市東さん耕作権裁判、NAAへの怒りが法廷を圧倒
7月26日、千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判が千葉地裁で開かれ、団結街道封鎖攻撃への怒りに燃えて、反対同盟と支援の労働者・学生が結集し傍聴席を埋めた。
この裁判は、市東さんが耕す南台(現闘本部となり)の畑の一部を成田空港会社(NAA)が「不法耕作」と決めつけて提訴し、明け渡しを求めたもの。だが、祖父の代から受け継ぐ耕作地を耕してきた農民を「不法」呼ばわりする資格が1ミリでもNAAにあるのか。買収の事実の長期間隠匿、土地の位置特定のでたらめ、農地法違反の「不在地主」問題など、数々の不法・脱法を働いてきたのはNAA(旧空港公団)だ!
開廷直後に反対同盟顧問弁護団が立って、NAAがこの裁判の途中でありながら団結街道の封鎖を強行し、市東さんの営農を直接妨害していることを断罪した。
裁判が進むにつれて次々と破綻をさらけ出してきたNAA側は、求釈明にはまともに答えず、法廷ではだんまりを決め込むという卑劣さだ。旧地主との買収交渉の記録を提出するよう求めたことに対し、NAAは、「担当者だった上原亮治が亡くなったので釈明は不用」と言い出した。冗談じゃない! 担当者の一個人が死んだことが、どうして記録を出さない理由になるのか。傍聴席からの怒りの声で法廷が満たされた。白石史子裁判長は反対同盟側に「農地法違反についてなどの主張を先にやったらどうか」などと水を向けてきたが、弁護団は「NAAにまともな釈明を出させるのが先だ」と一蹴した。
さらに裁判長が、原告NAA側の準備書面の文意を確かめる意味で「上原亮治が交渉の担当者だったということですね」と尋ねたところ、NAAの代理人弁護士たちはあわててひそひそ話をやり始めた末に「釈明については従来より口頭では差し控えている」と言う。どこまで情けない見下げ果てたやつらだ。傍聴者からの弾劾の声は特に、かつて千葉地裁の裁判長で今やNAA代理人の頭目に収まる上野至に向けられた。恥を知れ!
次回期日を10月18日(月)とし裁判長が閉廷を宣すると、市東さんがつかつかとNAA代理人席に歩み寄り、静かな口調で、だがはっきりと「午前3時にこそこそやるようなまねをするんじゃない。空港会社によく言っておけ」と告げた。NAAの弁護士は脅えた表情で視線も合わせられない。
弁護士会館で記者会見と報告会が行われた。最初に市東さんが立ち、逮捕から奪還までの過程で受けた支援・激励についてていねいにお礼を述べ「向こうはへたにしゃべるとボロが出るから黙ったままだが、こんな汚いやり方を許さず断固闘っていきます」と決意を表した。参加者は万雷の拍手で応えた。葉山岳夫弁護士を始め弁護団が裁判の解説をして、今後も徹底的に求釈明を行っていくことを明らかにした。北原鉱治事務局長は「今日の裁判は本当にあきれた。徹底的にたたきのめさないとだめだ」と怒りをあらわにした。
市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉、関実が連帯のあいさつを行った。動労千葉の滝口誠さんは「米韓合同軍事演習が行われている。JRは指定公共機関であり、軍需物資輸送を拒否すれば労働者の逮捕、解雇などの攻撃が予想される。反対同盟との共闘を教訓として、動労千葉は戦争協力を絶対に拒否する」と鮮明な決意を述べた。最後に司会の鈴木謙太郎さんが「猛暑の中、裁判闘争、現地攻防が続く。体に気をつけてがんばりましょう」と一同の奮闘をねぎらった。
国家権力・NAAは団結街道の封鎖を強行しながら、見通しも成算も、取りつくろう言葉もないありさまだ。正義は三里塚農民にあり。援農に、現地攻防に、裁判傍聴に駆けつけよう。第3誘導路を粉砕しよう!(TN)
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