韓国 非正規職先頭に決意大会 青年労働者の1周忌 「危険の外注化を終わらせる」
昨年12月10日、韓国・泰安(テアン)火力発電所で、24歳の非正規職労働者キムヨンギュンさんが作業中に
ベルトコンベヤーに挟まれて命を落としてから1年。12月7日、ソウル都心で民主労総決意大会と1周忌追悼大会が開催された。青年を先頭に多くの労働者・市民が参加し、働きながら死ぬことのない権利、非正規職として差別されない権利を求め、危険を外注化するなと声を上げた。
キムさんの命を奪ったのは外注化だ。正規職が2人1組で行っていた点検業務が外注化により下請け労働者1人に変えられ、キムさんにはヘッドライトすら支給されていなかった。
これは政府と資本による虐殺だ。事故後に発足した特別調査委員会は、危険業務の外注化とコスト削減のための人員不足などが死亡原因だったと指摘した。
彼の死は、非正規職であるがゆえに労働者が日々職場で殺されていく現実を改めて突き出し、労働者民衆に大きな衝撃を与えた。多くの青年労働者が、「私たちがキムヨンギュンだ」と叫んで立ち上がった。キムさんの母親キムミスクさんも、深い悲しみの中から「息子の死が無駄にならないように勇気を出して進んでいく」と宣言して闘いの先頭に立った。こうした闘いによって不十分ではあれ産業安全保健法の改定をかちとり、ムンジェイン大統領にも「危険の外注化をやめる」と約束させた。
しかし、1年後の今も非正規職労働者の現実は変わっていない。泰安火力発電所では今なお危険業務の外注化が続き、造船所や製鉄所でも多くの下請け労働者が危険業務を担っている。
大会では、トルゲート、建設、造船所下請け労働者などで構成する非正規職100人代表団が登壇。「韓国社会では40代の企業労災死亡事故の95%が非正規職だが、最も大きな責任を負う財閥は一人も処罰されていない」と弾劾し、「貪欲(どんよく)な資本がつくる社会を終わらせるため、自分の両親、子ども、友人が職場で死なず、差別されないようにするために、キムヨンギュンの名前で私たちは再びロウソクを持つ」と宣言した。キムミスクさんも参加し、今は亡き息子にあてた手紙を朗読する形で訴えた。(要旨別掲)
キムさんの同僚も登壇し手紙を朗読した。「私たちが働くところは依然として真っ暗で、安全と未来もまったく同じで真っ暗だ」「職場で死んで行く労働者の知らせを、相変わらず毎日聞いている」。そして「キムヨンギュンの死をないがしろにし、無視しようとする政府に負けず闘うことを約束する」との決意で締めくくった。
追悼大会後には、キムさんの焼香所がある光化門を経て、大統領府までのデモが行われた。
キムヨンギュンさんの闘いと無念の死は、青年をはじめとする韓国労働者階級の中に引き継がれ、現在につながる新たな非正規職撤廃闘争の火種となった。この闘いが日本でも絶対に必要だ。連帯し続こう。
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