国鉄解雇撤回裁判 大法廷かちとり結審阻む 大勝利を11・2につなぐと決意 動労千葉先頭に東京高裁デモ
国鉄1047名解雇撤回裁判の控訴審第1回口頭弁論が9月19日、東京高裁第24民事部(東亜由美裁判長)で開かれた。裁判は大法廷で行われ、次回期日は来年1月23日、大法廷を使っての開催が指定された。即日結審は阻止された。動労千葉組合員と全国から結集した労働者の迫力が裁判所を圧倒したのだ。
昼には日比谷公園霞門を出発する東京高裁包囲デモが闘われ、長蛇の隊列が「1047名解雇撤回をかちとるぞ」「労組つぶしの不当労働行為を許さないぞ」「東京高裁は事実調べを行え」の声を響かせた。デモ後、240人が傍聴を求めて裁判所に詰めかけ、数の力を見せつけた。
中村副委員長が気迫に満ち陳述
裁判は「今日は結審するつもりはありません」という東裁判長の発言から始まった。
解雇当該で原告の中村仁・動労千葉副委員長が意見陳述に立ち、「時効」で真実を塗り隠した昨年11月の一審判決を徹底的に弾劾した。裁判が長期化しているのは、JRが「採用候補者の名簿を作ったのは旧国鉄で、JR設立委員に名簿作成に関わる余地はなかった」という偽証を続けてきたからだ。そのJRを「時効」で免罪することは許せない。中村副委員長はまた、「国鉄とJRは別法人」という枠組みを作った国鉄改革法自体が国家的不当労働行為だと怒りをほとばしらせた。中村副委員長らJRから排除された動労千葉組合員の名前は、直前までJR採用候補者名簿に載せられていた。「不採用基準」を作ってその名前を名簿から削除させたのは、JR設立委員会だ。ならばJRは解雇を撤回する以外にない。
こう述べた中村副委員長は、不採用基準の策定に関与した井手正敬(JR西日本元会長)と、名簿の書き換えを実際に行った深澤祐二(JR東日本現会長)を証人尋問し、事実を明らかにせよと裁判官に迫った。
また、労働組合つぶしの国鉄分割・民営化にストライキで立ち向かった動労千葉の決断は正しかったと述べ、労働者として誇りを取り戻すため解雇撤回まで闘い抜くと宣言した。
動労総連合の代理人弁護団が控訴趣意書の要旨を陳述した。不採用基準がJR設立委員によって策定されたという原告の主張を、被告の中央労働委員会は争わなかった。また、国鉄改革法により、JR設立委員による不当労働行為の責任はJRが負うことになる点についても、原告と被告の間に争いはない。にもかかわらず一審判決は、争いのない事実を認定することを拒んだ。そこには判断の脱漏があると弁護団は指摘した。弁護団はまた、これまでの裁判でJRが一貫して虚偽の主張をしてきたことを暴き、そのJRを「時効」で免罪するのは正義に反すると主張した。
弁護団はさらに、「JR不採用が不当労働行為として無効になるとしても、原告組合員とJRとの間に雇用関係は成立しない」とした一審判決を批判する追加の控訴理由書を、この日提出した。裁判長はそれへの反論を中労委に求め、裁判は次回に持ち越された。
自らの力を信じ反戦総決起誓う
裁判後、日比谷図書文化館大ホールで開かれた総括集会は、大勝利を確認するとともに、10・5首都反戦大デモと11・2労働者集会に向けた総決起の場になった。
動労総連合の各単組をはじめ、動労千葉を支援する会や全国から駆け付けた労働者が、自らの持つ力に確信を深め、中国侵略戦争阻止の今秋決戦に立つ決意を示した。国鉄闘争が培ってきた厚みをよみがえらせ、団結した労働者の力を権力に見せつけて、この日の闘いは貫徹された。
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