三里塚団結街道裁判―6人逮捕の不当弾圧に反撃
千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で5月12日、団結街道裁判が開かれた。前日の11日、警視庁、千葉県警、神奈川県警の「合同捜査」本部は、3カ月前の2・15天神峰強制執行阻止決戦における「公務執行妨害」「窃盗」の容疑をでっち上げて、前進社本社、三里塚現地など8カ所を家宅捜索し6人を逮捕した。この大弾圧に対する怒りに燃えて、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援連の仲間たちは裁判傍聴を前に、不当捜索を許可した千葉地裁の門前に朝から陣取り、弾圧粉砕、逮捕者全員の即時釈放を訴えて怒りの抗議・宣伝活動を行った。
午前10時30分に開廷。
団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)は、天神峰で営農する市東孝雄さんにとって、自宅と南台の耕作地を直線で結ぶ、日々の農作業に不可欠の道路であった。その道を成田市は、2010年6月に夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、土地を格安で成田空港会社(NAA)に売り飛ばすという暴挙に及んだ。その違法性を徹底的に追及する上で、成田市の最高責任者である小泉一成市長への証人尋問は不可欠だが、裁判所は約5年にわたり小泉市長証人採用の判断を先送りし続けてきた。
裁判長が内野俊夫から岡山に交代したことで、この日は更新手続きとして、反対同盟顧問弁護団の意見表明が行われた。
本件道路廃止処分の手続きは明白に、成田空港の第3誘導路を造る上でじゃまだからということで進められた。被告NAAは被告市に3月の成田市議会での路線廃止を働きかけ、市は代替道路のできていないまま、3月議会に議案を提出し「廃道」を決定とした。住民の生活と営農のために現に頻繁に使われている道が行政によって、しかもNAAという一企業の要請で「廃道」にされるなど前代未聞だ!
当時の成田市土木部長で道路行政の責任ある立場にあったはずの中村壽孝が、2018年2月に証言に立ったが、廃止手続きの過程についての質問に対し、ことごとく「わからない」「知らない」を連発し、証人としての体をなさなかった。道路法10条に規定された廃道要件を満たさず、違法な廃道であったことは明らかだ。
結局この廃道は「政治的案件」として、最高責任者である小泉市長の「ツルの一声」で強行されたということだ。小泉市長への尋問は必要不可欠である。市は中村証言の破綻をつくろうために、松本光平(当時土木部道路管理課主任)を証人請求しているが、中村より格下の者を呼んでも意味がない。
裁判所は小泉市長の証人採用を言を左右にして先延ばしにしてきたが、許されない。直ちに採用を決めよ。
原告の一人である市東さんの天神峰耕作地に対し、2月15日に強行された強制執行は断じて許すことはできない。そして市東さんのもとに駆けつけともに「絶対反対」の声を上げた6人の人々が、昨日不当逮捕された。空港建設のために農業・農地をつぶすことを是とする成田空港の根本思想が間違っている。全世界的な食料危機のもとで日本も深刻な食料問題に直面している。この上なお農民・住民を追い出してもう一本滑走路を造ろうなどということは許されない。
直ちに、小泉市長の証人採用を決定せよ。
この明解な弁護団の主張と要求に対し、居並ぶ市とNAAの代理人弁護士は無表情を装い沈黙するのみ。
岡山裁判長は「一件記録を見て、この裁判があまり動いていないことは何となく知っている」などと、他人事のようにつぶやいた。無責任な言いぐさだ。「動いてない」というなら、その責任は前任者・内野裁判長による小泉市長証人採否の先送りにあることを認め、直ちに採用の判断を下せ。
次回期日を7月14日として、この日は閉廷した。
千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。弁護団それぞれが発言し、参加者からの質問に応えた。その中で、前任の内野裁判長が弁護団との進行協議の場で、この裁判の主要な争点として「空港拡張の必要性があったか否かが重要だ」と発言したことがあらためて暴かれた。これは「空港拡張=第3誘導路建設が国策として重要と証明されれば、道路法の要件を満たしていなくてもかまわない」とする大問題発言であり、被告らも主張していないことまで裁判官が口にしたものだ。
最後に太郎良陽一さんが発言に立ち、前日の弾圧に対する怒りを表した上、今後の闘争日程として、5月22日の耕作権裁判&デモ、そして7月2日の現地闘争を「農楽まつり」として萩原富夫さんの畑で開催することを告知した。
参加者一同は再び千葉地裁前に陣取って情宣を行い、不当弾圧弾劾の怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
さらに午後、勾留質問で千葉地裁に移送されてくる不当逮捕された6人の仲間への激励行動が、車両通用門前で行われた。門を入っていく警察の押送車両は「目隠し」によって中まで見通すことはできないが、そこに乗せらている仲間に向けて、渾身のエールを送り続けた。
反対同盟宣伝カーからは今回の逮捕が、体を張って農地を守るために闘った三里塚反対同盟と支援の人々への不当極まりないで弾圧であること、同時に1週間後に迫った帝国主義首脳の戦争会議であるG7広島サミット開催へ向けた事前弾圧であることを徹底的に暴露した。
「窃盗」「公務執行妨害」の罪名を並べるが、農地強奪、農地強盗として襲いかかってきたのはNAAであり千葉県警だ。この不当・不法に体を張って実力で闘うことは人民の権利だ。実際に2・15強制執行の現場では、酷寒の中で徒手空拳の学生・労働者・農民・人民の実力闘争に対し、完全武装で現れた警察・機動隊が次々とさんざんに打ちのめされ、たたき伏せられたのだ。報道によればその当日「警備関係の書類」を警察が失くしたということらしいが、他人に「窃盗」の罪を着せる前にそんな重要文書を見失った己の失態を恥じるがいい。
このなりふりかまわぬ弾圧は、日本帝国主義・支配階級の危機の表れにほかならない。
サミット弾圧に対するわれわれの回答は、さらなる怒りで、広島G7サミットをずたずたに粉砕することだ。(TN)
スケジュール
◎G7サミット粉砕5・19広島行動 5月19日(金)午前10時 広島市袋町公園(広島市中区袋町9―9) G7首脳平和公園訪問弾劾デモ
午後1時 袋町公園 全国総決起集会
◎耕作権裁判 5月22日(月)午前9時 千葉市中央公園集合→市内デモ 午前10時30分開廷 千葉地裁
◎空港拡張差し止め裁判 6月2日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎農楽まつり 7月2日(日)三里塚現地
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