全米でトランプに怒り爆発 警察の黒人虐殺に抗議デモ 州兵出動と対決、140都市に拡大
5月25日、ミネソタ州ミネアポリス市警のデレク・チョービンら4人の警察官が黒人男性ジョージ・フロイド氏を虐殺した。警察官に首を押さえつけられ、「息ができない」と訴えた氏の映像がSNSで流された。
翌日から同市でチョービンらの解雇・逮捕を求める闘いが行われた。当該の警察官が勤務していた警察署が放火され、首都ワシントンのホワイトハウスの周りの建物に火がつけられただけでなく、抗議デモは全米140都市に拡大。人民の怒りと闘いに恐怖したトランプは州知事に「街頭を制圧しろ」と迫り、州兵を出動させた。
デモ隊に対して片膝をついて支持を表明する警察官が現れる一方で、40以上の都市で夜間外出禁止令が出され、連日にわたる警察との大激突で9千人以上が拘束されたと報道されている。1968年のキング牧師暗殺後に匹敵する規模と激しさだ。
被逮捕者の移送をバス運転手が拒否
ミネアポリスから闘いが拡大した大きな要因は、高いコロナ感染リスクにさらされてきた労働者(多くが非白人)や解雇された4千万人を超える労働者の怒りが、警察や入管当局に殺害され続けてきた人々の怒りと重なったことだ。差別によって労働者階級を分断して支配するというやり方が崩壊しつつある。
ミネアポリスでは、バス運転手が市警察当局の部隊移送、被逮捕者移送の命令を断固として拒否した。首をかけた決起だ。それをATU1005(米都市交通労組第1005支部)が支持し、組合として運送拒否を通達した。法的には「違法スト」となり、組合財産の差し押さえにもつながりかねない。だが、これをニューヨークやシカゴの都市交労組支部が続々と支持し、バスが止まった。
UTLA(ロサンゼルス統一教組)やILWU(国際港湾倉庫労組)などの戦闘的労組はもとより、UAW(全米自動車労組)本部などの腐敗幹部さえ、支持を表明せざるをえなくなった。 ■警察が貧困地域・非白人地域を制圧
90年代のクリントン政権以来、アメリカの警察の軍隊化は著しい。軍事用の軽機関銃、装甲車、装甲ヘリなどを使用し、貧困地域・非白人地域を制圧してきた。皮膚の色や服装(宗教的・民族的)などを基準に「職務質問」し、それに抵抗する「可能性がある」と思われた者を銃撃することは「警官の正当防衛」とされた。
2014年、ミズーリ州ファーガソン市警の黒人青年マイケル・ブラウン氏射殺のスマホ映像を機に責任追及の闘いが爆発した。また同年、ニューヨークで殺されたエリック・ガーナー氏の「息ができない」という言葉は、黒人解放運動の合言葉となった。だが、明白な物証があるにもかかわらず、すべての警官が無罪放免になっている。全米で3日に1人、黒人が警察に射殺され続けた。
「史上初の黒人大統領」と鳴り物入りで登場したオバマも、警察犯罪への対策をまったく取らなかった。逆に、米軍最高司令官であるオバマが、軍の中古装備の各地警察への払い下げを推進し、黒人解放運動への弾圧を促進したのだ。
この歴代民主党政権が警察内へのネオナチの大量浸透を招いたのであり、公然と差別・襲撃を賛美するトランプ政権の登場を準備した。今トランプは抗議運動への銃撃を叫んでいる。
ミネアポリスは1934年チームスターズ(トラック運転手組合)ゼネストの地だ。労働組合員の組織化を認めない雇用主に対するストに、地域のブルジョア自警団(武装部隊)も襲撃してきた。だが、労働者自身が武装部隊をつくり、断固として攻撃したことによってブルジョア自警団は瓦解した。労働組合の組織化は完勝した。今再びこの地から、弾圧下での組織化が全米に広がっている。
日本でも5月22日、クルド青年が車で走行中、追尾してきたパトカーの警官らに車外に引きずり出されて暴行される事件が発生した。30日には「暴行警官を懲戒免職しろ!」と、200人が渋谷警察署に迫る怒りのデモが闘われた。
アメリカ・全世界で爆発する労働者民衆の闘いと連帯し、怒りの声を共に上げ、この腐敗した社会をひっくり返そう!
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