南西諸島の基地化に怒り/東京で反戦・裁判員制度廃止へ集会
6月7日、東京・千代田区霞が関の弁護士会館講堂クレオで「阻もう!戦争、変えるな!9条、現代の『赤紙』裁判員制度廃止6・7集会」が開かれた。主催は「憲法と人権の日弁連をめざす会」と「裁判員制度はいらない!大運動」。労働者・学生140人が結集した。岸田政権が日米共同の中国侵略戦争を決断し自衛隊の南西拠点化、大軍拡と改憲の動きを強める中、これと真っ向から対決する集会が大高揚した。
初めに、南西諸島の軍事化問題を継続的に追い続けているルポライターの西村仁美さんが、「またも戦場にされようとしている琉球弧の現在」と題して約1時間の報告を行った。西村さんは昨年11月に宮古島、今年2月に石垣島を訪れた。住民の暮らしと環境を破壊してミサイル部隊などの自衛隊基地が造られている現地の様子を、スライドを映しながら報告した。同時に、基地に反対して不屈に闘い続ける住民の姿も映し出され、共に闘おうという参加者の共感が広がった。
西村さんは締めくくりに「島の人々の暮らしが基地の犠牲にされることをどうしたら止められるか、悩みながら活動している。メディアがこの問題を取り上げない中、これからも取材を続けて皆さんにお伝えしてゆきたい」と語り、会場から大きな拍手が送られた。
続いて主催者を代表して「大運動」呼びかけ人の高山俊吉弁護士がアピールした。高山さんは、ウクライナ戦争の本質を明らかにし岸田政権の中国侵略戦争・改憲と闘うことを熱烈に訴えた。(要旨別掲)
さらに「めざす会」代表の武内更一弁護士が、最高裁が行った世論調査でも「裁判員をやりたい、やってもよい」と言っている人は2割しかいない現実を指摘し、〝現代の赤紙〟裁判員制度廃止へともに闘おうと呼びかけた。
最後に大坂正明さん救援会の小泉義秀さんが、東京地裁で始まる大坂裁判を裁判員裁判から除外する決定をかちとったことを報告し、大坂さん奪還に向かって全力で闘う決意を述べ、裁判の支援を訴えた。
■高山俊吉弁護士のアピール 「共に戦争絶対反対の行動を」
まず、ウクライナとロシアがなぜ戦っているのか、です。アメリカ・NATOが一体となってゼレンスキー政権をバックアップしている。NATOとは何かといえば、冷戦下でソ連に対抗するための軍事同盟でした。しかし1991年、ソ連が崩壊した。そのことでNATOの存在目的は達成されたはずだった。NATOは創立時12カ国、ソ連崩壊時には16カ国が加盟していた。現在、30カ国が加盟している。対決する相手がいなくなったはずなのに広がり続け、世界の軍事予算の70%を占めている。ロシアを徹底的に制圧してしまおう、NATOは東方進出という形でそれをずっとやってきたのです。
追い詰められた軍事大国が何をするかは、戦前の日本を考えればすぐわかると思う。ゼレンスキーがアメリカでの国会演説で、日本の真珠湾攻撃を引き合いに出してロシアに対抗することを訴えた際、岸田政権は困った。今のロシアと戦前の日本を重ねると構造がわかりやすいので困るのです。ウクライナ戦争はそういう関係の戦争です。
アメリカは実は、ウクライナ戦争を中国侵略戦争につなげようとしている。
アジアにおけるNATOはどこか。それは日本、韓国、インド、オーストラリア、つまりクアッドだ。日本は「不沈空母」とされようとしている。その最前線が沖縄だ。こういう中で私たちは生きている。
自民党は改憲を急ぎ、衆参両院で憲法審査会がすさまじい勢いで進み始めている。野党はどうか。立憲民主党は「防衛力の増強」を公約の中に入れました。共産党は「政権に加わったら『自衛隊は合憲』という立場をとる」と。もはや「違憲」ですらない。野党がそろって、この軍拡の流れを支持している異様さです。
けれども私は、この状況への批判が大きく広がってきていると思います。最近の「朝日歌壇」で十亀弘史さんの短歌が第一席に選ばれました。「軍隊は軍隊をしか守らない交戦国のどちら側でも」。選者のセンスだけではなく、多くの人の共感を得ると思われなければ第一席には選ばれないと思います。「朝日川柳」には「靴音が揃(そろ)い始める抑止論」。これも第一首。みんなの実感はしだいにそうなっている。
この5月、東京でもいくつもの行動がありました。多くの人々が私たちと心を共に行動することに、不抜の確信を持って進もう。
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