9・27三里塚全国総決起集会―「空港廃港」を訴え成田ニュータウンをデモ
9月27日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国総決起集会が、成田市の赤坂公園で開かれた。「市東さんの農地を守ろう! 空港機能強化粉砕! 改憲阻止・菅政権打倒!」を真っ向から掲げたこの集会には、全国から440人の労働者・農民・学生・市民が結集し、成田ニュータウンのメインストリートをデモ行進し、空港存亡の危機と鮮やかな対比をなす勝利感に満ちあふれた闘いの一日となった。
本集会を前に、全国労組交流センターと全学連が主催の前段集会がかちとられ、会場の熱気を高めた。
正午を迎え、前半の司会を務める婦人行動隊の宮本麻子さんが開会を宣言。
事務局の伊藤信晴さんが主催者あいさつに立ち、NAA(成田空港会社)が第3滑走路建設などの空港機能強化策をこのコロナ危機のもとでも進めると居直り的に強弁していることを弾劾し、「市東さんの農地を守ることは、全人民の権利を守り、戦争・改憲を阻止する道」と訴えた。
続いて、東峰の萩原富夫さんが基調報告を行った。
冒頭に、新型コロナウイルスの世界的感染爆発によって、東京五輪を背景にした安倍政権の観光立国政策が大破産し、成田空港が存続の危機を迎えていることを確認した。
成田国際線旅客数は9割以上の減少、空港内460店舗のうち264店の休業という惨状だ。NAAは、来年4月まで航空会社100社に着陸料など420億円の支払いを猶予、店にはテナント料95億円を猶予する。計515億円の収入減という深刻な事態だ。
さらに全世界の大航空会社が超巨額の赤字を出し、従業員の大量削減に乗り出している実情を語り、「航空業界の破綻は、世界的な規制緩和・民営化で無理やり観光需要を作り出し、競争を促進させてきたことで生じた。そこにコロナショックが一撃した」と断じた。そしてこの期に及んでNAA田村社長が機能強化策推進を曲げないのは「成田の恥」と切り捨てた。
裁判闘争については、8・24新やぐら裁判反動判決と9・2請求異議控訴審を報告し、10・22請求異議裁判最終弁論への結集を訴えた。
そして、「今や『空港廃港』のスローガンが現実になりつつある。5千億円をかけて造る第3滑走路は白紙撤回以外にない。破産状態のNAAが市東さんの農地を奪うことなど絶対に許さず、農地を守り抜く。同時に労働者の首切りとの闘いが重要だ。経済危機は労働運動再建のチャンスでもある。反対同盟は航空関連労働者とともに闘う。沖縄・福島と連帯し、『空港よりも農業を』と訴え、地域住民とともに静かな生活を取り戻すため闘う。54年の闘争の成果のすべてをかけて空港廃港へ」と熱烈に訴え、参加者全員が大きな拍手で応えた。
連帯のあいさつとして、最初に動労千葉の関道利委員長が立った。反対同盟の営々たる闘いで「成田廃港」が現実の課題となったことを確認した上、JRで「1500億円コストカット」が宣言され、すさまじい労組解体と大合理化攻撃が襲いかかっている重大事態を明らかにし、組織の総力で立ち向かう決意を表した。そして前日の第50回定期大会で、今秋から来春へ「いつでもストを打てる体制」を確立したことを報告し、11・1全国労働者総決起集会への大結集を訴えた。
関西実行委の連帯発言に続き、天神峰の市東孝雄さんが登壇した。裁判で暴かれたNAA(=空港公団)による土地強奪の卑劣な手口の数々を弾劾し、「小作農にも生きていく権利がある。私は『うそをつかない』ことを信条に、完全無農薬・有機農業に取り組んできた。動労千葉、関西生コン支部など労働組合と団結し、沖縄・福島と連帯して闘う」と不動で鮮明な決意を表した。
反対同盟顧問弁護団から4人が登壇し発言した。事務局長の葉山岳夫弁護士は、成田空港が進む破滅と倒産への道を確認し、観光バブルの再生があり得ないことを強調。10・22請求異議控訴審・最終弁論を闘いの「正念場」と位置づけ、東京高裁へ駆けつけるよう熱烈に訴えた。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」と各地の「農地を守る会」が壇上に並び、闘いの決意を表した。群馬・守る会の大塚正之さんは、高崎で開いた9・13集会の大成功を誇らしく報告した。
全国農民会議共同代表で千葉県の米農家の小川浩さんは、安倍農政のもとで日本の農業が「ずたずたにされた」ことに強い憤りを表し、この社会を変える以外に農民の生きる道はないことを強調し、農民自身の課題として市東さんの農地を守りぬく決意を表した。
宮本さんが気概を込めてカンパアピールを行い、後半の司会を決戦本部長の太郎良陽一さんに交代した。
「沖縄・福島からの訴え」として、市東さんの農地を守る沖縄の会と3・11反原発福島行動呼びかけ人の椎名千恵子さんが発言した。椎名さんは、3・11事故から10年の福島で、悪質な事故隠しの攻撃が激化していることを弾劾し、三里塚との連帯を誓った。
さらに全国水平同盟の久原正子委員長、婦人民主クラブ全国協の三浦正子代表、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、動労水戸の木村郁夫委員長などの連帯発言が続いた。星野暁子さんは、天神峰畑の一角に分骨された文昭さんとともに農地を守り、国賠訴訟で獄死の責任を追及し、大坂正明さんの裁判にも勝利する決意を述べた。
さらに、「若狭の原発を考える会」からの連帯アピールが代読・紹介された。
中核派を代表して、前全学連委員長の斎藤郁真同志が発言し、三里塚闘争に注がれた無数の人々の力も合わさって安倍政権を崩壊に追い込んだ勝利を確認し、コロナ危機のもとで立ち上がる学生たちと共に、資本主義を倒す熱い意気込みを表した。
最後に太郎良さんが、「コロナ危機を空港廃港へ!」と呼びかける集会宣言を読み上げ、力強く団結ガンバローの音頭をとり、デモに出発した。
反対同盟がデモの先頭に立ち、宣伝カーからは宮本さんの訴えが一帯に響きわたった。
言うまでもなく成田ニュータウンは、空港のために造成された町。そこに「空港廃港」を正面から訴えるデモが繰り出し席巻し、この日ばかりは町の雰囲気を完全に塗り変えた。
歩道上や住宅から、多くの住民たちがデモを注視した。小学生は笑顔で手を振り、中学生は遠慮なくスマホでデモの写真を撮る。終日曇り空だったが、雲の切れ目から時おり明るい日光が差し、デモの勢いを後押しした。2キロ超のJR成田駅近くまでのデモ行進をやり抜き、全参加者が三里塚勝利とそれぞれの持ち場での奮闘・前進を誓い合った。(TN)
スケジュール
◎第3誘導路裁判
10月9日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁601号法廷
◎請求異議控訴審(最終弁論)
10月22日(木)
午前11時30分 東京・日比谷公園霞門(かすみもん)集合
正午、裁判所へ向けデモ行進に出発
午後2時開廷 東京高裁102号法廷
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