広島暴処法裁判 証人の市職員・警官を追及 裁判長の訴訟指揮に抗議
8・6広島暴処法弾圧裁判(広島地裁・角谷比呂美裁判長)の第2回(1月29日)、第3回(2月4日)公判が開かれました。両日とも傍聴席は満席でした。
1月29日の第2回公判は広島市職員2人の証人尋問。それに先立ち、冨山小太郎さんが裁判長の訴訟指揮への異議を述べました。
私たちの公判では、機動隊バスが敷地内に待機し、被告人や傍聴人には複数回の身体検査を実施しています。また、被告人は私物の筆記具を持ち込めません。これら、被告人や傍聴人をまるで暴力集団のように扱うことへの抗議です。
加えて、証拠調べを傍聴人に隠しながら行っていることも弾劾しました。第2回公判はビデオリンク方式による証人尋問ですが、初公判と同様に法廷内設置の大きなモニターを使わないので、傍聴席からは音声が聞こえるだけでどんなやり取りをしているのかはっきり分かりません。形ばかりとは言え戦争の反省から定められた三権分立や公開裁判の原則を、角谷裁判長は否定するのです。
しかし、裁判長は異議を棄却しました。弾劾の声が沸き起こる中で証人尋問が始まりました。
1人目は、「被害者」Aの上司とされる中村信之です。検事が質問文を棒読みし、中村が当時、自分やAがいたとする場所を図に書き込んでいくという茶番が進んでいきます。事態が動いたのは、検事がAの氏名がマスキングされていない「起訴状」を中村に示そうとした時です。起訴状原本は被告や弁護人ですら見ることができないのに、それをなんと証人に示したのです。これへの異議もまた裁判長は棄却。こんな裁判は前代未聞です。傍聴人も弁護人と一体となって徹底弾劾をたたきつけました。
続く弁護側の反対尋問で中村は、集会参加者とAとの間に右翼が割り込んで暴行していたことを「覚えていない」と証言。「公務執行妨害」の被害届を2023年9月に出したことに関しては警察の指示なのかは「覚えていない」「流れで書いた」というのです。全くふざけた答えでした。
2人目の証人である片桐清志は、右翼と市職員が一緒になって反戦集会を破壊しようとした事実をねじ曲げ、集会参加者が暴行したのだと描く証言をしました。断じて許せません。
2月4日の第3回公判では、冒頭に西納岳史さんが法廷警察権の乱用としての過剰警備を改めて弾劾。本件裁判における裁判長の一つひとつの不当な訴訟指揮が戦争遂行に向けた具体的犯罪であることを裁判所は自覚せよ、と迫りました。
この日は警察官6人の証人尋問が行われました。その中でも広島県警公安の上森恵佑は「『事件』発生時は『公妨』などで逮捕することを狙った」と答えました。「スクラムを組め」との号令が「共謀にあたる」と判断したのは自身であるとも証言しました。中村に被害届提出を要請したのかとの質問には「分からない」と逃げました。
2回の法廷証言から、この弾圧が広島市、警察、検察、右翼が一体となった反戦反核運動潰しであることが一層はっきりしました。反戦闘争そのものとして裁判を闘いましょう。(広島暴処法弾圧被告・古郡陸)
広島暴処法弾圧裁判
◆第4回公判
2月14日(金)午後2時
広島地裁304号法廷
◆第5回 3月19日(水)
※時間・法廷は同じ
弾圧粉砕へ固く団結 5被告先頭に裁判報告集会
2月4日の第3回公判の終了後、広島市で8・6ヒロシマ暴処法弾圧裁判報告集会が初参加者も含めて60人の大結集で開催された。弾圧を粉砕し、反戦反核闘争を大爆発させることができると確信させる集会となった。
8・6弾圧をめぐる動画を上映した。2023年8・6ヒロシマ闘争の映像で闘いの感動がよみがえり、公判での市職員や警察官の証言が全くのでっち上げであることが改めて確認できた。
基調報告を8・6ヒロシマ大行動実行委員会の宮原亮事務局長が提起した。検察と裁判所によるでたらめな裁判、角谷裁判長の許し難い訴訟指揮を弾劾し、弾圧と裁判が反戦運動つぶしそのものであることを鮮明にさせた。
広島市の集会禁止攻撃は、暴処法弾圧と一体の中国侵略戦争のための反戦反核運動解体攻撃であり、8・6当日の平和公園での集会禁止について、広島弁護士会会長の抗議声明が1月31日に出されたことの重要性を指摘した。そしてトランプ登場と石破政権の中国侵略戦争に触れ、天皇の沖縄・広島・長崎訪問策動を弾劾した。中国侵略戦争を始まる前に止める闘いとして、被爆80年の決戦に立ち上がろうと訴えた
被告5同志を代表して西納岳史さんが発言した。「暴処法弾圧を粉砕した」「家族や広島、全国の、共に8・6を闘った仲間が支えてくれたことで勝利してきた」と9カ月を超える獄中闘争を振り返った。冨山小太郎さんが「獄内外が団結し、反戦闘争そのものとしてやり抜いた」「昨年の8・6当日の闘いに感動した」と発言。松木誉明さん、古郡陸さん、髙田暁典さんがお礼と闘いの先頭に立つ決意を表明した。
8・6ヒロシマ大行動の室本けい子さんが「ヒロシマ5(ファイブ)の母」として、「5人とは釈放の時が初対面だった。反戦反核を闘う仲間として全力で救援してきた。共に戦争反対で闘いましょう」と万感の思いを語った。
ジャーナリストの浅野健一さんは「この弾圧の主犯は国家権力、警察・検察・裁判所だが、もう一つの主犯はマスコミだ。戦時報道で国家権力にくみするマスコミを許してはならない」と怒りと決意を表明した。
京都大、広島大の学生が弾圧粉砕と2・23ウクライナ戦争3年の反戦デモへ決起を訴えた。団結ガンバローを8・6ヒロシマ暴処法弾圧を許さない会の福井利明さんのリードで行った。
公判と集会を通して8・6弾圧が中国侵略戦争に向けた反戦反核運動解体の一大治安弾圧であることが鮮明になり、「連帯し、侵略を内乱へ」の反戦闘争そのものとして闘うことが勝利の道だと確信できた。
この記事へのコメントはありません。