黒人男性虐殺 抗議デモ全世界に波及 米ILWUは全港湾封鎖へ
黒人男性ジョージ・フロイド氏の虐殺事件は全世界の労働者民衆に衝撃を与えた。「息ができない!」という叫びは、社会によって窒息死させられそうになっているすべての人々の間で響きわたった。
肌の色を理由に、警察権力が公然と人を殺す――。これが何世紀にもわたって続いてきた「日常」だ。国家は決して労働者民衆の命を守らない。逆に国家権力と資本こそが労働者民衆を差別と排外主義で分断支配し、殺し続けてきたことが白日のもとに暴かれた。
アメリカ・オークランドでの抗議行動で、ある白人参加者は「これは『黒人の問題』ではない。自分たち白人の問題だ」と述べた。さまざまな人々が、まさに自分自身の闘いとして抗議行動に参加している。現在の体制を公然と拒否し、新たな社会を求める闘いだ。
6月6日には、1万人以上が集まったワシントンをはじめ全米で史上最大規模の抗議行動が闘われた。初めて行動に参加する青年がほとんどで、白人も多い。
そして9日、アメリカ西海岸のすべての港で、ILWU(国際港湾倉庫労組)の港湾労働者が作業を停止。フロイド氏と、警察による残虐行為の犠牲者全員に敬意を表し、警官デレク・ショービンがフロイド氏の首に体重をかけ続けたのと同じ8分46秒間の黙禱(もくとう)を捧げた。東海岸の労働者を組織するILA(国際港湾労組)も1時間の抗議活動を行った。
ILWUは「人種をめぐる正義の実現は労働組合の任務だ」「警察のテロを止める最も有効な手段は、職場生産点での闘いだ」と訴えている。また警察テロ対策委員会を設置し、奴隷解放の記念日である19日を前に、17日の西海岸全港湾封鎖を呼びかけている。
また、医療労働者も「人種差別が患者を殺す」などと訴えて全米で抗議行動の先頭に立っている。
闘いは直ちに全世界へと拡大した。「イギリスは無実ではない」――。人々の怒りは、奴隷貿易で礎を築いたイギリス帝国主義に向けられている。ブリストルでは奴隷商人の銅像が引き倒されて湾に投げ込まれた。連日、多くの抗議行動が国会議事堂や米大使館前を埋め尽くしている。
多くの黒人の人々が警察に虐殺されてきたフランスでも、新型コロナを口実とした10人以上の集合禁止令を打ち破って数千、数万人規模の行動が続く。ドイツでも各都市で大規模デモが行われている。
オーストラリアのデモでは、先住民に対する差別や警察による暴行・虐殺に抗議の声が上がった。
韓国・ソウルでは5日、移住労組をはじめとする113の団体が米大使館前で記者会見を行い、韓国でも多くの移住労働者や外国人が差別に苦しんでいる現実を訴えた。6日にはソウル都心でデモも行われた。
イラクをはじめ中東でも連帯行動が行われている。
トランプの連邦軍投入計画は破産し、ワシントンに展開していた州兵も撤収させた。これは何より銃口が自らに向けられるのを恐れてのことだ。政権内の分裂も激しく進む。警察予算打ち切り・解体を求める声が強まり、各地で予算削減が開始された。警官4人の免職・起訴で闘いが収束することなどありえない。
帝国主義は、支配の道具としてあらゆる差別を固定化し再生産する。在日朝鮮人・中国人をはじめ在日外国人へのヘイトをあおり、沖縄の人々やアイヌ民族を踏みにじってきた日本帝国主義も同じだ。今こそ差別の元凶・帝国主義を打倒しよう。
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