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国家安全法制定攻撃に怒り 大量逮捕はねのけ香港全土でデモ

 中国の全国人民代表大会の最終日である5月28日、中国政府は香港の国家安全法に関する「決定」(正式名称は「香港特別行政区の国家安全維持の法律制度と執行機構を建設し整えることに関する全国人民代表大会での決定」)を採択した(賛成2878票、反対1票、棄権6票)。
香港の直接支配と予防弾圧を可能に
この「決定」は、「基本法」(香港の憲法)23条で「(香港政府が)自ら制定しなければならない」と定められている香港国家安全法を、この規定を踏みにじって中国政府下の全国人民代表大会常務委員会が作成し制定できるとし、同時にその法案の骨子を示したものである。それは、国家分裂や政府転覆を防ぎ、国内勢力とともに外国勢力のこれらの活動を制止し処罰するとして、香港政府だけでなく、中国政府自らが直接香港の集会やデモ等の活動を弾圧できるとするものだ。そのための中国政府の治安機構を香港に設置することも合法化される。
 この「決定」は最終的にいくつか修正された。その一つは処罰の対象として「国家の安全に危害を及ぼす行為」が「……行為と活動」になったことだ。これは「個人の行為」だけでなく「団体の活動」を取り締まるためと見られており、団体への予防弾圧を可能にする。さらに呼びかけた個々の主催者だけでなく、ネットなどを見て現場に集まった大衆を取り締まるためと指摘されている。
このように、香港に対して中国政府が制定しようとしているこの国家安全法は、「一国二制度」を根本的に破壊し、中国政府が直接香港を支配できるようにするものである。早ければ6月、8月末までには制定されると見られている。独裁政治に反対し、民主を求める香港の労働者・学生が命がけで闘うのは当然だ。
天安門の6月4日国歌条例成立狙う
193人の逮捕者を出した24日の大デモに続いて、採決の前日の27日にも労働者・学生は香港各地で決起し反対デモを闘った。この日は同時に、「中華人民共和国国家の尊厳を守り、国歌への侮蔑を許さず、国歌教育を推進する」ための「国歌条例」案の審議が香港立法会で再開された日でもあり、国家安全法と国歌条例双方への激しい怒りが爆発した。警察は、街に繰り出す労働者・学生に催涙スプレーや放水などで弾圧しようとしたが、あちこちで次々と決起する民衆の波が続き、道路はバリケードで封鎖され火の手も上がった。闘いは一日中続き、396人の大量逮捕者を出しながらも不屈に闘い抜いたのである。
27日はコロナがいったん収束したとした後の登校日初日だったが、中学生もストライキに立ち上がった。さらに採決日にも「あなたと一緒にランチ」行動が行われ、国家安全法反対の声は上がり続けた。
国歌条例をめぐっては、27日には香港全土でデモの中で議会は包囲され、民主派議員は28日、あらゆる手段を使って徹底抗戦をした。この国歌条例は、なんと6月4日の天安門事件(1989年6月4日、人民解放軍が中国・北京の天安門広場に座り込んだ民衆を大虐殺した事件)の日に成立がもくろまれている。
香港政府は、国歌条例に反対する闘いを圧殺し、またこの日開催される予定の天安門事件に抗議するデモをつぶすために、新型コロナを口実にした「公共の場での9人集合禁止」措置を6月4日まで延長。これはまさに6月4日が、次の大きな闘いの焦点になったことを意味している。
香港の労働者・学生の闘いに追いつめられ危機に陥った香港政府と中国スターリン主義は、ついに「一国二制度」を崩壊させ、絶望的な暴力支配で香港の闘いをつぶそうとしている。今こそ、帝国主義もスターリン主義も倒す時だ! 国際連帯で勝利しよう!
〔写真〕警察隊とにらみ合うデモ隊(5月27日 香港)

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