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ウィシュマさん遺族が告訴/入管は殺人の責任をとれ

名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさん(享年33)が今年3月6日に非業の死を遂げてから8カ月。11月9日、遺族が名古屋入管の当時の局長・次長、看守責任者ら7人に対する殺人容疑の告訴状を名古屋地検に提出した。
 遺族らは、名古屋入管が適切な医療を提供せず「死んでも構わない」との未必の故意があったと責任を追及している。妹のポールニマさんは、「姉の様子が映ったビデオを見ましたが、誰が見ても、施設の中で姉が殺されたと分かると思いました。姉に関わったすべての人に責任があります」と語っている。
遺族と代理人弁護団は、国家賠償請求訴訟も準備している。国賠に向けた証拠保全手続きによって、法務省がかたくなに開示を拒否してきたビデオをついに見ることができた(10月1日)。体調を崩し単独室に移されたウィシュマさんの様子を2月22日から亡くなる3月6日まで撮影した約295時間分のビデオだ。ここには入管がウィシュマさんをどう扱ったのか、医療を受けさせず死なせた経過のすべてが記録されている。だからこそ法務省・入管庁は、ビデオ開示を拒否し続けたのだ。
法務省はウィシュマさんの死について8月10日、死因も特定しないまま「最終報告書」を発表し、遺族のみにビデオの一部を見せて「スリランカにお帰りになったらいかがですか」(佐々木聖子入管庁長官)と言い放った。
代理人の指宿昭一弁護士は、「死因ははっきりしている。餓死だ」と断言する。2月15日の尿検査の結果、「ケトン体3+(スリープラス)」という数字が出ている。何を食べても吐き続けていたウィシュマさんは、この時、直ちに緊急入院させなければならない飢餓状態だったのだ。しかし、彼女が再三要求した点滴さえ行われなかった。すべては「仮放免で外に出たいための詐病」だという判断の上だった。「人の命を預かる行政機関としての緊張感や心の込め方が不十分だった」とは佐々木長官の言葉だが、医療を奪い、人としての尊厳を奪う入管の所業は「不十分」などというレベルではない。
最終報告書は、再発防止策として第一に「全職員の意識改革」、第二に「医療体制の整備」を挙げた。
しかし、入管収容施設における職員による暴言・暴行は「意識改革」が叫ばれた後、逆に激発している。8月には牛久入管(東日本入管センター)で被収容者が運動場で警備員に後ろから首を絞められ負傷する事件が起きている。
東京入管ではウィシュマさんのように拒食状態で車いすのスリランカ人に、嘔吐(おうと)用のバケツの底に穴が空いたから「428円払え」というのだ。

「真相究明・責任者処罰を」と掲げデモ(11月7日 東京)

一切の問題は、現行の入管法・入管体制にある。外国人の収容の決定、収容期間の延長、仮放免の可否、つまり人間の自由を奪う拘束・監禁、虐待まですべてが司法判断もなく、入管の独断で行われている。
DVから逃れて助けを求めたウィシュマさんは、在留資格がないだけで入管に収容され、医療も受けられずに殺されてしまった! ウィシュマさんを虐待した責任者として、誰より法務大臣と入管庁長官の責任を追及しなければならない。
入管法・入管体制粉砕へ、労働者の国際連帯で闘おう。難民・避難民を生み出す侵略戦争を阻止しよう!

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