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三里塚耕作権裁判――文書隠しのNAAを徹底追及

20180220a-1.jpg 2月19日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で天神峰・市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。
 開廷に先立つ午前9時、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者・農民・学生・市民110人は千葉市中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で総決起集会を開いた。
 最初に伊藤信晴さんが発言に立った。「NAA(成田空港会社)は市東さんを”不法耕作者”として提訴したが、自分たちに不利となる文書を黒塗りにし、あるいは隠し続けている。盗人猛々しいとはこのことだ! 安倍首相は1月22日の施政方針演説で、改憲とともに、羽田・成田空港の容量を世界最高水準の100万回にまで拡大すると言明した。住民の騒音への怒りは一層高まっている。われわれの”農地死守・実力闘争”の原則は圧倒的に正しかった。空港機能強化を空港もろとも粉砕しよう」
 続いて動労千葉の田中康宏委員長が連帯発言を行った。「内房線・外房線切り捨てに反対する沿線住民の声が高まり、北総では反対同盟を先頭に空港機能強化案反対の決起が続いている。房総半島から新自由主義と対決する大反乱が始まろうとしている。安倍の改憲と戦争を阻止するため、すべての闘いを再組織しよう」
 さらに関西実行委と市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げて、寒風を突いてデモに出発した。最先頭に市東さんが立ち、宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが、「農地取り上げを許さない」と市街のすみずみまでアピールを響かせ、デモは千葉地裁に迫った。

  地裁ロビーには異様な光景が現出していた。千葉地裁では2月13日から、入館者全員に対する検問・手荷物検査が始められていた。総出の裁判所職員が所狭しと配置され、傍聴希望者は細かく仕切られた通路に並ばされて、中央に置かれた金属探知機をくぐらされる。しかもカバンを開いて見せることまで強制されるのだ。怒りと抗議の声が各所で上がり、ロビーは大混乱状態に陥った。
 10時30分に開廷すると直ちに、反対同盟顧問弁護団はこの手荷物検査強制に対し徹底的な弾劾を裁判長にたたきつけた。傍聴席からも怒りの声が次々と飛んだ。内田裁判長は、「私が指示したわけではない。庁舎管理者が実施している」などと他人事のような弁明をする。「東京地裁でさえ、入館時にカバンを開けることまでは強制されない。こんな人権侵害は許されない」と40分にわたり徹底抗議すると、裁判長は裁判官合議の末にやっと、「ご要望があったことは管理者に伝える」としぶしぶ語り、ようやく審理に入った。
 弁護団はすでに、大部分が墨塗りされた形で開示された証拠(乙85)を含め、空港公団(NAAの前身)と旧地主、さらに小作者であった石橋、根本、鈴木各人との用地買収の交渉記録をすべて明らかにするよう文書提出命令申立を行っている。今回弁護団はそれを補充する形で、「交渉記録」という表題のものにとどまらず、関連する調査書・報告書などのあらゆる文書を出すことを厳しく求めた。
 原告NAAは、昨年12月に出した準備書面で、「文書は探したがなかった。詳細な調査をしたが見つからなかった」などと居直っている。弁護団は今回も、「どこをどう探したというのか。具体的に明らかにせよ!」と一層鋭く迫った。NAA代理人の和田衛(元東京地検検事)はあからさまに「やる気ゼロ」の態度を示しながら、「見つからなかった」と空疎な言動を繰り返し、ついには「文書作成者はすでに死亡しているのでわからない」と言い放った。これには市東さん自身が怒り、「死んでも記録は残っているだろう!」と和田を弾劾した。傍聴者の怒りの声も収まらず、「ごまかしはやめろ!」などの声が飛んだ。
 NAAに向け裁判長は、「次回までの反論の中でその点(どこを探したか)にも触れられればいいのかなと思う」などと言う。「もっと巧妙にやれ」とのアドバイスに聞こえる。
20180220a-2.jpg 次回期日を5月14日、次々回を9月3日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。市東さんは、「NAAは裁判長にまかせきり、裁判所は早く裁判を終わらせたいという態度が見え見えです。毎回の裁判で今日以上に追及しましょう」と一同に奮起を促した。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、裁判長に擁護されたNAAの文書隠し、そして地裁の手荷物検査強行を強い怒りで批判した。さらに弁護団は、請求異議裁判をめぐる千葉地裁民事第5部との折衝を報告し、証人調べについて高瀬順久裁判長が不当な圧力をかけてきていることを明らかにした。
 太郎良さんは、現地情勢の報告を行い、空港周辺の9市町はこの日(19日)会合を持ち、さらに28日に国交省・NAA・千葉県を加えた「4者協議会」を開いて、空港機能強化案の最終的受け入れを決定しようとしていることを暴いた。そして、拡大する住民の怒りと結びつき3・4芝山縦断デモに立ち、さらに3・8請求異議裁判で再び千葉地裁に結集することを熱を込めて訴えた。(TN)

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