韓国 鉄道民営化阻止へ正念場/施設業務の分離許すな
韓国で鉄道民営化阻止の闘いが重大な局面を迎えている。6月27日、「鉄道産業発展基本法」第38条の改悪案が国土交通委員会交通小委員会に提出された。法改悪の核心は、鉄道の安全を守る上で決定的な役割を果たす鉄道施設の維持保守業務を、韓国鉄道公社(KORAIL=コレール)から分離することだ。
2003年、ノムヒョン(盧武鉉)政権が進めた「鉄道構造改革」で、民営化の地ならしとして鉄道の運営(上)を運営会社が担当し、施設(下)を国家が所有する上下分離体系とする鉄産法制定が強行された。この攻撃に対して鉄道労組はストで闘い、組合員100人が解雇され7千人以上が懲戒処分となった。この過程で紆余曲折(うよきょくせつ)を経て作られたのが、鉄道施設の維持保守業務を鉄道公社に委託すると規定した鉄産法第38条の但し書き条項だ。同条項を削除する改悪法案はまさに鉄道民営化推進法案だ。
鉄道労組、今秋総力闘争へ
法が成立すれば、鉄道公社に一元化されていた維持保守業務の民間移管が可能となる。鉄道労組は昨秋以来「列車の安全のために、運営と維持保守業務が有機的に統合・一元化されなければならない」と主張して闘ってきた。実際、維持保守業務を外注化したソウル地下鉄では青年労働者の死亡事故が起きている。
鉄道労組は、鉄道分割・民営化推進とSR(高速列車などを運営する、鉄道公社の子会社)への「不当特恵」糾弾を掲げて6月8〜15日に順法闘争を行った。15日にはソウル駅近くに約4千人が結集し、総力闘争決意大会を開催。鉄道民営化推進法破棄、鉄道統合などを訴えた。
東京で行われた6・18国鉄闘争全国集会にビデオメッセージを寄せた鉄道労組のチェミョンホ委員長は6・15決意大会で「闘わなければ民営化に押し流されていく。鉄道労働者の暮らしを守り鉄道の公共性を守るために、すべての手段と方法を動員して準備する」と決意を明らかにした。
さらに、公共運輸労組委員長は「公共機関を民間の餌食とするために、ガス、電気、送電をすべて民営化しようとするユンソンニョル政権、保守メディア、企業は一体だ」「公共運輸労組25万組合員と民主労総120万組合員が鉄道労働者の闘いを援護する」と、鉄道民営化阻止の闘いを全国的な共同闘争として打ち抜き勝利することを全組合員に熱烈に呼びかけた。
鉄道労組は7月宣伝戦と8月の第2次総力決意大会、全国での地域別闘争を経て9月ごろの総力闘争突入を予定している。13年の高速鉄道民営化反対ゼネスト(23日間)、19年の成果年俸制阻止ゼネスト(73日間)に続く4年ぶりの全面闘争となる見込みだ。
維持保守分離は安全破壊
今回の改悪法案を提出したのは野党「共に民主党」のチョウンチョン議員だ。SRが運営するスソ(水西)発着の超高速鉄道SRTや首都圏広域急行鉄道GTXなどが登場している現状を認めながら、列車の運営と駅の運営、維持保守業務の主体がそれぞれ異なる一部の路線をやり玉に挙げて「鉄道公社が維持保守業務を独占してはならない」などと言うが、問題の根本原因は上下分離の強行にある。しかも、法改悪が不可避にもたらす安全崩壊については一切言及しておらず、対策も講じていない。
検察出身のチョ議員は歴代政権で要職に就き、イミョンバク政権では「国家情報院院長特別補佐官」を、パククネ政権では「政府青瓦台民政首席室公職紀綱秘書官」を務めた。労組弾圧で悪名高いキム&チャン法律事務所の弁護士として活動した経験まであり、国家権力中枢の利害を代弁する人格だ。ユンソンニョル政権の別動隊として民営化の先兵を買って出ているのだ。
「ユンソンニョル政権と対決し、労組民主化の成果を守り、より発展させ、民衆のための鉄道に向かって力強く進んでいきます」(6・18国鉄集会への鉄道労組ソウル地方本部からのメッセージ)と宣言して闘う鉄道労組と固く連帯して民営化阻止・戦争阻止の闘いを前進させよう。
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