雇い止め撤回させ意気高く 動労連帯高崎 大幅賃上げ求めスト
生きていけない低賃金に抗議し
3月23日、国鉄高崎動力車連帯労働組合(動労連帯高崎)は春闘ストライキに立ち上がった。生きていけない低賃金に抗議し、正社員と契約社員の月給1万円アップ、パート社員の時給を1500円とすることを求め、JR高崎鉄道サービス(TTS)籠原事業所で働く2人の組合員がストライキを貫徹した。
冬かと思うほどの寒風が吹きすさぶ中、午後2時、組合員を先頭に事業所前に集結した。シュプレヒコールに続き、漆原芳郎委員長が次のようにスト突入を宣言した。「この1年、労働組合法を武器にTTSを追及してきた。会社は追いつめられ、鈴木副委員長への雇い止め攻撃に出てきた。しかし渾身(こんしん)の闘いと皆さんの力で3月18日の団体交渉で雇い止めを撤回させ、無期転換もかちとる大勝利を実現した。今回のストライキで闘いをさらに発展させ、組織拡大をかちとろう」。勝利への確信に満ちた、力強いストライキ宣言だ。
ストに突入する鈴木喜平副委員長は「雇い止め攻撃を粉砕した力は現場の仲間が声を上げてくれたこと。感謝しかない」と発言し、橋本新一組合員は「ストライキで賃上げと要員増を絶対にかちとろう」と現場の労働者に呼びかけた。
小田原からかけつけた動労神奈川の桑原豪臣副委員長、さいたまユニオンの田畑典保委員長、埼玉労働組合交流センターの堀江淳一共同代表から連帯の発言があり、スト通告を終えた2人の組合員に激励の「団結たまご」が手渡された。集会中、多くの労働者が組合員に手を振り、こぶしをあげてストへの共感を表してくれた。
またこの日は熊谷地区労の春闘行動が取り組まれていて、その先頭に立つストライキでもあった。籠原、熊谷での街頭宣伝にも合流し、ともに闘った。
夕方行われたスト貫徹・解雇撤回勝利報告集会では橋本組合員から「鈴木さんの雇い止め撤回署名」を職場で45筆集めたことが報告され、参加者に驚きと感動が広がった。また3・16ダイヤ改定で、高崎でも殺人的な長時間乗務が襲いかかっていることが具体的に報告された。この間の不当労働行為を徹底的に追及する労働委員会闘争(3月26日に始まった)とも一体で、JRーTTSを攻めに攻めて組織拡大に総決起することが確認された。
解雇通告と全力で闘って大勝利
TTSは2月22日、鈴木副委員長に「3月末で雇い止め」と通告してきた。2013年4月5日に入社した鈴木副委員長には、入社から丸5年を超えた昨年4月に契約更新し1年契約を結んだ段階で、無期雇用契約への転換申込権が発生していた。実際、会社は昨年3月の団体交渉で「2019年の申し込みによって無期に転換する」と明言していた。
ところがTTSは今年2月18日、あらためて無期転換の申し入れを行おうとした鈴木副委員長に「来年が申し込みだ」とうその説明を行い、その直後の22日に雇い止め解雇を通告してきたのだ。法律すら自ら踏み破り、「労働組合のない社会」を全労働者に強制するJR―TTSの大攻撃だ。動労連帯高崎は、当該の鈴木副委員長、漆原委員長を先頭に組合の存亡をかけ、地区の仲間とともに総力で立ち向かった。
「『無断欠勤』と『組合機関紙の置きビラ』による処分」を口実にするTTSを全面批判し、雇い止め撤回を求める申し入れを2度にわたり提出した。2月26日には無期転換申込書を配達証明で郵送し、労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行った。翌27日の団体交渉では「無期転換権発生時期について勘違いがあった」(!)と会社に認めさせた。さらに職場ビラの発行、裁判闘争の準備など、すべてを集中した力でやり抜いた。
こうした必死の闘いの上に、橋本組合員を先頭に「鈴木さんの雇い止め撤回署名」を集めたことが決定的だった。所属する組合の枠を超え、わずか1週間で籠原事業所の清掃労働者75人中45人が署名に協力したのだ。
「労働者をなめるな!」という根底的な怒りが、これまで怒りを抑え込んできた全構造を吹き飛ばした。震えあがったTTSは3月18日の団体交渉で解雇通告を撤回し、無期転換も認めざるを得なくなった。力でもぎ取った大勝利だ。
全国の仲間のみなさん。労働運動の新たな時代が埼玉でも始まっている。職場で声を上げよう! ともに闘おう! (国鉄高崎動力車連帯労働組合書記長・木村洋一)
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