アメリカ 労働組合が主導権を握る時だ 労働者の生存かけスト続々
新型コロナウイルス感染者・死者が世界最多となっているアメリカで、生存をかけたランク&ファイル(現場労働者)の実力闘争がよみがえり始めている。
飲食やホテル業界をはじめ多くの労働者が職を奪われ、生きていけない状況にたたき込まれている。各地の食料配給所には連日長蛇の列ができている。
一方で、医療・輸送関係をはじめ必要不可欠な現場の労働者たちは、テレワークなどできるはずもなく、感染の危険にさらされながら懸命に働いている。
こうした中、あらゆる現場から「労働者と家族、地域を守れ!」「ウォール街のために死んではならない!」の声と闘いが巻き起こっている。従来の労働組合の枠を超え、ストや職場放棄、座り込みなど様々な取り組みが始まった。
全米看護師連合(NNU)は大規模なウイルス検査、集中治療室(ICU)病床の拡充、移民・難民が摘発されず安全に医療を受けられるようにすることなどを要求。もうからないことを理由に閉鎖された病院の再開や刑務所からの受刑者の解放も求めている。15日には全米で医療労働者の一斉行動も闘われた。
闘いはアマゾン、清掃現場、スーパーや買い物代行会社など、全米のあらゆる現場を席巻している。ゼネラル・エレクトリック(GE)の労働者は人工呼吸器の製造を求めて行動に立ち、実現をかちとった。3大自動車メーカーの労働者も、ウイルス検査や検温などの必要な措置を取った上で、人工呼吸器や個人防護具製造のために工場操業を再開するよう訴えている。
とりわけ、運輸労働者の闘いは決定的に重要だ。政府が対応不能に陥る中、現場を熟知する労働者たちが人々の命と生活、地域を守るために今も闘っている。
それゆえ感染対策は死活的だ。ニューヨークでは4月冒頭の段階で数千人の運輸労働者が隔離され、数百人がウイルス検査で陽性、数十人が命を落とした。
こうした状況を変えようと、バーミンガムやデトロイトではバスの運転手がストライキ。当局に手袋とマスク、消毒薬を配布させるなどの対策を強制した。
多くの感染者が出ているシカゴの都市交通労組(ATU)は「公共交通機関によってウイルスが拡散されることがあってはならない」「金ではなく生命を最優先に」と訴えている。
階級や人種に起因する「感染格差」は深刻だ。シカゴでは現場の運輸労働者の約9割がアフリカ系の人々で、その死亡率は白人の6倍にも上るという。
ATUは、労働者が感染したり隔離を命じられたりした場合の賃金満額補償と懲戒の禁止、車両の清掃・消毒の徹底、ウイルス検査や治療、検温の導入や個人防護具の提供、さらには労働組合による安全管理を市や州政府に要求している。
現場の組合員は「労働者が使い捨ての歯車のように扱われていることが危機の原因だ」「主導権はわれわれが持たなければならない」と語る。「今こそ労働組合が輝くときだ」という声が上がり、ゼネストなどの実力で労働者の権利や労働法を勝ちとってきたアメリカ労働運動の歴史が誇りをもって語られている。
資本家の政府にこの危機を乗り越える力などない。社会を動かす労働者の団結した力こそがこの現実を乗り越え、社会を変える。全世界で巻き起こる闘いは、そのことを誰の目にもわかる形で突き出している。この闘いに続こう。
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