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千葉地裁で6人の勾留理由開示公判―島田裁判官を追及

勾留理由開示公判開廷に先立ち、「弾圧許すな!6人の仲間を釈放しろ」と叫び千葉市中央公園からデモに出発(5月29日)

三里塚闘争、G7広島サミット粉砕闘争の前進・高揚に対し、国家権力は見境のない政治弾圧をかけている。2・15~16天神峰強制執行阻止決戦での「窃盗」「公務執行妨害」のでっち上げ容疑で逮捕された仲間たち6人の勾留理由開示公判が、5月29日、千葉地裁で開かれた。
この法廷に労働者・農民・学生の怒りが集中することを恐れた権力は、この日朝に警視庁公安と機動隊を動員して東京都江戸川区の前進社本社に対して、午前中いっぱい家宅捜索を行った(容疑は5月18日の広島でのデモ中の不当逮捕)。
一方千葉地裁は、午後に開かれる同法廷の傍聴券の抽選・配布を午前11時に行うことを、弁護人にも通知せず抜き打ち的に決めた。前代未聞のことだ。
要するに、傍聴への結集を何とか抑止・妨害しようと苦し紛れに手を打ったわけだが、こんな姑息な「連携プレー」は闘う労農学人民の怒りの火に油を注ぐだけだった。
11時過ぎ、千葉地裁庁舎のわきに傍聴希望者60人が列を作ったが、総出で対応にあたる裁判所職員は予定時刻を過ぎても、抽選作業がまだ続いているようなふりをして傍聴券を配らず佇んでいる。11時30分にデモ出発が予定されていることを知った上での意図的遅延行為としか考えられない。「傍聴妨害をやめろ!」「傍聴券を交付しろ!」の怒りの声が次々と噴出して、やっと傍聴券が配られた。

デモ後ただちに門前に集合し、国家権力と一体となった千葉地裁による弾圧と傍聴妨害にシュプレヒコールをたたきつけた

すぐさま全員が千葉市中央公園に駆けつけ、直ちにデモに出発した。三里塚反対同盟と動労千葉ののぼりを先頭に力強く行進し、宣伝カーからは「6人を釈放しろ」「弾圧を許さない」「G7サミットを粉砕したぞ」の声が市内にとどろいた。
デモ後の昼休み、再び千葉地裁前に集合して情宣活動を行い、警察と職員によるものものしい警備に抗議しながら「仲間たちを今すぐ返せ!」とこぶしを突き上げた。
午後1時30分に1回目の裁判が開かれた。席数はわずか18。傍聴者は厳重な身体検査、荷物検査を強いられて入廷。狭い廷内には、あらかじめ10人以上の屈強な職員が手袋をして構えている。物々しい警備法廷だ。
島田環(たまき)裁判官が傍聴者に向けて、「騒ぐな、声を出すな、拍手するな。従わなければ退廷」などの注意をまくしたてた。
Aさん、Bさん、Cさんの3人が、腰縄と一体となったベスト様の拘束衣を着用させられ、手錠をかけられた姿で入廷した。あらためて弾圧への怒りが湧き上がる。これらの拘束が外された上、1人につき2人の警察官が両脇をかためる「サンドイッチ警護」の形で着席した。

島田環裁判官 千葉地裁刑事第3部

島田裁判官がそれぞれに氏名、年齢、住所、職業などを尋ねるが、答える者はいない。続けて島田は3人の容疑を読み上げた。2・15強制執行当日に、「警察官が首からぶら下げた文書ファイルが落下。そのすきにA、Bは共謀して持ち去った」「Cは、現場で逮捕・連行されていく2人を奪還しようとしたが制止され、警察官に腕を巻きつけ転倒させようとした」などと述べ、「罪証を隠滅し逃亡する疑いがあるから勾留している」と開き直った。
傍聴席からは絶えず抗議と弾劾の声が飛ぶ。吉田哲也弁護士、森川文人弁護士が舌鋒鋭く求釈明を行った。「共謀というが事前共謀か、現場共謀か」「強制執行とは、何の強制執行か。なぜ夜間に行ったのか」「窃盗? 落とし物を拾ったのとどこが違うのか」「2人を奪還しようとしてというが、その2人はそのとき何をして逮捕・連行されたのか。それは適法か」「2月15日の事件で3か月もたってからの逮捕。その間に警察は何をしていたのか」「罪証隠滅のおそれとは具体的には何か」
これらの問いに対し島田はことごとく、「答える必要はない」「被疑事実は要旨記載で十分」「釈明の必要はない」とリピート再生のように繰り返した。だが声は確信なく震えている。
「ふざけるな!」「まじめに答えろ!」と傍聴席から怒りの声が続々と上がると、島田は学生2人、さらに抗議した反対同盟の伊藤信晴さんに退廷を命じた。一人に職員が数人がかりで襲いかかり、敷地外まで追放するため暴力的に連行していく。法廷は怒声に満ち、怒りのるつぼと化した。
森川弁護士が意見表明を行った。この逮捕は帝国主義首脳会議・G7サミット粉砕闘争への不当弾圧である。サミットは米・NATOブロックによる核戦争準備会議であり、これへの抗議の声を押しつぶすための「白色テロ」として逮捕が行われた。天神峰の市東さんの農地に対する強制執行は国家的犯罪であり、「公務」そのものが違法だ。成田空港への軍事利用について浜田防衛相が言及したとたんに強制執行が行われた。岸田政権の軍事国家化・戦争政策に反対することは闘う者の歴史的義務。島田裁判官は国家の暴力装置の一環になり果てている!
鉄面皮を装う島田だが、閉廷まぎわになってもなおやまない傍聴席からの激しい弾劾・抗議の声に堪え切れず、赤嶺知晃全学連委員長を暴力的に退廷させた。
2回目の裁判が3時15分に、またしても島田裁判官のもとで開廷した。三里塚現地で闘うDさん、Eさん、Fさんが入廷。傍聴者の激励に応え、みな元気そうに手を上げる。
島田が読み上げる容疑によれば、「3人は共謀して警察官の胸ぐらをつかみ、あるいは右手でヘッドロックをかけ、ヘルメットの上から両手で警官の頭をたたいた」ので公妨だと。そしてやはり罪証隠滅や逃亡のおそれがあるから勾留延長したという。
吉田弁護士が求釈明で、「片手でヘッドロックをかけて両手でたたいた? あまりにも不自然ではないか。そして、機動隊はよく隊長の指揮棒でたたかれているが、ヘルの上からたたかれても痛くもなんともない。なぜそんな程度のことで20日間も勾留されるのか」と迫った。また、取り調べで警察が「考え直す時間をやる」などとあからさまな政治的転向を求めていることを暴き、「事件から3か月もたっての逮捕は捜査側の怠慢に過ぎず、勾留延長の理由にはならない」と指摘した。
島田は相変わらず「答える必要はない」を繰り返すが、その声はだんだん小さくなる一方だ。傍聴席からは「何のために開示公判開いたんだ!」「自分の言葉でしゃべってみろ!」と何度もヤジられ、心は折れかけ、すでに退廷命令を出す気力さえ消失している。

2回にわたって開かれた勾留開示公判闘争をやりぬいて、総括集会。弁護人とともに6人の仲間の早期奪還を誓う

さらに、この開示公判の日取りを一方的に先送りにして満期直前の29日とした上、傍聴券抽選・配布を午前11時と勝手に決め(2時間半も前!)弁護人にも連絡しなかったことについて、吉田弁護士は「だまし打ちか!」と一喝。島田はいったん絶句しながら、苦しそうに「答えない」。
最後に弁護人の意見として、市東さんの天神峰農地強奪の強制執行を激しく断罪した。そして、島田がその強制執行の内容について問われても口をつぐみ、何ら勾留延長の理由について明らかにできなかったことを指摘し、勾留を即刻取り消すよう求めた。
一日の激闘を闘いぬき、すでに夕刻。場所を移動して総括集会をもち、6人の完全黙秘の獄中闘争に応え、釈放・奪還をかちとることを誓い合った。(TN)

スケジュール
◎空港拡張差し止め裁判 6月2日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎7・2天神峰現地闘争&農楽まつり 7月2日(日)午前11時 市東さんの南台の畑集合、萩原さんの清水の畑までデモ
12時15分農楽まつり(@清水の畑)バンド演奏など
※飲食あり 昼食は持参してください(雨天中止)
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

●付記
島田環裁判官は、2022年8月5日に行われた「千葉地裁夏休み広報企画/おしえて!裁判官!」で、招待した小学生たちのインタビューに答えて次のように述べている。小学生を相手にこのように模範的な裁判官像を語った島田は、1年もたたぬうちにその逆の道を行く自分を発見せざるをえない。

https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/2022/R4.nastuyasumikouhougyouji.pdf

「私自身が、これまでに多くの裁判官と接して思うのは、他の人の意見に耳を傾け、自分の考えにこだわらず、自分が間違っていたと思ったら、素直に直し、他の人の意見を取り入れたり、じゅうなんに考えたりすることができる能力だと思います。
裁判官は、良心にしたがい、独立して仕事を行う、憲法と法律だけに拘束されることが憲法で決められていますが、これは、ひとりよがりになるということでは決してありません。私は、自分の判断が説得力のある、バランスのとれたものになるためにも、いろいろな人の意見をそんちょうし、十分に吸収し、自分の考えをじゅうなんに変更できることが、とても重要な資質ではないか、と考えています」

「私が意識しているのは、一つ一つの事件に、ていねいに、真剣に向き合って裁判をすることです。私たち裁判官にとって、裁判は毎日の仕事ではありますが、裁判を受ける被告人や事件の被害者にとっては、その後の人生を大きく変えるかもしれない大切な局であるかもしれません。そのような仕事であることを日々忘れずに裁判に向き合いたいと思います。
また、判決を決めるときには、判決した後にその結論や理由に誤りがあったと後悔しないように、一生けんめい考え、わからないことは調べ、他の人の意見を聞き、さらに考えて表現をねりなおしたりして、納得するまで考えるようにしています」

刑事3部・島田環裁判官と民事2部・林拓也裁判官(左から)が小学生の質問に答える企画(千葉地裁のサイトより)

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