韓国 死の外注化を止めろ! 青年非正規職虐殺を弾劾
昨年12月11日、韓国西部発電泰安(テアン)火力発電所で、石炭を運搬するベルトコンベヤーを点検していた24歳の下請け企業労働者・キムヨンギュンさんがコンベヤーに挟まれて死亡した。以前は発電所の正規職が2人1組で行っていた業務が外注化により下請け労働者1人だけに変えられ、ヘッドライトも支給されなかったために起こった事故だ。外注化がまたも労働者を殺した! 2010年からの8年間に、この発電所では計12人の下請け労働者が死亡している。政府・資本による虐殺をこれ以上許してはならない。
兵役を終えたキムさんは9月に泰安火力発電所を運営する下請け企業の契約職として入社したばかりで、「1年勤務すれば正規職に転換される」という条件だった。死のわずか2カ月前の、「ムンジェイン大統領、非正規職労働者と会いましょう。労働悪法をなくし、不法派遣責任者をこらしめ、正規職転換は直接雇用で」「私、キムヨンギュンは火力発電所で石炭設備を運転する非正規職労働者です」というボードを手にした写真が彼の遺影となってしまった。
社会を崩壊させ命を奪う外注化
「キムヨンギュン」は、社会のいたるところにいる。韓国では1年に少なくとも約1千人が職場で死亡し、1日平均では3人に上るとされる。13~18年6月に1件で3人以上が死亡した労働災害は28件。死亡した109人のうち93人が下請け労働者で、元請け事業主が処罰を受けた事例は1件もなかった。五つの発電会社で12~16年の5年間に発生した事故では、346件のうち97%にあたる337件が下請け業務で発生している。08~16年までの9年間に労災で死亡した40人のうち下請け労働者は37人を占めていた。
外注化された職場で十分な教育も受けられずに死と隣り合わせの労働を強いられ、助けてくれる同僚もおらず、命を奪われても誰も責任をとらない。こうした現実が、社会の根幹をなす公共機関でも不断に生み出され続けてきたのだ。この間も、KTX(韓国高速鉄道)の脱線事故をはじめ、全国で外注化を原因とする重大事故が相次いでいる。
「私たちがキムヨンギュンだ」
こうした現実をひっくり返そうと、青年労働者たちを中心に行動が始まった。
「正規職ではないという理由で危険な業務に追い込まれる私たちが『キムヨンギュン』だ」――12月18日にはソウルで、旭非正規職支会、韓国GMなどの労働者からなる「非正規労働者100人代表団」が記者会見を開催。非正規職の正規職転換を求めるデモ隊が大統領府に迫った。
さらに民主労総は22日、真相究明と責任者処罰、危険な外注化中断を掲げて決意大会を開催した。登壇した公共運輸労組・泰安火力発電所支会長は、「先輩たちがよりよい作業環境をつくることができなくて申し訳ない。この現実を変えることが、残されたわれわれ全員の任務だ」と痛苦な決意を表明した。続けて市民対策委員会の主催で第1回追悼集会が開かれ、29日にも全国で追悼行動が取り組まれた。このキャンドルの灯は消えることなく、大みそかの31日にも光化門広場で追悼祭が行われた。
こうした怒りの行動に突き動かされ、27日には28年ぶりとなる産業安全保健法の改定が行われた。これにより保護対象の拡大はかちとられたが、民主労総は根本的な解決を求めて闘いの継続を宣言している。キムさんの母キムミスクさんが「息子の死が無駄にならないように勇気を出して進んでいく。息子の同僚たちが危険から脱し、正規職化されるのはこれからが始まり」と語っているように、非正規職撤廃への闘いはこれからだ。民主労総をはじめ韓国の仲間と団結し、すべての労働者が人間らしく生き働くことができる社会を実現しよう。
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