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三里塚耕作権裁判 意気高く千葉市内デモ/更新意見でNAAの不法を暴く

20170425a-1.JPG 4月24日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、市東孝雄さんの耕作権裁判の第32回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民90人は、「強制執行許すな」の気概に燃えて市東さんとともに闘った。
 午前9時に千葉市の葭川公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で集会が開かれた。最初に、来日中の韓国民主労総ソウル本部の公共運輸労組ユシン支部・イヘジョン支部長とファンヒジュン・ソウル本部組織局長があいさつに立ち、半世紀を超えて闘う不屈の三里塚闘争に熱い連帯を表明した。

20170425a-2.JPG 続いて反対同盟事務局を代表して萩原富夫さんがマイクを握り、「農地強奪の強制執行を許さない。戦争と排外主義の流れに対し、三里塚は51年の闘いの歴史を引っさげて立ち向かう」と鮮明な決意を表した。
 動労千葉の中村仁さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言を受け、意気高く市内デモに出発した。市東さんをはじめ反対同盟は「耕すものに権利あり」と大書された横断幕を掲げデモの先頭に立った。宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんのアピールが、街のすみずみまで響きわたった。デモは千葉地裁に肉薄し、その勢いで傍聴席を満杯にして、10時30分に開廷を迎えた。
20170425a-3.JPG この日は左陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、弁護団が意見陳述を行った。
 2006年、成田空港会社(NAA)は市東さんの南台耕作地の一部について「不法耕作」と決めつけ、明け渡しを求めて訴訟を起こした。それがこの耕作権裁判だ。祖父の代から受け継いだ農地を耕し続けいる市東さんを「不法耕作者」呼ばわりするとは、これほどひどい侮辱があるか。
 この裁判は空港建設が破綻に瀕する中で、NAAが農地法を悪用して市東さんから農地を強奪しようとする訴訟詐欺の犯罪行為だ! そもそも市東家の賃借地がどこなのかという位置特定について、NAAの認識はまったく間違っている。その間違いの根拠となっているのが、唯一の「証拠」としてNAAから提出された「同意書」「境界確認書」だ。これらは旧地主と市東東市さん(孝雄さんの父・故人)との間で交わされたものだとNAAは言い張るが、実はとんでもない偽造文書だった。筆跡鑑定の結果、東市さんの署名は偽造と判明した。
 もともとNAAの前身である空港公団は土地収用法に基づく収用採決の申請において、耕作状況(小作者の誰がどこを耕作しているか)をほぼ正しく把握していたのだが、その認識は1988年に「同意書」「境界確認書」の誤りへと一変してしまう。この偽造文書が作られた事情や経緯を明らかにするために、空港公団と地主との当時の買収交渉記録などの関連文書の開示は不可欠だ。ところが、裁判所から文書提出命令が出されたにもかかわらず、原告NAAは提出を拒否し続けている。
 農地法裁判では、文書偽造問題などについて不問にしたまま、千葉地裁・多見谷裁判長によって不当判決が下されたが、再びそんなことは許さない。
 そもそも転用のめどもないまま底地だけを買収し、しかも小作者である市東家にそのことを十数年も隠し続けてきたことは、明らかな農地法違反だ。買収は無効でありNAAには土地の所有権はなく、明け渡し訴訟を起こす資格などない!
 弁護団の一語一語が、NAAの代理人弁護士に突き刺さった。
 また弁護団は、当時東市さんが軽い脳梗塞を患い、自分の名前を書くことも不自由な状態であったことを明らかにする医師の陳述書、筆跡鑑定人の意見書などを提出した。偽造署名ような強い筆勢の字を、当時の東市さんは絶対に書けない。
 さらに弁護団は、以前に開示された文書の一つが大幅に墨塗りされていることについて追及し、「すべて明らかにせよ」と迫った。これは公団から運輸省に宛てた報告書で、87年頃までの公団の南台耕作地の認識を表す重要文書だ。だがNAA代理人は「裁判所の命令でやったこと」と墨塗りを居直り、内田裁判長は「自分が担当する以前の話」としてすり抜けようとした。これには傍聴席から「裁判長は今ここで全面開示を命じろ!」と怒りの声が次々と上がり、法廷を満たした。裁判長は追いつめられながら「開示を求めるなら書面で」と言い捨て、次回期日を6月26日として閉廷を宣した。
 千葉県弁護士会館で報告集会が、伊藤信晴さんの司会で開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「墨塗りの居直りを許さない。NAAをさらに追及して弁護団とともにこの耕作権裁判に勝つ。農地法裁判の最高裁上告棄却決定もひっくり返す」と決意を表した。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言し、法廷での応酬を解説し、裁判長の拙速裁判推進を阻止する強い姿勢を表した。
 質疑応答の後、太郎良陽一決戦本部長が「天神峰現地への結集を」と呼びかけた。最後に萩原さんがこの日の闘いをまとめ、5月25日の千葉地裁への第1次提出へ向け、農地取り上げ強制執行に反対する請求異議裁判署名を反対同盟に集中するよう熱心に要請した。
 「この裁判に勝つ」という市東さんの意気込みが、この日の参加者全員の心をとらえた。反対同盟と支援連は、午後には千葉市繁華街での情宣活動に立ち、「三里塚から戦争を阻止しよう」と訴え、署名を集めた。(TN)

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