「10万円給付」は欺瞞だ 杉並区議会 洞口区議が唯一反対
4月30日、杉並区議会の第2回臨時会で審議された補正予算第2号に対し、都政を革新する会の洞口朋子区議がその問題性を指摘し、ただ一人反対意見を述べた。その要旨を紹介します。(編集局)
生活などできない
安倍政権の「10万円給付」は、①生活補償・休業補償・賃金補償なき「10万円」であり、②PCR検査と療養体制の拡大なき「10万円」であり、③医療従事者への支援の拡大なき「10万円」であり、欺瞞です。たった1度の10万円で生活できるわけもなく、感染防止策にもなりません。
しかも、給付の対象外となる外国人は70万人を超えます。この中には収容者ら非正規滞在者だけでなく、就職活動や出国準備、就労先の変更などで、対象外となった留学生や技能実習生らも含まれています。政府は彼ら彼女らの生活を監視・抑圧し、人間としてカウントしていないのです。絶対に許せません。
いま必要なのは医療体制の拡充とともに、労働者民衆への100%の補償です。自宅待機に対して、労働基準法は賃金の6割以上を払うことを経営者に義務づけていますが、手取り17万円の労働者は6割補償で10万円です。家賃と水光熱費、携帯代を払えばほとんど手元に残りません。「6割しか補償が出ないからスーパーなどでダブルジョブ・トリプルジョブをしなければならない」という人たちも生み出されています。補償が不十分であることが感染拡大の新たな原因をつくっているのです。
労働者にしわ寄せ
一方で、医療関係や自治体をはじめ、スーパー、介護、保育、公共交通などの労働者は感染リスクを負いながら出勤し、「自分が感染したとしても同居する高齢者や子どもにうつすわけにはいかない」「自分が感染して隔離されれば子どもは濃厚接触者。誰が世話をするのか」など不安の中に置かれています。
自治体では、給付のために本来の仕事からはがされる職員が出ます。すでに保健所への兼務発令、中小企業向けの貸し付け業務に職員が兼務発令されている自治体もあります。生活保護申請や「生活困窮者自立支援法の住居確保給付金」の相談・申請も増えています。給付が発表されて以来、戸籍・住民票の窓口では世帯分離の申請が急増しています。中野区では庭にまで人があふれたそうです。現場に矛盾が集中しています。
政府が全部補償を
住民の生活を支える自治体を「小さな区役所」として人員削減・非正規雇用の拡大を進めてきた結果が、住民の生活も職員の命も脅かしています。これは総務省の指導で行われてきたことです。
政府の責任で100%の生活補償・賃金補償・休業補償をすべきです。
開催延期に伴う追加費用が3千億円とも5千億円とも言われているオリンピックは即時完全中止して全額コロナ対策と補償に回すべきです。
以上の理由から、補正予算第2号に反対します。
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