三里塚「天神峰カフェ」開き農地守る決意を共有
6月30日、悪天候のため天神峰・樫の木まつりが中止になったが、「天神峰カフェ」が予定通りオープンした。三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地を守るため、心ある人たちが近隣から遠方から駆けつけ、「コーヒーを飲みながら」歓談し、市東さんの農業に触れ、現地情勢を知る企画として継続的に開かれてきたのが、この「天神峰カフェ」だ。この日は小雨の中を全国から約40人が、成田市天神峰の市東さん宅離れに参集した。
焼きそば、漬物、惣菜、スイカなどが振る舞われて座が和んだところで、司会の婦人行動隊・木内敦子さんがあいさつした。「今日まで土地強奪の強制執行を阻んできたが、今年後半はいよいよ勝負の時。こちらから先制的に闘いに打って出よう」
続いて事務局の伊藤信晴さんが、空港機能強化攻撃の激化の中で周辺住民が怒りを込めて立ち上がりつつあることを報告し、市東さんの9・24請求異議裁判控訴審第1回への大結集を呼びかけた。
この日のメインの企画として、新進気鋭の映像作家による40分を超える作品の上映が行われた。フランス・バスク地方での牧羊と千葉県成田市の市東さんの農業を取材し、「近代化」の波に襲われながらなおそこにとどまり、手作業にいそしむ人の姿を丹念に描いている。フランスの山なみや田園風景は非常に美しく、一方市東さんの畑や作物のもつ活力も鮮やかに映し出されている。ジェット機と空港という巨大人工物が強烈な違和感を放ちながら、市東さんに立ち退きを迫るものとして登場するが、農業に取り組む市東さんの佇まいはまさに不動。日仏の「自然体」が時空を超えて共鳴し、見る人の心に響いた。
上映後に屋外へ移動し、淹れたてのコーヒーを飲みながら、各々が自己紹介や作品への感想を含め、自由に発言した。
市東さんの農地取り上げに反対する会、市東さんの農地を守る沖縄の会、さらに空港機能強化と闘う地元住民、現地に常駐する支援連絡会議の仲間などの発言が続いた。
杉並区議会議員の洞口朋子さんは、「若い世代に観てもらいたい作品だ。杉並区でも再開発で多くの人が立ち退きを迫られている。沖縄・福島・三里塚をともに闘う一人として杉並区で闘います」と決意を表した。
現地闘争本部の古参の同志は、「1966年の7月4日の閣議決定から53年。今日、6月30日は、芝山反対同盟が結成された日。三里塚と芝山で別個につくられた反対同盟が8月に一つになった。この闘争が54年目に入り、今もこうやってしぶとく闘っていることの意味は大きい。国家暴力に対してくじけないという民衆の生き方を示している。1カ月前の5月30日、星野文昭さんが亡くなった。三里塚を全身全霊で闘った星野さんとともに必ず勝利したい」と感慨を語った。
全学連三里塚現地行動隊は、「映像の力を感じた。市東さんの農地を守る先頭で全力で闘います」と決意を述べた。
決戦本部長の太郎良陽一さんは、「国策と対決する全国の闘いの交流の場として、この三里塚を文化的にも一層発展させたい」と語った。
農作業の途中で合流した市東孝雄さんは、「雨で樫の木まつりが中止になり、残念。でも今日は作品の上映もあって、雨模様を吹き飛ばした気がします。みなさんも力を蓄えて、いざ敵の攻撃が来た時にぜひ一緒に闘ってください」と訴えた。
最後に全員で旧小見川県道沿いに立つ「強制収用実力阻止/第3滑走路粉砕」の看板の前に並び、闘志を前面に表して写真撮影。
終了後も参加者は時間を忘れて名残惜しく歓談・交流し、決意を共有し合った。(TN)
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