全世界でストと実力闘争が爆発/「賃金上げろ!」「戦争やめろ!」 戦時下で自国政府と対決
米欧帝国主義によるウクライナへの兵器供与は戦闘を激化させ、ロシアへの経済制裁は物価騰貴により多くの労働者民衆の命を奪っている。これに対し、ついに米欧帝国主義の足元から労働者階級のストライキ―実力闘争の復権が始まった。自国政府と対決する闘いは戦時下での「挙国一致」体制を打ち破り、全世界の労働者階級が団結して打ち倒すべき敵は帝国主義であることを鮮明に示している。革命情勢は日本にもある。中国侵略戦争阻止へ、巨大な労働者の闘いをつくり出そう!
仏年金改悪に怒り
フランスでは、年金制度改悪に対する抗議行動がマクロン政権打倒の闘いに発展している。政府が年頭に年金支給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げることを柱とする関連法案を発表すると「倒れるまで働き続けろというのか!」と怒りが爆発した。
先頭に立つのは青年・女性労働者だ。今回の制度改悪により、43年間の積立金納入が年金全額受給の条件とされた。出産や育児、介護などで休職や退職を余儀なくされることの多い女性労働者は約4割が条件を満たせず、年金カットに直面する。これに対する怒りが沸騰し、看護師や教員などの女性労働者が率先してデモに出ている。レンヌでは青年が高速道路を封鎖する実力闘争に決起。労学連帯が強化され、大学での集会に労組が合流している。
労働組合の呼びかけにより全国的な抗議行動が繰り返し組織され、10回目の3月28日には全国で200万人が行動に立った。1968年以来最大規模となるゼネストが闘いの柱となっている。この日も清掃労働者を先頭に、国鉄、空港、港湾、教育、製油所、原発などさまざまな現場の労働者がストに入った。
これらのストは単に職場を放棄するだけにとどまらず、街頭行動―機動隊との激突も辞さない実力闘争そのものとして闘い抜かれている。蓄積したフランス労働者階級の怒りは深く、街頭で火炎瓶が飛び交う日が続く。こうしたなかで労働者・市民のスト支持率は70%を超えている。
英社会を覆うスト
イギリスでは昨年夏以来、エネルギー費高騰による生活費の圧迫に対して大規模なゼネストが途切れることなく闘われ、ジョンソン政権が打倒された。3月15日には交通・医療・教育労働者を先頭に全国で数十万人がストに突入し、公立学校の多くが休校となった。首都ロンドンには4万人の教員が結集し、賃上げと教育予算拡充を求めてデモを行った。政府の教育予算カットにより学校の備品すら足りず、十分な数の教員も確保できない状態が続いているためだ。インフレの高進は労働者家族をさらなる困窮にたたき込み、今や公立学校の5校に1校が校内にフードバンクを作っているという。
昨年に賃上げを求めて史上初のストに立った王立看護協会(RCN)をはじめとする医療労働者たちも、組合指導部の裏切りを許さずインフレ率を上回る賃上げを求めて闘争陣形を強化・拡大している。医療・教育・鉄道などの労働者を狙い撃ちするスナク政権の反ストライキ法案は怒りの炎に油を注ぎ、4月も連日のストが計画されている。
欧州各国で大闘争
ウクライナ戦争に反対する労働者階級の国際連帯闘争は確実に発展している。イタリアでは2月25日に全土でウクライナ反戦デモが行われ、ジェノバには港湾労働者1万人が結集。「イタリア政府によるウクライナへの武器供与は戦争を激化させるものだ」と弾劾し、武器輸送阻止を宣言した。3月28日には、独立労組S・I・Cobasがフランスの年金改悪反対闘争と連帯して物流部門を中心とするストに立った。
ウクライナへの戦車供与に過半数が反対するドイツでも3月27日、統一サービス産業労組と鉄道運輸労組が賃上げを求めて全国で24時間ストに突入。約30年ぶりの大規模ストで、鉄道をはじめほぼすべての公共交通機関を止めた。
米教育ストで勝利
イラク戦争開戦から20年を前にした3月18日、米首都ワシントンのホワイトハウス前で「イラク戦争を忘れるな!」と訴える数千人規模の大集会・デモが行われた。
米労働者民衆にとって、イラク戦争は決して「過去の戦争」ではなく、人民と兵士の犠牲の上に軍需産業が空前の利益を上げる現在のウクライナ戦争に直結している。巨大銀行破綻やIT産業での大量解雇で多くの人々が路上に放り出されるなか「戦争に金を出すな!」の訴えは切実だ。
集会参加者は「われわれは二度とだまされない」「終わりなき戦争を止めろ!」と声を上げ、ウクライナ戦争の即時停止、北大西洋条約機構(NATO)解体、米中戦争反対を訴えた。同日はサンフランシスコでも約千人が集まるなど、ウクライナ戦争開始以降で最大の行動となった。
3月21〜23日にはカリフォルニア州のロサンゼルス統一学区で、学校職員の組合SEIU99支部に所属するカフェテリアの労働者やバスの運転手ら3万人が数百の現場でストに突入した。学区当局の「違法スト」キャンペーンを打ち破り賃上げや人員拡充を求める闘いに、ロサンゼルス統一教組(UTLA)も連帯ストに決起。地域ぐるみの闘いは、30%の賃上げをかちとる鮮やかな勝利を収めた。
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