三里塚第3誘導路裁判―「基本計画」無視の拡張工事をやめよ
9月6日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、農地強奪攻撃と成田空港強化策への怒りをかきたて、全力で闘い抜いた。
この裁判では、被告の国と成田空港会社(NAA)に対し、B滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
冒頭から弁護団は、「新東京国際空港」として定められた当初の「基本計画」から、現在の成田空港が著しく逸脱していることを強く批判した。運輸大臣から指示される、滑走路の数・、配置・長さ、空港の敷地面積、運用時間などを骨子とする基本計画を、空港公団は厳格に遵守しなければならない。それは公団からNAA(株式会社)に組織変更されても、その施設・業務、権利・義務など一切を承継した以上、NAAがそれを守ることは当然だ。ところが、現実はどうか。B滑走路は計画よりも短い2180メートルの暫定滑走路として供用開始された。その後無理やり北に延長され、1100メートルも北に移動して、当初認可とはもはやまったく別物の施設になっている。
東峰の森を破壊して造られた東側誘導路、市東さんの家と畑を空港敷地に囲い込む第3誘導路も、基本計画に存在せず、その時々の思いつきで建設された迷惑施設だ。
そして今また「空港機能強化策」として、新たな第3滑走路(3500メートル)の建設、B滑走路のさらなる北延伸(3500メートル化)によって空港敷地を1千ヘクタールも拡張する(2倍化)という、途轍もない大工事が基本計画の変更なしで進められようとしている。
基本計画は住民の権利を守るための基準であり、これを踏みにじって、好き放題にデタラメな空港建設を進めるのは、地域住民の人権を侵害するものであり、絶対に許されない!
ここで弁護団が被告側に基本計画についての認識をあらためて質すと、国の代理人は「基本計画の撤回や変更はされていない」と答えた。つまり「基本計画無視の工事などいくらやってもかまわない」という居直りだ。傍聴席から怒りの声が殺到した。
弁護団はさらに、NAAが空港周辺住民を対象に行った「騒音健康影響調査」について、調査委員会の報告書などの提出には応じながら、同委員会の議事録の提出を拒んでいることを批判し、全面的開示を求めた。NAAは、議事録や委員の名前・肩書を明らかにすると、「いわれのない非難中傷が加えられる」「学識経験者として忌憚なく意見を述べられなくなる」などと主張するが、まったく意味不明だ。
またNAAが「欧州夜間騒音ガイドライン」を騒音被害の基準として採用することを拒否し、住民の健康被害を小さく描こうとしていることを、弁護団は強く弾劾した。
次回期日を12月3日、次々回を3月10日と確認して閉廷。
千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷を振り返り、守るべき「憲法」に値する基本計画をないがしろにして違法な工事を進める成田空港の実態をあらためて指摘し批判した。
動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、反対同盟が呼びかける10・13三里塚全国集会への大結集と、前日に千葉中央公園で開かれる10・12オスプレイ配備反対集会への参加を訴えた。さらに、市東さんの農地取り上げに反対する会と群馬からの傍聴参加者が、ともに闘う決意を述べた。
最後に伊藤さんが、東京高裁で開かれる9・24請求異議控訴審への傍聴とデモへの参加を訴え、市東さんの農地を絶対に守りぬく闘いへの総決起を促した。(TN)
◎9・24請求異議裁判控訴審闘争
9月24日(火)午前11時30分
日比谷公園霞門集合~東京高裁包囲デモ
午後2時30分開廷 東京高裁102号法廷
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