退任あいさつ 僕らの行動が社会を変える 斎藤郁真さん(法政大学)
今回の大会は多くの初参加者がいて、活動的学生が結集して高めあう場として全学連運動が成長していると感じます。学生の主体的活動を一掃する攻撃は特に2000年以降に激しくなり、法大闘争を通して〝生き残った〟のは僕らだけだった。だから僕らが今、すべてを引き受ける。
全学連は「大学改革」=「大学の商業化」の問題に突き当たっています。それと激突して、学問を踏みにじるのはいつも資本家であり、資本家に対抗するために学生は労働者とともに闘う、学問を正しく使えるのは労働者階級だけだ、という立場を実践の中からつくってきました。
秋の闘いは、「今の学生を前提にする」ことではない。情勢に応じて考え方は変わります。安倍政権は「教育の無償化」も含めて「改憲が必要だ」と大キャンペーンを始める。これに対して僕らは、大学と国のあり方をめぐる一大論争を巻き起こす。敵が国民投票までにすべての闘いをつぶそうとすることに対し、9〜11月に全力で改憲阻止決戦を構える。時代を見据え、個別の闘争をすべて改憲阻止につなげていく。
重要なことは、「実力闘争で勝てる」という認識です。「世の中おかしい」という人が多い一方、「闘っても別に変わらない」という無力感も広範にある。そうした現実を今年の京大立て看板攻防は打ち破った。改憲攻防の中で、立て看板闘争を全国に拡大し、すべての学生が団結する。結局、僕ら自身の行動がすべてを決めていく。
全学連運動の「象徴」として委員長はあり、時代や運動の要請を引き受けました。私は2011年3・11福島第一原発事故の半年後の9月に委員長に就任しましたが、そこからの7年間の特徴は「法大闘争の地平を全国へ!」を掲げて学生自治会再建運動を開始したことです。全学連運動がすべての学生を包摂する団結をつくる、そのために全学連運動のあり方を変える。これが私の象徴的任務でした。
学生自治とは学生が自分たちで政治を行うことですから、どこまでいっても「凡人の政治」です。凡人が社会を変えられる、学生自身で政治をできると証明する。これが学生自治運動の特徴です。私は委員長になった当時は自分の〝凡人さ〟が苦痛でしたが、今から考えればそれが自治会再建運動では大事でした。学生自治を発展させようとする時、「強力な個人による運動」は考えられません。どうやって「ただの人間」がみんなの力で学生自治の発展をめざしうるか、ということを私はずっと考え、今後の全学連運動の成長へ大事な試練をいくつもくぐってきました。
全学連が飛躍の時代に入る、すべての学生が団結できる運動体としてよみがえる――今回の大会がその礎になった気がしてうれしく思います。東大生の新委員長なんてこれまでは考えられなかったわけで、希望あふれる時代が始まりました。私たちがつかみ取ってきた「希望」をみんなのものにする。
私の夢は「人間の可能性を証明する」ことです。私が法大闘争を開始した時、法大当局の切り崩し攻撃の中で、これまで一緒に運動してきたサークル員の仲間がわずか1週間で一気に運動から離れていくことがありました。そういう人間を「自立型人材」として育成する大学に、私は心底ブチ切れました。
私たち学生は、60年闘争―70年闘争と社会を揺り動かした歴史を持っています。人間は変われるし、逆に変えられてしまうこともある。私はこれに絶対に勝ちたかった。これが私が運動にかかわり、革命をやるべきだと考えた最初のきっかけです。闘いを通して、凡人が凡人のまま、労働者階級の革命を必ずなしとげたい。その一環として学生運動を闘ってきたのが私の姿勢です。運動をやれば矛盾を感じるし、それをのりこえて闘いは爆発する。今の自分の困難は、すべて次の時代の笑顔のためのものです。ともに人間の可能性を証明しましょう。ずっとありがとうございました!
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