第三誘導路裁判、成田空港の「公共性」の虚構を暴く
5月1日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で、第3誘導路許可処分取消裁判の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟を先頭に、労働者・学生・市民が法廷を埋めて、農地強奪・農民追い出し攻撃への怒りをたぎらせ闘った。終了後の総括集会では、萩原進事務局次長が、市東孝雄さんへの農地強奪攻撃粉砕へ向け、5月28日に千葉地裁弾劾・包囲デモに決起することと、7月三里塚現地闘争への新たな方針を提起した。
冒頭に陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、反対同盟顧問弁護団が意見陳述を行った。
「今現に昼夜ぶっ通しで工事が進められている第3誘導路は、天神峰に住み営農している原告・市東孝雄さんの人格権、健康に生きる権利を侵害する違憲・違法なものだ。市東さんの家と畑を空港敷地で囲い込み、ジェット機の排ガスと騒音を浴びせ、三里塚から追い出すことを目的とした攻撃だ。今、成田空港自体の〈公共性〉が根本から問われなければならない。世界経済の低迷と福島原発事故の中で、旅客・貨物は減少、成田空港は地盤沈下の一途をたどり、公共性などまったくない。さらに軍事使用までされるなど、反人民的・反公共的である。許可処分を取り消し、工事を中止せよ」
容赦ない弾劾を受けて被告席に並ぶ十数人の国と成田空港会社(NAA)の代理人はうなだれるばかりだ。
NAAは「調査を行った結果、環境に影響はない」などと主張しているが、「調査」自体がそういう結論をひねり出すためのもので、実際の基礎データについては明らかにしないという許しがたい態度だ。弁護団はさらに徹底追及を強め、成田の「公共性」の虚構と、原発事故で社会的に露呈した行政処分における裁量権乱用と裁判所の反動的役割を根本から問いただす姿勢を明らかにした。次回期日は7月17日。
閉廷後、弁護士会館で総括集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。最初に北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「正義は一つしかない。この裁判は、国の不正をただす闘いだ」と裁判闘争の意義を強調した。続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団全員が発言し、国家権力による「国策」「公共」のイデオロギーを粉砕して、空港の存在を土台から揺るがず裁判闘争として闘う決意を述べた。
最後に萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。「航空会社各社が生き残りをかけて格安運賃へとのめり込んでいる。4月29日の関越道でのバス事故を見ても明らかなように、“安ければいい”という考えの行き着く先は、安全崩壊、大事故、現場労働者への責任の押しつけ、過重な労働、賃下げだ。裁判闘争を通してこうした社会的問題をも突き出していく」
市東さんの農地裁判を始めとして三里塚裁判はますます重要な闘いとなった。萩原さんは5月28日の農地裁判の開廷に先立って市内デモでアピールすること、さらに第3誘導路工事を弾劾する三里塚現地闘争を7月に行うことを呼びかけた。待望のこの方針に、参加者は拍手と歓声で応えた。市東さんの農地を強奪するためだけに200億円の巨費を投じて昼夜続けられている第3誘導路工事に対し、反対同盟とともに怒りを燃やして立ち上がろう!(TN)
★三里塚闘争スケジュール
◎団結街道裁判
5月8日(火)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
5月28日(月)
・正午集合・デモ(集合場所は追って。当初出したものは変更になりました)
・午後1時30分開廷 千葉地裁
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
6月25日(月)午後1時30分開廷 千葉地裁
◎7月三里塚現地闘争(詳細は追って)
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