三里塚請求異議裁判で農地強奪認める極悪の反動判決(詳報)
12月20日、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの請求異議裁判で、千葉地裁民事第5部・高瀬順久裁判長が下した判決は、市東さんの訴えをすべて棄却し、天神峰と南台の農地を奪う強制執行を認める極悪の反動判決だった。
この日、反対同盟と全国から駆けつけた労働者・農民・学生・市民総勢190人は、開廷を前に正午から千葉中央公園で総決起集会を開催し、「農地死守」の気概にあふれて千葉地裁までのデモ行進を行った。地裁庁舎周囲は大量に動員された警察・機動隊による厳しい弾圧態勢が敷かれている。法廷内もいつにも増して屈強な裁判所職員が多数配置され、NAA(空港会社)の代理人は逃亡し空席だ。
生きる権利を主張する労農学人民とそれをつぶそうとする国策との苛烈な激突の場として、法廷は一気に緊張が高まった。
午後2時、高瀬裁判長が開廷を宣し、直ちに判決の言い渡しを行った。
「主文、原告の請求をいずれも棄却する。本件に付き当裁判所が出した強制執行停止決定は、これを取り消す」
「なんだと」「ふざけるな」「農地強奪判決を許さない!」との怒号が傍聴席から即座に投げつけられた。
高瀬は淡々と判決理由の要旨を読み上げる。
「請求異議事由に該当せず、そもそも強制執行権の放棄ないし不執行の合意は認められない」
「農地を転用して空港施設を整備することには公共性がある」
「強制執行は権利濫用とは認められない」
これらの一語一語が、市東さんの農民としての命を奪おうとする攻撃だ。
かつて空港公団(NAAの前身)は、「二度と強制的手段はとらない」と社会的に公言した。だがこの判決はそれを市東さんの農地をめぐる本件裁判とは「関係ないもの」と決め付けて、NAAのダブルスタンダードを容認し、強制執行にお墨付きを与えたのだ。
高瀬裁判長はわずか2分程度の言い渡しを終えると逃げるように去った。法廷には怒りの抗議が渦巻き続けた。
裁判所正門前で結果を待つ人々に「不当判決」の結果が知らされると、全員の怒りが爆発し、裁判所に激しく詰め寄り、シュプレヒコールが何度もたたきつけられた。
千葉県弁護士会館の大会議室で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立った。
「絶対に認められない不当判決であり、直ちに控訴しました。しかし判決が出たからそれで終わりではない。今日の判決でかえって自分としては、一つけじめが付いたという気持ちです。ですから空港会社がどんな攻撃をかけてきても、それに立ち向かい、あそこの農地を絶対に死守するという気持ちでこれからもがんばります」
この不動で鮮烈な決意が参加者の胸を激しく打ち、大きな拍手と歓声が会場を満たした。
続いて葉山岳夫弁護士が、控訴手続きと合わせて東京高裁と千葉地裁に対し強制執行停止申立を行ったことを報告した。そして高瀬判決を、農地法裁判一審での極悪の多見谷判決をフォローするものと断じ、「この違憲・違法の不当判決を打ち破るために全力を挙げる」と決意を述べた。続いて弁護団全員が不当判決を弾劾し、控訴審への決起を呼びかけた。
最後に東峰の萩原富夫さんが「現地での態勢を固めながらこれからも闘う」と締めくくった。
反対同盟と支援連はこの日の夜から、天神峰での「強制執行阻止」の座り込み行動に突入した。
翌21日、千葉地裁は担保金250万円の支払いを条件に、強制執行停止決定を出した。これによって、裁判記録が東京高裁に送られ係属部が決まるまでの間、暫定的に強制執行がストップされた。
動労千葉の田中康宏委員長は、前記の判決日開廷前の集会での連帯発言で、「いかなる判決が出されようとも、今日から勝利に向かっての新しい闘いが始まることを決意しよう」と強調した。この開始された「新しい闘い」に勝ち抜こう。全国の労農学の力を結集して市東さんの農地を守り抜き、安倍政権打倒の総反乱を作り出そう。(TN)
この記事へのコメントはありません。