三里塚で第89回空港周辺一斉行動―住民から「機能強化白紙撤回」の声相次ぐ
11月15日、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援連絡会議の仲間は第89回空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。
午前8時半、成田市天神峰の市東孝雄さん宅離れに集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。
市東さんが冒頭、「NAAは破綻した状況を住民に隠している。反対同盟ニュースで明らかにして、地道に訴えていこう」と呼びかけた。
続けて、事務局の伊藤信晴さんは周辺動向について説明した。
今回用意された反対同盟ニュース第84号は、市東さんの農地取り上げを阻む請求異議控訴審で12月17日に判決が指定されたことを受け、東京高裁包囲デモを呼びかける内容だ。2面で、市東さんの最終陳述(別掲)を掲載。3面で、全日空(ANA)が21年3月期の連結純損益が5100億円もの大赤字となる見通しの中、国際線の再開を羽田優先で進め、成田から撤退しようとしていることを暴露。機能強化白紙撤回こそが必要だと訴えている。4面では、「空港拡張は温暖化を進め、災害を招く」「国がやるべきなのは機能強化ではなく、新型コロナウイルスの感染拡大で破壊された生活への支援だ」という地域住民の声。11月23日から天神峰カフェを再開するお知らせも掲載されている。
一同、反対同盟ニュースを手に担当地域へと飛び出した。
この日は、さわやかな秋晴れの下、サツマイモやニンジンの出荷に追われる農家も多かった。そんな中、話に応じてくれた住民からは、空港機能強化は見直されるべきだという声が多く寄せられた。
「B滑走路が閉鎖された時は、本当に静かでよかった」「環境破壊もコロナも人間社会が生み出したようなもの。何の展望もないのに、これ以上空港を広げる必要はない」「第3滑走路は必要ない。政府は違うところに金を使え」「空港のひどい状況は聞いている」「機能強化はやめるべき」
さらに、コロナ下で苦境に立たされている空港関連の店舗で働く労働者からは、形ばかりの「支援」もいつまでも続けることはできないだろうという不安の声が寄せられている。「中国からの訪日客がまったく途絶えてしまい今はほとんど売れない」「訪日客増加の見込みは外れた」「空港関連の仕事は3交代で働いている人が多く、正社員で働いている人は少ない。これから影響がもっと拡大するだろう」
コロナ下にもかかわらず、県外の業者を引き入れ強行されている測量の実態や買収価格の問題についての情報も寄せられた。また、田畑を残したまま移転対象とされている騒音移転区域では、「通い農業」となることへの不安や怒りの声が寄せられた。
さらに、請求異議控訴審判決が迫る中、市東さんの闘いに心を寄せる住民の声もあった。
「市東さんは自分のためというよりは人のためにがんばっているんだね。みんな思うことがあってもなかなか言えないでいるだけ。俺も陰ながら応援している。本当にいい顔だ」
午後4時、再び離れに集まった仲間は一日の集約を行い、さらに攻勢的に空港会社を追い詰め、農地強奪=空港拡張を許さない地元住民の地熱を高めていくことを確認した。
次回一斉行動日は、12月13日。(N)
スケジュール
◎請求異議控訴審 判決
12月17日(木)午前11時30分日比谷霞門集合
正午 デモ行進出発 午後2時開廷 東京高裁
◎耕作権裁判
12月21日(月)午前9時 千葉市葭川(よしかわ)公園集合、市内デモ
午前10時30分開廷 千葉地裁
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