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闘いの炎は全世界に広がる フランス 150万人の歴史的ゼネスト 年金制度改悪に怒り

黄色いベスト運動も労組ストに合流

年金改革反対。ポイント制は自分のためにも子どもたちのためにもならない」。横断幕を掲げて進むデモ隊(12月5日 フランス・リモージュ)

12月5日、マクロン政権による年金制度改悪攻撃に抗議し、フランス全土で150万人が参加して大規模な抗議行動が闘われた。
闘いの主軸を担ったのは公共部門の労働者たちだ。フランス国鉄(SNCF)をはじめとする交通機関の労働者、航空管制官、医療労働者、教育労働者、消防隊員、弁護士らがゼネラルストライキに突入した。
これにより国鉄は9割の電車が止まり、パリの地下鉄は16路線中11路線が運行を停止。高速鉄道やエールフランスなどの航空便も大幅に運休し、街頭はデモに出た労働者民衆であふれた。製油所の労働者も大半がストに入った。多くの学校が休校となり、児童らもデモに参加した。エッフェル塔やルーブル美術館、ベルサイユ宮殿もストで閉鎖。全国で行われたデモの数は約200に上る。
とりわけ重要なのは、政府による燃料税引き上げ提案に端を発し、1年以上にわたってロータリー占拠を続ける「黄色いベスト」運動がこの闘いに合流したことだ。マクロンへの怒りの声と行動が文字通りフランス全土を覆い尽くし、1995年以来の大規模ゼネストが実現した。
 国鉄などでは週明け以降もストが継続されており、10日のデモにも全国で90万人近くが参加。政府の対応によってはクリスマスまでストが続けられるとの予測もある。闘う人々の決意は固く、ある労働者は「ストの長期化に備えて1カ月間節約し、必要な資金をためた」と語る。
積もりに積もった怒り解き放つ闘い
「フランス社会は危機にさらされている」――11月に行われた世論調査では、実に89%もの人々がこう回答した。今回の巨大な闘いの背景には、公共部門が切り捨てられ生活が苦しくなっているという実感、「このままでは生きていけない」という労働者民衆の切実な危機感と怒りがある。
現在のフランスの年金制度は、公務員・民間企業労働者・農業従事者・自営業者など、職種と業務内容によって42種類に細分化されている。これを一本化しようとするのが今回の改悪である。マクロン政権は、鉄道労働者や公務員労働者が他の業種に比べて早期の退職を認められていることを「優遇制度」であるとして標的にし、「特権の廃止=均等化」を打ち出している。実際に生じる結果は、すべての労働者に対する年金支給開始年齢の引き上げ、年金受給額の減額である。年金制度の一本化により、労働者は一日働くとポイントが与えられ、それに応じて年金支給額が決まるシステム=ポイント制度に組み込まれる。年金保険赤字の解消=財政再建を掲げた年金制度の改悪は、マクロン政権が就任以来、一貫して行ってきた労働法制改革の総仕上げである。
しかしフランスでは、労働者が不屈の闘いで新自由主義攻撃の貫徹を阻み、国鉄の民営化も実力で止めてきた。マクロンはこの間、国鉄をはじめとする「公共部門の労働者は優遇されている」と宣伝することで労働者の間に分断を持ち込み、労働者階級総体の権利剝奪と低賃金化を狙ってきた。しかし今回の闘いは、この卑劣なキャンペーンを打ち破って進んでいる。さらに黄色いベスト運動と労働組合の闘いとが相互に影響し合い、全国・全人民がマクロン政権に立ち向かっている。
フィリップ首相は11日に年金改革案の全容を公表する。それ次第で闘いはさらに長期・大規模化する。日本でも続こう。

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