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三里塚第3誘導路裁判―「空港機能強化は侵略戦争への加担」

第3誘導路裁判閉廷後、反対同盟顧問弁護団は傍聴者に向けて裁判の現局面を解説し勝利への展望を語った。発言は事務局長の葉山岳夫弁護士(4月22日 千葉市)

4月22日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で、第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、「農地死守・空港廃港」の決意も固く闘いぬいた。
この裁判は、反対同盟が国と成田空港会社(NAA)に対し、基本計画を無視して行った平行滑走路=暫定B’滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という、二つの「変更許可処分」の違憲・違法性を追及し、B’滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めているもの。東日本大震災―福島第一原発事故直後の2011年3月29日に初弁論が行われてから、すでに11年を超える裁判となり、新型コロナ状況のもとで半年ぶりの開廷となった。この日は両陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、弁護団が意見陳述を行った。
最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が立ち、軍事空港としての成田の本質を鋭く追及した。1966年の閣議決定直後、自民党政府は国会での野党からの質問に対し、「米国が新東京国際空港の軍事的使用を要請してきた時は断ることができない」むね回答していた。そして現在、プーチン・ロシアによるウクライナ侵略戦争が続いている中で、米・NATOが大量の武器をウクライナに提供し、日本政府もヘルメット・防弾チョッキを供与して事実上の参戦国となっていることを強く批判した。そうした中で、米日帝国主義の中国に対する侵略戦争が極めて切迫し、安倍前首相は「敵中枢への攻撃」もあからさまに口にしながら戦争をあおり、岸田政権は沖縄・南西諸島における自衛隊基地建設とミサイル配備を進めている。このことと成田の機能強化は決して無関係ではなく、有事の際には成田も必ず軍事使用にされるだろう。葉山弁護士はこれらのことを鋭く指摘し、「成田は民間空港と標榜していても、機能強化は間近に迫った侵略戦争への加担である」と弾劾した。
さらに弁護団が次々と立ち、空港の存在そのものを問う批判をたたきつけた。新型コロナパンデミックのもとで世界の航空需要は激減し、もはや回復など見込めないことによって機能強化推進論の根拠が完全に失われている。空港の騒音被害は機能強化によって拡大・深刻化し周辺に住民の健康と命を破壊することは明らかだ。「基本計画」を無視して変更を重ねて空港施設を継ぎ足し建設してきた上、今や機能強化と称して3000メートルの新滑走路を建設し敷地の2倍化を進めるなど到底許されない。もともと豊かな農業生産地域としてあった北総一帯を空港拡張によって一層破壊することには何らの「公共性」もない。
10人も居並ぶ国とNAAの代理人弁護士は沈黙したままだが、自らが擁護すべき成田の惨状と罪業を次々と突きつけられ、あせりと不安を表情ににじませている。
裁判長は淡々と手続きを進める風を装い、次回期日を7月8日と指定した。
閉廷後に反対同盟と弁護団が、傍聴者に今回の法廷の意義を解説した。新たに就いた若い陪席裁判官らに、成田空港問題=三里塚闘争とは何かについて根本から認識させるためにも、更新意見などを通じて何度も徹底的に論じていくことが決定的だ。そして、周辺住民による騒音問題での訴訟が始まる中で、この裁判はそれと連動し重要な意味を持つ。

「改定」と称して基本計画を踏みにじり、その時々のつごうで拡張・施設建造を繰り返してきた成田空港。第3滑走路建設で敷地は2倍化、全長10キロに。コロナ状況のもとで航空需要は激減し、今や成田空港は住民にとって「巨大迷惑施設」と化している

また「訴訟手続きの効率化」と称して「民事裁判のIT化」が画策され、口頭主義が破壊されようとしていることにも警鐘が鳴らされた〔法廷にかわるウェブ会議、テレビ通話での証人尋問、オンライン通達(判決文をダウンロード!)など〕。
最後に反対同盟事務局の伊藤信晴さんが、目前の25日の耕作権裁判・デモへの決起を訴えた。(TN)

スケジュール
◎耕作権裁判
4月25日(月)午前9時 千葉市中央公園集合→市内デモ
午前10時30分開廷 千葉地裁
◎新やぐら控訴審
5月9日(月)午前11時30分 日比谷公園霞門集合→霞が関デモ
午後2時開廷 東京高裁

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