結審宣告した裁判長に怒り 千葉県労働委審理拒否弾劾裁判 JRの不当労働行為を擁護
国鉄1047名の解雇撤回を求めて動労総連合が申し立てた事件を、まともな審査もせずに打ち切った千葉県労働委員会の暴挙を弾劾する裁判の第4回口頭弁論が、8月30日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で開かれた。
この裁判で動労総連合は、事実調べもせずに結審を宣告した村上典子公益委員に対する忌避申し立てを却下した千葉県労働委員会の決定を取り消すとともに、この裁判の結論が出るまで県労委の審査手続きを停止することを求めている。ところが千葉県労委は、裁判が継続中の5月14日、動労総連合の申し立てをすべて否定する却下決定を出してきた。
前回6月21日の裁判で、動労総連合の代理人弁護団は「裁判の継続中に却下決定を出さなければならない特段の理由があったのか」と県労委に迫った。裁判の進行を無視された裁判長も、県労委の対応に憤り、同様の釈明を求めた。
今回の裁判で、動労総連合の代理人弁護団は、この問題をあらためて追及した。それに対し県労委は「この時期に決定を出さなければならない特段の理由はないが、審査を中止する理由もないから却下決定を出した」「不当労働行為事件の審査には迅速性が求められる」という主張を繰り返した。原告側は「却下決定を出した積極的な理由はないということか」「迅速な審査というが、それは不当労働行為から労働者を早期に救済することが必要だからだ。労働者の訴えを切り捨てるために迅速な審査が求められているわけではない」とたたみかけた。
県労委の主張は誰が見ても理屈が通らない。ところが裁判長は突然、「労働委員会の命令も出ているし、この裁判も判断の機が熟した」として結審を告げ、判決日を10月29日に指定した。反動判決を下そうとしていることは明らかだ。
裁判後の総括集会は、県労委と裁判所も一体となってJRを救済しようとしていることへの怒りにあふれた。動労千葉争議団の高石正博さんと動労総連合1047協議会の小玉忠憲さんが、解雇撤回へ不屈に闘いぬく意志を表明し、弁護団は「一つ一つの反動に徹底的に反撃することが重要だ」と訴えた。
全反動と対決し国鉄解雇撤回を
国鉄分割・民営化による1047名の国鉄労働者の解雇は、国鉄労働運動をつぶすために強行された。動労千葉・動労総連合は30年を超えてこれと対決し続けた。そして、2015年6月の最高裁決定で、動労総連合組合員を解雇するために作られた不採用基準の策定は不当労働行為であったという判決を確定させた。さらに動労総連合は、この不採用基準がJR設立委員会によって作られた事実を暴いた。これは、1047名解雇の責任は国鉄にあるとされてきた、それまでの最高裁判決の枠組みを根本から突き崩すものだった。
この新たにつかんだ事実をもとに、動労総連合は昨年5月、1047名の解雇撤回と、解雇撤回に向けた団体交渉をJRに求めて、千葉県労働委員会に申し立てた。ところが県労委は、冒頭から一切の審査を拒否すると言い出し、今年5月には申し立てを全面却下する不当な決定を出してきた。本来は労働者の団結権を擁護すべき労働委員会が、安倍政権とJR資本を救済する機関に成り下がったのだ。
国鉄分割・民営化によって労働運動は後退を強いられ、労働者の4割が非正規職にされる社会が生まれた。さらに今、JRは「労働組合のない社会」をつくる攻撃の先頭に立ち、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部には大弾圧がかけられている。安倍政権の「働き方改革」は、労働組合自体を絶滅し、全労働者を非正規職化しようとするものだ。そのために支配階級は、こうした攻撃の出発点になった国鉄分割・民営化の真相を闇に葬り去ろうと必死になっている。
この攻撃との攻防には、労働組合の存立がかかっている。あらゆる反動と対決して1047名解雇撤回へ闘おう。11・3労働者集会を労働組合をよみがえらせる決戦として闘おう。
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