雄さんの農地を絶対に守る気概で一致して全力で闘い抜いた。
 この裁判は、市東さんの天神峰の畑に立つやぐら・看板などの4つの物件について、成田空港会社(NAA)が、所有者である反対同盟に対し「収去と土地の明け渡し」を求めて訴訟を起こしたものだ。農地法裁判では、これら物件の所有者を誤って市東さん個人と特定したまま判決が確定している。新やぐら裁判は、この矛盾を突き刺し、ずさんでデタラメな農地強奪判決の執行を阻む重大な位置にある。
 今回弁護団は、NAAの明け渡し請求が無効である重大な理由として、農地の賃貸借契約の解除の条件である「離作補償の支払い」がまったく行われていないことを追及した。

20171031d-2.jpg 県知事が解約の条件として「支払い」を明記したのだから、それが実行されなければ解約は無効だ。だがNAAは、”市東さんが農業をやめて出て行く気配がないのだから「後払い」でいい”という態度をとっている。供託もしていない。要するに、「先に支払ったら実際に離作するまでの間の農業収益と合わせて二重払いになる」「強制執行で農地を奪った上で、後で金を押し付ければ十分だ」と主張しているのだ。
 弁護団は「二重払い」論について、離作補償をバックペイ(不当解雇された労働者に支払われる賃金)と混同した法解釈のまったくの誤りであることを批判した。
 さらに弁護団は、小作地の収奪は憲法第25条の生存権、同29条の財産権を侵すものであることを厳しく指摘した。
 NAA代理人は貝のような沈黙を通すばかりだ。
 「専門家証人の準備とその意見書の提出について、進行状況はどうなのか」と、内田裁判長が唐突に弁護団に尋ねてきた。「予定人数は? 意見書の提出時期は?」と矢継ぎ早に質問してくるのに対し、弁護団が現状と見通しについてていねいに説明する。それを聞くのももどかしい様子で、裁判長は「そんなには待てない」「努力が足りないのではないか」と高圧的に迫ってきた。
 何をふざけたことを言うか! 弁護団は複数の重要な三里塚裁判を同時に担い、多忙を極めている。専門家=大学教授なども年度の変わり目には特有の忙しさがある。何よりも市東さんの営農と生活がかかった重大裁判を、拙速で行おうとすることなど絶対に認められない。弁護団は怒りを込めて激しく抗議し、傍聴席からも怒声が裁判長に集中した。
 内田裁判長はなおも執拗に「早さ」を求め、来年の期日を1、3、5、7月と隔月で入れようとしたが、弁護団の抗議で、次回期日1月22日、次々回が4月16日となった。
 裁判長はさらに「7月には必ず期日を入れたい」と一方的に言い、7月9日を指定してきた。半年以上も先のことだ!
 閉廷後に近くの会場で報告集会が、伊藤信晴さんの司会で開かれた。
 最初に萩原富夫さんが、「裁判所の思い通りにはさせない。請求異議裁判、耕作権裁判をはじめ、すべての裁判毎回が真剣勝負。全力で闘う」とあいさつした。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ、各弁護士が内田裁判長のむき出しの拙速裁判衝動を強く弾劾し、「権力中枢=最高裁からの圧力があることは間違いない」と断じた。
 質疑応答を経て、最後に太郎良陽一さんが、芝山町で5日間連続して開かれた空港機能強化見直し案の「説明会」に対し、反対同盟が住民とともに追及行動に立ったことを報告し、11・6請求異議裁判とデモへの結集を熱く訴えた。
 午後に反対同盟と支援連は千葉市の繁華街で情宣活動を行い、11・6に第3次提出を予定する農地取り上げ強制執行反対署名を労働者・市民に訴えた。(TN)

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