4・1三里塚全国集会―農地死守、機能強化粉砕を誓う
4月1日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国総決起集会が、成田市栗山公園で開かれた。
快晴に恵まれ、桜が咲き誇る会場に全国から700人の労働者・農民・学生・市民が結集し、天神峰・市東孝雄さんの農地を守り、第3滑走路建設・成田空港機能強化攻撃を粉砕することを誓い合った。
本集会に先立ち、全国労組交流センターと全学連が主催する独自集会がかちとられ、この中で、泉州住民の会代表の中川いくこさんが、5月泉佐野市議選勝利への決意を表した(本集会でも婦人民主クラブ全国協とともに登壇)。全学連の斎藤郁真委員長は、農地を守る実力闘争の先頭に立つ気概を示した。
正午、司会の太郎良陽一さんが開会を宣言し、伊藤信晴さんが主催者あいさつに立った。全学連が機動隊と激突し三里塚実力闘争の原点となった、1967年2・26の成田市営グラウンドの闘いが正にこの地で爆発したことを確認し、市東さんの農地決戦と、空港機能強化を打ち砕く闘いに、絶対に勝ち抜くことを宣言した。
続いて、基調報告を東峰の萩原富夫さんが行った。 ①市東さんの農地をめぐる請求異議裁判が証人調べに入る。5月24日には、1971年の大木よねさんに対する強制収用現場に立ち会った加瀬勉氏と小泉英政氏の証人尋問、6月28日には萩原さんの証人尋問と市東さんの本人尋問が行われる。開廷前のデモと裁判傍聴闘争に全力で立とう。
②4者協議会(国、県、周辺9市町、空港会社)が開かれ、大規模移転と騒音地獄を強制する機能強化が「最終合意」された。住民無視の暴挙と対決し、新たな北総住民の反乱を巻き起こそう。
③沖縄、福島と連帯し、戦争・改憲の安倍政権を打倒しよう。全国の住民運動とつながり、国際連帯・労農連帯をさらに強化しよう。
以上三つの課題・方向を鮮明に提起し、今年も天神峰・樫の木まつりを7月8日に開くことを確認し、現地への結集を訴えた。
連帯のあいさつの最初に、動労千葉の田中康宏委員長が立った。3月30~31日の検査派出縮小反対のストを報告をした上で、農地決戦と第3滑走路・機能強化との闘いがいよいよ正念場を迎えたことを確認し、「本日は新たな三里塚闘争の出発点」と位置づけた。そして東労組切り捨てという形で起きているJR大再編を「改憲攻撃と一体」と鋭く指摘し、3・25日比谷集会で発足した改憲・戦争阻止大行進運動を推進することを力強く宣言した。
関西実行委に続いて、全日建運輸連帯労組・関西地区生コン支部の西山直洋さんが発言した。排外主義勢力と対決してかちとった春闘を報告し、国策に立ち向かう三里塚を労組として支援することを誓い、「安倍を引きずり下ろそう」と熱烈に呼びかけた。
市東孝雄さんが登壇すると、ひときわ大きな拍手と歓声が起きた。市東さんは、「裁判でどのような判決が出てもそれで終わりではない。天神峰に住み、畑を耕し、農地を守ることが私の生きがい、闘いだ。沖縄・福島と連帯し、みなさんの力をもらってがんばる」と述べ、その泰然自若としたたたずまいが参加者の胸を熱くした。
反対同盟顧問弁護団が登壇した。事務局長の葉山岳夫弁護士は、騒音が健康に及ぼす深刻な影響を暴露して成田を「殺人空港」と断じ、請求異議裁判の7月弁論打ち切りの暴挙を許さず全力で闘うことを誓った。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」と各地の「農地を守る会」が壇上を埋め、発言した。「守る会・群馬」の清水彰二さん(群馬合同労組委員長)は、「三里塚の地平を労組と地域の力にして勝利しよう」と訴えた。
緑色ののぼりを林立させて全国農民会議が登壇し、新潟の秋山和雄さんが発言した。日本農民が置かれている過酷な現状を描き、「資本主義ではもはや農民の生活は成り立たない」と結論付け、三里塚とともに日本農民運動を作り変えていくと約束した。
婦人行動隊・宮本麻子さんのカンパアピールに続き、反戦歌手・川口真由美さんが登場。3・25に続き今回もギター弾き語りで闘いの歌を響かせ、会場の熱気を高めた。「反対同盟の歌」では文字通り反対同盟が総出で参加し「誇りも高き農地死守」と合唱した。
司会を宮本さんに交代し、椎名千恵子さんが福島からの連帯発言に立った。発言を予定していた希望の牧場の吉沢正巳さんが、「右翼が大挙押しかけるので牧場を守る」とのことで代わったことを説明した。そして今年の3・11反原発福島行動の意義を確認し、国が放射線による健康被害をごまかしながら五輪と戦争を進めることに激しく怒り、三里塚とともに勝利することを訴えた。
沖縄からの発言に続き、「若狭の原発を考える会」の木原壯林さんの連帯メッセージが代読された。
さらに全国水平同盟の久原正子委員長、婦人民主クラブ全国協議会、星野さんをとり戻そう!再審連絡会議、動労水戸の石井真一委員長などが発言に立ち、自らの現場と結んで三里塚の勝利をかちとる決意を表明した。この中で星野再審連絡会議共同代表の戸村裕実さんは、高松で開かれる6・3星野文昭さん解放全国集会への参加を呼びかけた上、戸村一作・反対同盟委員長が50年前にこの地で機動隊の殴打を受けて、実力闘争への自己変革を開始したことへの感慨を表した。
最後に北原健一さんが発言に立った。「50年前のここでの集会で、市役所に向かう坂を機動隊が埋めていた。三派全学連委員長の秋山勝行さんが、”国家権力・公団から市役所をわれわれの手に奪い返し、デモを貫徹しよう”と呼びかけた。人民の手本となるような闘いを動労千葉、全学連が、そしてわれわれ反対同盟が闘ってきたことを感じる。この力で闘おう」
最後に太郎良陽一さんが、「強制執行が襲いかかってきたらこの場の全員が天神峰に駆けつけよう」と訴え、力強く団結ガンバローを三唱した。
長蛇のデモ隊列が会場から成田市内に繰り出した。「市東さんの農地を守ろう」と大書された横断幕が高々と掲げられ、反対同盟が先頭に立つ。宣伝カーからは宮本さんが農地死守、機能強化反対を大音声で訴えた。
国道51号線から成田山の新参道へ。沿道では住民・店員・観光客など多くの人びとがデモの迫力に注目している。満開の桜並木の電車道(路面電車跡)を進むと、空港拡張を推進する成田商工会議所の建物が現れ、デモ隊は徹底的に弾劾した。
さらにデモは成田市役所に迫り、市東さんをはじめ市民の生活を犠牲にして空港の利害を優先する市政への怒りをシュプレヒコールにしてたたきつけた。
全参加者の力で、大量動員された警察・機動隊・私服刑事に一指も触れさせず、成田市を席巻し再び栗山公園に到着するデモを貫徹した。(TN)
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