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フランスで年金改悪反対スト パリの鉄道・交通労組先頭に

46回目の黄色いベスト運動のデモ(9月28日 パリ)

香港をはじめ全世界的な激動情勢下、フランスでは9月、マクロン政権の労働法制・年金制度改悪に対し労働者がストライキに立ち、闘いが高揚している。
 20数年ぶりの決起
9月13日、RATP(パリ交通公団)の労働者がストに突入。地下鉄16路線のうち10路線、ほとんどのバス路線、多くの近郊交通路線が24時間ストップした。スト参加率は、運転士はほぼ100%、他の部門でも68%以上であり、二十数年ぶりの圧倒的な決起だった。
パリ交通公団の労働者を組織する6労組〔CGT(労働総同盟)、FO(労働者の力)、SUD(連帯労組)など〕がスト当日、公団本社前で統一的な決起集会を行った。
16日、医師・看護師・パイロット・客室乗務員・全国弁護協会など2万人が鉄道労働者の闘いに合流してデモ。

9月13日のパリ交通公団スト決起集会

17日、パリ地下鉄の自動運転の路線で3駅を停車せず通過するという恐るべき事態が起こった。これは13日にスト破りとして運行していた路線だ。公団側は「安全装置が作動し何の危険も生じなかった」と発表したが、乗客は「死ぬかと思った」と怒りを爆発させ、組合は「乗務員が絶対に必要だ」と公共交通の安全破壊を批判している。
19日は、EDF(フランス電力)の労働者が、民営化と年金制度改悪反対のストに立った。
21日、黄色いベスト運動の第45次行動が闘われた。この運動は、17年のマクロン政権発足と共に開始された労働法制改悪反対の数カ月にわたる鉄道労働者を中心とする連続ストを引き継いで18年12月に開始され、毎週土曜日にパリと地方の諸都市で粘り強く継続されてきた。今回はFOが呼びかけ、年金制度改悪反対闘争と環境保護運動との統一行動としてかちとられ、1万5千人が参加した。
 弾圧をはね返して
権力は、パリだけで7500人の弾圧部隊(保安機動隊・犯罪捜査班・憲兵など)を配置し、市内数カ所をデモ禁止区域に指定し、装甲車・放水機を配置した。闘争参加者がデモ禁止区域に近づくだけで催涙弾・閃光(せんこう)弾を発射した。事情聴取・調書作成をされたのが395人、不審尋問が1250人、逮捕者総数は186人に達する。マクロン政権は3月に、警察官の現場での裁量権拡大を決定していた。これに反対して非番でデモに参加していた警察官が拘束され、侮辱罪と反乱罪で処分された。
このような弾圧をはね返し、地方での決起を含めて、1968年の「5月革命」を思い出させる大高揚がかちとられた。
24日、CGT、Solidaire(連帯労組)、SUD―Rail(鉄道連帯労組)に学生組織〔UNEF(全学連)、UNL(学生連合)〕が合流して 年金法制改革反対の統一行動が闘われた。
マクロン政権の強硬姿勢に対して既成指導部がゼネストを打ち出さないことに抗議して、「12月初旬からの無期限スト」という声が職場から高まっている。
 先端を開く闘いに
マクロン政権の狙いは、職種ごとに決められている現行の年金制度の統一という名目で、年金支給開始年令を引き上げ、年金支給額そのものを減額し、財政負担を軽減することにある。このなかで、職務の厳しさから50〜52歳(全体の平均では62歳)となっている鉄道労働者の定年を「特権の廃止」「平等化」の名で引き上げようとしている。
鉄道・交通労組は「この攻撃は、労働者を分断するものだ」「年金水準を引き下げるのではなく、引き上げるべきだ」「われわれをより長く働かせ、より安く扱おうとしている」「われわれの闘いは労働者階級全体の闘いだ」(SUD―Rail)と主張している。他の労組労働者もこれに賛同し、統一行動に向かっている。
フランスの年金改革との闘いは、EU(欧州連合)全体、さらに安倍政権による「働き方改革」・社会保障改革との闘いの先端を切り開きつつある。

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