イギリスで石油タンクローリー労働者のストが産業・社会を直撃
イギリスで、6月13日から4日間にわたって、組合(UNITE)に所属するメジャー・シェル石油のタンクローリー運転手650人がストライキに突入した。労働者たちは、「この15年間、賃上げはまったくなかった。それに労働条件も非常に悪い」と、大幅な待遇改善を求めて闘いに立ち上がった。わずか650人のストライキにもかかわらず、6月16日にはたちまち全英のガソリンスタンドの7%で供給ストップという事態になり、6月17日にはそれが一気に25%にもはね上がった。 写真:スト破りのトラックをピケで阻止する労働者(リバプール近郊)
事態は空の便においていっそう深刻で、エジンバラ空港やグラスゴー空港ではスト直後から燃料の確保に必死となったが、17日の段階でついに相当数の便が欠航した模様だ。しかも組合側は、20日からさらに強力でさらに大規模なストライキに打って出ることを通告した。驚いた資本と政府の側が、17日の段階で賃上げと労働条件の改善について具体的数字(公表されていない)を提示したため、いったん組合側はストを中断して協議をおこない、全員投票の準備に入っている。
イギリスでは4月末に精油所労働者1200人の2日間ストが闘われたが、たったそれだけでスコットランド唯一最大のパイプラインが稼働休止に追い込まれるということがあった。要するにイギリスでは、戦略的産業における比較的少人数の労働者のストライキでもライフライン・インフラストラクチャーに甚大な打撃を与えることができるという状況になっている。サッチャー以来のストつぶしとリストラが、逆に、イギリス帝国主義にとってこのような極度に脆弱な構造をもたらしているのだ。
ギリシャに始まり、スペイン・ポルトガル・フランスへと拡大したトラック運転手のストライキは、いまやドーバー海峡を越えてイギリスにも押し寄せ、商業新聞でさえ「ストの波に包まれるヨーロッパ」と呼ぶ情勢が到来している。(も)
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