1. HOME
  2. ブログ
  3. 日韓連帯こそ戦争を阻む力 国際連帯20年 ソウルで記念行事

日韓連帯こそ戦争を阻む力 国際連帯20年 ソウルで記念行事

民営化・労働弾圧と闘う韓日労働者が参加

「韓・日労働者共同声明」が、民主労総ソウル地域本部・イヒョンミ本部長職務代行(中央)ら6人、動労千葉・関道利委員長ら4人により読み上げられると、会場は大きな拍手に包まれた(11月12日 ソウル)

11月12日、民主労総ソウル地域本部の大講堂で「韓日国際交流事業20周年記念式・理念交流会」が開催された。第1部の記念式では、民主労総ソウル本部・イヒョンミ本部長職務代行と動労千葉・関道利委員長のあいさつに続いて韓日双方の参加者が紹介された。

韓国からは、ソウル本部に加えて公共運輸労組、保健医療労組、女性委員長、全国鉄道労組、鉄道労組ソウル地方本部、移住労組、公務員労組、金属労組・旭非正規職支会、セジョンホテル労組、星州(ソンジュ)ソソンリでサード(THAAD=高高度迎撃ミサイルシステム)配備に反対して闘ってきた仲間などが参加。日本からは、動労千葉に加えて全学連、港合同、旭非正規職支会支援共闘会議、日教組奈良市、高槻医療福祉労組、群馬合同労組が参加した。ドイツ・鉄道労働者ネットワークの仲間も合流した。

続く連帯あいさつで、鉄道労組ソウル地方本部のカンジョンナム本部長はユンソンニョル政権による鉄道民営化攻撃との闘いを報告し、「労働者民衆に国境はない。地域や国境を越えて団結して闘おう」と訴えた。多くの組合員と共に参加した旭支会のチャホノ支会長は「日本の同志たちの戦争反対の闘い、階級的連帯から学んできた」と、完全勝利への決意を語った。

東アジアの戦争とめる

第2部の理念交流では、ソウル本部・キムハニ事務次長、動労千葉・関委員長がそれぞれ提起を行った。

キム事務次長は、イラク戦争のただ中で日韓連帯が始まった2003年と、ウクライナ、パレスチナで戦争が続く現在との類似点から切り出した。続いて、米日政府が急ピッチで進める南西諸島の軍事要塞化と一体で「韓国はアメリカによる中国包囲のミサイル防御体系構築において最前線で必要な役割を要求されている」とし、「韓日の労働者が韓米日同盟と戦争体制に反対して闘うことはとても重要だ」と強調。労組弾圧、労働者民衆の生活破壊を強行するユン政権との闘いの死活性を語った。
そして最後に「20年前と現在との最も大きな違いは私たち自身だ。私たちがこの20年間つくってきた変化と、その過程で積み上げてきた力だ。私たち自身が掘り起こした成果と力を信じ、労働弾圧と市場主義に立ち向かい、より強く連帯して闘おう」と呼びかけて締めくくった。

関委員長は、世界戦争危機の中で「労働者の国境を越えた団結こそが戦争を阻止する力だ。日韓労働者の国際連帯には、東アジアにおける戦争を阻止する具体的な展望がある」と力をこめて訴えた。さらに、岸田政権が強行した福島原発汚染水海洋放出に対する民主労総の闘いにふれ、「この闘いを本当の意味での国際連帯闘争に発展させるためには、私たち日本の労働者の闘いが問われている」と語り、日本から核と戦争に絶対反対の闘いを巻き起こしていく決意を述べた。最後に、日本労働運動の再生をかけて11・19集会をかちとることを誓った。

最後に韓日労働者共同声明(全文下部に掲載)を壇上に並んだ韓日の代表10人が交互に朗読し、拍手で確認した。第3部の交流会では食事を共にし、さらなる団結と連帯を誓い合った。

〈韓・日労働者共同声明〉

私たち韓・日労働者は、国際連帯20周年を迎え、現在直面した重大な情勢の中で、以下の通り訴えます。
ウクライナにおける戦争は長期化・泥沼化し、一方イスラエルは、パレスチナ自治区であるガザで、凄惨(せいさん)な虐殺を強行しています。断じて許すことができません。戦争はヨーロッパから中東に拡大しています。
全世界的戦争危機の中で、私たち韓・日労働者の最大の課題は、東アジアにおける戦争を阻止することです。「ロシアを抑えつけ、中国を打ち負かす」という米国家安全保障戦略の下、韓―日―米3カ国で初の合同空中訓練が行われるなど、「3国軍事同盟」構築が進められています。朝鮮半島における軍事的緊張が高められ、「台湾有事の危機」が叫ばれ、東アジアにおける戦争の危機が高まっています。
日本の岸田政権は、米国家安全保障戦略の一翼を担い、「5年で43兆円」の大軍拡や数々の反動法成立の強行、沖縄―南西諸島の軍事拠点化、戦争国家へと臨界点を超えて突き進んでいます。原発再稼働・核武装のために、福島原発汚染水の海洋放出という暴挙に出ています。こうした戦争政策と一体で、民営化攻撃が吹き荒れています。関西生コン支部への歴史的な弾圧、JRにおける「労組なき社会」化攻撃等、労働組合弾圧を際限なく行っています。
韓国ユンソンニョル政権は、大規模な韓・米軍事訓練などで朝鮮半島の軍事的緊張を高め、戦争の脅威をあおっています。また、ユンソンニョル政権は、露骨に富者の利害を代弁し、労働者民衆を弾圧しています。建設労組に対する大々的な弾圧をはじめ、民主労総への弾圧と労組嫌悪、労働時間制度及び賃金体系改悪、鉄道、年金など、公共部門の民営化と改悪を試み、労働者の権利を破壊しています。
 私たちは、韓・日労働者のかけがえのない連帯を築いてきました。韓・日労働者の連帯こそ、東アジアにおける戦争を阻止する力です。私たちは韓・日の反動政権と闘い、とりわけ東アジアにおける戦争を何としても阻止する決意です。そして、労働組合に対する弾圧を打ち破り、労働者の生活と権利を守る闘う労働運動の連帯をより一層前進させていきます。
韓・日労働者国際連帯で戦争を阻止しよう!
民営化・労働弾圧に立ち向かい、共に闘おう!

2023年11月12日
全国民主労働組合総連盟ソウル地域本部
国鉄千葉動力車労働組合

動労千葉が鉄道労組訪問 チェ委員長らと再会、熱く交流

動労千葉訪韓団と韓国・全国鉄道労組の組合員が一層の国際連帯を誓って記念撮影(11月10日 ソウル)

動労千葉と韓国・全国鉄道労組との交流・連帯も20周年を迎えた。動労千葉訪韓団は11月10日、全国鉄道労組のソウル地方本部と中央本部を訪問した。
ソウル地本ではカンジョンナム本部長が、鉄道の民営化と対決する鉄道労組の闘いの現局面について説明した。動労千葉の関道利委員長は、外注化阻止闘争の中で外注先の非正規職労働者を組織し、正規・非正規がともに団結して闘っている動労千葉の現状について報告した。

中央本部ではチェミョンホ委員長が動労千葉を出迎えた。チェ委員長は今年2月12日、国鉄闘争全国運動が開催した国鉄集会にソウル地本の本部長として参加した。そして今、中央本部の委員長として闘いの先頭に立っている。チェ委員長とともに来日した多くの鉄道労組の組合員も、中央本部の役員として動労千葉訪韓団を迎えてくれた。
チェ委員長は「日本の国鉄分割・民営化反対闘争に応えるためにも韓国での鉄道民営化を必ず阻止する」と決意を示した。関委員長は、全職名を廃止して「業務融合化」の名であらゆる仕事を労働者に押し付けるJRの攻撃について説明し、「民営化を絶対に許してはならない。日韓の鉄道労働者は連帯して民営化阻止へ闘おう」と強調した。

再度ストライキ構える鉄道労組

公共運輸労組大会で鉄道労組のチェミョンホ委員長は、メンテナンス業務の鉄道公社からの分離に対し、ストを含むあらゆる手段で闘うと表明した(11月11日 ソウル)

鉄道の民営化・外注化を狙い、保線などの設備の維持・管理業務を鉄道公社から切り離す攻撃に対して、韓国の鉄道労組は闘争を続けている。
韓国では2003年、鉄道庁を改組して、列車の運行を担う鉄道公社と、線路などの施設を保有する鉄道施設公団(現・国家鉄道公団)に分離するための鉄道産業発展基本法が制定された。民営化の端緒となる上下分離方式の導入に対し、鉄道労組は多数の解雇者を出しながらストライキで立ち向かった。その結果、鉄道産業発展基本法38条の但し書きに、「鉄道施設の維持保守業務を鉄道公社に委託する」という規定を盛り込ませた。列車の運行と施設の維持管理業務がバラバラにされれば、安全な鉄道の運行は損なわれる。鉄道労組の闘いは、それを許さなかったのだ。
だが、この但し書きを廃棄する法改悪案が今年6月、国会に提出された。施設の維持・保守業務の民営化に道を開くことが改悪案の狙いだ。こうした攻撃に対し鉄道労組は9月14日から19日までのゼネストに立った。改悪案の国会審議が始まろうとする中で、鉄道労組は11月下旬ないし12月に再度のストライキを構え、闘いの準備に入った。

高速鉄道の統合も鉄道労組の闘争課題だ。2016年に開業したスソ(水西)―釜山間とスソ―木浦間の高速鉄道は、鉄道公社の直営ではなく、子会社のSRが運行を担っている。SRの高速列車(SRT)は、一部を除いて鉄道公社と同一の線路上を走る。親会社と子会社を競わせて、民営化を促進することが、子会社設立の狙いだ。
今年9月からSRTの運行区間が拡大され、民営化への動きはさらに進んだ。このダイヤ改定でスソ―釜山間の高速列車が減便されたことに反対する釜山の住民の要求も取り込んで、鉄道労組はSRTの鉄道公社への統合を求めて闘っている。
ユンソンニョル政権による民営化に、鉄道労組は全力の反撃戦を展開中だ。

労災死した烈士焼香所前で前夜祭 非正規職もうやめろ!

カンボギョン烈士の遺影を抱いた母親を先頭に、労災で殺された労働者たちを追悼するボードを掲げたデモ隊(11月10日 ソウル)

動労千葉訪韓団に参加しソウルを訪れた旭非正規職支会支援共闘会議は、11月10日午後、日本のAGC(旧旭硝子)本社に解雇撤回・正規雇用を求めて韓国・クミ(亀尾)で闘っている旭非正規職支会の同志たちとソウル雇用労働庁前で再会した。旭支会が一翼を担う「非正規職もうやめろ共同闘争」主催の非正規職闘争が始まった。

タクシー労働者パンヨンファン烈士が「完全月給制実施」を叫んで焚身(ふんしん)してから35日、DLE&C建設の日雇い労働者カンボギョン烈士の労災死から91日、「働く中で死なないように!差別されないように!非正規職撤廃!」がスローガンとして掲げられた。デモの先頭には、遺影を胸に抱いたカンボギョン烈士の母親が立った。
行く手を阻む警察部隊を突破してデモは出発したが、午後5時になった途端、警察がデモ隊の進行を阻止した。警察は「午後5時以降のデモは禁止だ」と言うのだ。ホンヨング弁護士が、デモ禁止は大法院(最高裁)で違憲判決が出ていると一喝したが、なおも弾圧が続く中、ぶつかり合いながらデモを貫徹した。
デモは非正規職労働者の前夜祭会場、西大門駅前のDLE&C建設の巨大ビルの前に着いた。そこに張られたテントがカンボギョン烈士の焼香所だった。韓国ではこの1年、労災で2223人(統計庁)が殺されている。さらにユンソンニョル政権は、労働時間を1日最大11・5時間、週6日69時間に増やそうとまで狙っている。まさに「働く中で死なないように!」は非正規職の切実な要求だ。
寒風の中、前夜祭は午後9時半まで続いた。黙って殺されるわけにはいかないと、ユン政権退陣を求めて闘う韓国の非正規職労働者と時間を共有した日本の労働者・学生は、日韓連帯で闘う決意を固めた。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

アーカイブ

月を選択