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SKさくら交通労組 職場の怒り背景にスト 正規・非正規一体で

20180621e-1.JPG 北海道札幌市東区のタクシー運転手の労働組合である、自交総連SKさくら交通労働組合は、6月5日午後5時から本採用(正社員)3名の24時間ストライキに立ち上がりました。今回のストライキは、組合としては昨年12月20日の24時間ストライキに続く2度目のストライキとなりましたが、前回を上回る大きな団結をつくりだす闘いとなりました。
 事の発端は、6月の夏季賞与をめぐり4月末に会社が「嘱託社員(1年雇用の非正規社員)の夏季賞与のランクを変更する」と言い出したことにあります。会社全体としても、私たちの組合としても、正社員は少数派で、嘱託社員が多数派(7割)を形成しています。組合はこの問題を総力で取り組むことにしました。

 嘱託社員の賞与は本人の半年間(夏季賞与の場合は11月21日~5月20日まで)の売上総額に対して1%から7%までの7段階のランクを設定して支給されます。このランクのハードルをそれぞれ10%引き上げると会社は言ってきたのです。7年に渡って固定されてきたランクを1か月前に突然変更すると言われたことに対して、それを知った嘱託社員は誰もが怒りと疑問に包まれました。4月27日に会社と組合の話し合いが行われましたが、会社はその場で、「これは団交ではない、嘱託の賞与は会社が一方的に決めることができる。あくまで紳士的なお知らせである。」と言いました。ランクの変更(実質的な賃下げ)についても、「個々の売り上げは伸びているので、ランクを変更しても前年対比でほぼ賃下げにはなっていません、ジャパンタクシー導入など経費が掛かっている」などと言いました。組合は「支給直前に会社が一方的に決めて、交渉もしないなど到底納得できない」と抗議しましたが、会社は姿勢を変えませんでした。
 組合は全体会議を開催し、執行部からは本採用も嘱託もストライキで闘うという方針を提起しましたが、嘱託社員から雇い止めの不安が出され、議論した結果①本採用3名が24時間ストライキを構えて次回団交を行う。②ストの場合スト参加者を支援するため嘱託社員は有休をとれる人は取って、極力全員がスト突入集会に参加する。③全社員に呼び掛けて「会社決定の撤回」を求める署名を集めて提出する。④労働委員会に申し立てる。という方針を決定しました。
 職場全体にこのことを知らせるビラまきを行い、さらに今回初めての試みとなる、職場での署名活動に取り組みました。署名活動は私たちも驚くほどの大きな共感が寄せられ、わずか2日間で、全社員175人のうち7割を超える125名から署名が集まりました。この職場全体の怒りを背景に組合は5月31日の団交に臨みました。
 団交では、会社は「嘱託の賞与は会社が一方的に決定できる。」とこれまでの主張を繰り返し、「皆さんは数字のための争いなんでしょう。1円玉、百円玉の世界なんでしょう。」という態度でした。しかし組合が125名の署名を提出すると態度が変わりました。署名用紙をめくる眼が泳いでいるのが分かりました。明らかにショックを受けていました。そこには全自交労組(幹部は会社の言いなり)も署名しています。組合は「7割以上が撤回を求めている、この125人がストライキをやってもいいのか?」と会社の姿勢をただしました。会社は「125名の署名は大きなこと、真摯に受け止めます」と言わざるを得ませんでした。組合側の「せめて説明会をやらないのか?」という追及に対して「やったほうがいいとは思う。」「文書での説明ではだめか?」と言い出しました。組合は、「説明会をやるのならスト解除も検討する、紙切れ1枚では伝わらない」と答え、会社は検討することになりました。125名の力で会社はぐらぐらになりました。
 後日、会社から「文書で説明したい」と回答がありましたが、組合は大きな勝利感の中でストライキ突入を宣言し、そのことをビラで全社員に知らせました。そのビラまきの過程で、「嘱託のために本採用がストライキをやってくれるのか?」と驚きの声が上がり、ビラをまいている最中に、「組合に入るよ」と組織拡大が実現されました。
 スト当日は、4時半からスト突入集会を開催しました。本採用3人に加え、嘱託社員7人が参加し、内5名が有給休暇を取って集会に参加しました。集会では、当該の嘱託労働者が司会を担い、嘱託社員全員が発言しました。まさに、正規と非正規が一体となってストライキとスト集会を勝ち取りました。感動的で歴史的な闘いとなったと思います。
 会社はこれに対して、スト当日に「部外者立ち入り禁止」の立て看板を急きょ設置し、集会の終わりごろには、北海道警察の私服刑事3名が弾圧を狙って「道交法77条に定められた道路使用許可を取っていない」などといちゃもんをつけてきました。
 さらに、ストの4日後に委員長に対して「スト集会に参加した者には、有休を認めない」「これは動労千葉の津田沼事件の最高裁判決でも出されている」などと言ってきました。
 組合では議論を重ね、①どのような理由で有休をとろうが労働者の自由だ。②スト参加者を支援するための有休取得は正義である。③今回のストライキに対するあらゆる会社の敵対行為は絶対に許さない。という3点の立場を確認して闘っています。この一連の闘いによって、組合は本当に貴重な経験を積み重ね、個々の確信を深め、確実に団結を強化し拡大しました。
 7・1国鉄闘争全国集会に向けて、これからも全国の皆さんと共に闘っていきます。(自交総連SKさくら交通労働組合委員長・河野晃興)
写真正規職・非正規職の組合員が固く団結してストライキ集会をかちとった(6月5日 札幌市)

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