米 トランプ反革命と内乱的激突 移民排斥に反撃

トランプ政権が5千人近い州兵と海兵隊を差し向ける中、労働者人民は催涙ガスやゴム弾による暴力的な弾圧に一歩も引かず、ICEの移民摘発に怒りを燃やして街頭での暴動的闘いに立ち上がった。社会を戦時体制にたたき込む暴挙に対し、闘いは全米に拡大している(6月8日 ロサンゼルス)
大統領就任前から「国家非常事態の宣言」「反乱法を使う」「軍隊を動員し、史上最大の強制送還作戦を行う」と公約してきたトランプは6月7日、ロサンゼルスでの抗議行動を弾圧するために州兵を連邦軍の指揮下に入れ、2100人の州兵を現場に投入し、200人の海兵隊員を近傍で待機態勢に入れた。9日には700人の海兵隊員を市内に投入した。国内への軍の投入は尋常ではない事態だ。超巨大な中国侵略戦争のために、統治形態のファシスト的転換を狙っているのだ。この軍事クーデターに対する怒りの反撃が始まった。
6月6日朝、ロサンゼルスの縫製工場、衣服卸店やホームセンターなどに移民関税捜査局(ICE)が一斉捜索に入り、労働者に暴行し、入管法違反容疑などで40人以上を逮捕した。さらに、70万人を擁するカリフォルニア州のサービス従業員国際労働組合(SEIU)のデービッド・ウエルタ委員長が、ICEの暴行と不当逮捕に対する監視・阻止行動を行っていた労働者たちを激励していたところにICEが襲いかかり、負傷させ、逮捕した。
ホームセンターでは、スクラムを組んで阻止行動をしていた労働者人民を重装備のICEの部隊が襲撃し、大激突になった。ロサンゼルス市警も催涙弾、ゴム弾などの至近射撃で弾圧した。だが、人民の結集は夜遅くまで続いた。
州兵と海兵隊の投入によっても闘いは抑えられず、委員長の釈放を求めるSEIU組合員の大集会が行われた。また、スクラムを組んだ部隊と州兵や機動隊との直接対峙、バリケード戦、連邦政府ビル・ICE事務所近くのフリーウェイ(高速道)の占拠・道路封鎖などが続けられた。
そもそもブルジョア民主主義の歴史の中で、都市への軍導入はタブーになってきた。政治を武力で左右することになるからだ。米国では19世紀末に連邦政府は内政に軍隊を使ってはならないと成文化された。形骸化した米帝の「民主主義」の最後の一線が、内政からの軍の排除だった。
だがトランプは、意図的にICEの強制捜査をエスカレートさせ、軍を導入したのだ。大統領選挙戦の最中からの公約どおりなのである。「反乱法(1807年制定)を適用する」という宣言も同じだ。排外主義攻撃で戦争翼賛体制をつくり、アメリカの統治形態を軍事独裁的支配形態に転換することが目的だ。
6日にロサンゼルスでICEによる襲撃を凶暴化させたことも偶然ではない。14日には、首都ワシントンで軍事パレードが予定されている。首都への軍の導入こそ、クーデターそのものだ。トランプの誕生日にすぎない6月14日を全軍に祝わせ、ファシストの頭目として登場しようとしているのだ。
だが、トランプは、労働者政党と労働組合をテロで壊滅させてナチス体制を形成したヒトラーとは違う。労働者階級の決起は、これからさらに爆発していく。
現在、ロサンゼルスと連帯する闘いは、ニューヨークなどの伝統的な労働運動・学生運動の拠点だけでなく、テキサス州など右派が強かった地域でも権力との実力対決として大きく広がっている。アメリカで内乱が始まったのだ。
米日帝の中国侵略戦争の要となる日本でこそ、内乱的闘いで戦争を止めよう。
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