韓国・民主労総がゼネスト 最低賃金制改悪に怒り ムン政権と激突、国会包囲
最低賃金法の改悪案が韓国国会の本会議に上程された5月28日、民主労総は最低賃金法改悪阻止を掲げて全国14カ所でゼネスト大会を開催しました。
この日、金属労組を先頭に全国で組合員が2時間以上のゼネストに突入。現代車や韓国GM、起亜自動車などの主要自動車メーカー、さらに、現代重工業など、金属労組だけで約8万人が参加しました。ソウル・ヨイドの国会前には、5千人以上の労働者が駆けつけて闘いました。
賃金額上がっても手取りは増えない
ムンジェイン政権が国会で強行採決した最低賃金法の改悪案は、資本がこの間進めてきた「最低賃金無力化」攻撃を、法の名において追認するものです。
法改悪の核心である最低賃金の「参入範囲拡大」とは、毎月1回以上支給される定期賞与金に加えて、食費、交通費、宿泊費など福利厚生費が一定の額以上であればそれらも基本給にプラスし、最低賃金に含めるということです。
韓国の賃金体系は、基本給の割合を非常に低く抑え、各種手当や賞与の割合を高くする構造とされてきました。そこへこのような法改悪を強行し、基本給そのものをかさ増ししてごまかそうというのです。見せかけの「最低賃金」は上がっても、労働者の手取りは1ウォンも増えない――この最低賃金法改悪は、数字を好き勝手に操作することで、最低賃金という概念そのものを根幹から破壊する行為に他なりません。
政府の「年俸2500万ウォン(約250万円)以下の労働者は算入範囲が拡大されず、被害がない」との主張にも根拠などありません。法が施行されれば、適用対象が際限なく拡大していくことは明らかです。
そしてこれを合法化するために、「意見聴取」を行いさえすれば労働者の同意を得なくても資本が意のままに就業規則の不利益変更を行えるようにするというとんでもない内容まで盛り込まれました。
労働者自身の手で現実くつがえす時
そもそも2018年度の最低賃金大幅上昇(2017年度6470ウォン→18年度7530ウォン)は、パククネ前大統領を打倒した「ろうそく革命」を通じて労働者が実力で闘いとったものです。非正規職の青年労働者を先頭とした労働者たちは「最低賃金1万ウォン」をスローガンに、労働者の生存権の保障を求めて闘いぬきました。
しかし与党である共に民主党は、適用からたった5カ月でこの成果を奪い取ったのです。しかもあろうことか、「最低賃金で働く労働者を保護するため」などと言いなし、労働者民衆が解体を求めてきた自由韓国党(パククネ与党のセヌリ党が前身)と合意してこの改悪を推進しました。
ゼネスト大会で民主労総のキムミョンファン委員長は「パククネ政権にもできなかったことを、積弊清算をうたうムンジェイン政権が行っている。財閥と資本の利益を優先してきた積弊勢力と変わらない」「ムンジェイン大統領は私たちの怒りに応えろ」と弾劾しました。集まった組合員たちが怒りに燃えて国会へと進撃すると警察権力は車両を並べて阻止線を張り、激突となりました。
ムンジェインは「南北融和」「統一」ムードの醸成により支持率を上げる一方で、労働者の生活を破壊する法改悪に手を染めたのです。労働積弊清算こそが最大の焦点であり、民主労総ハンサンギュン前委員長が出獄に際して述べたように「労働尊重の世の中は労働者の団結した力で実現しなければ蜃気楼(しんきろう)にすぎない」ことが示されました。
民主労総は、6・30「最低賃金1万ウォン、非正規職撤廃ゼネスト総力闘争宣言全国労働者大会」に向けて闘いを組織しています。韓国の仲間とともに、「働き方改革」法案粉砕へ!
〔写真〕〈上〉5月28日、国会前に駆けつけ抗議した民主労総の組合員たち
〈下〉環境労働委員会が改悪案を審議する中、国会前での決意大会を終えた労働者は警察の弾圧にも引かずに闘った(5月21日)
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