米ボーイング労働者のスト、4週目へ突入
9月6日から闘われているボーイング労働者2万7000人のストライキは、10月2日現在で4週間目に入った。IAM(国際機械工労組)に所属するボーイング航空会社(米西海岸のシアトル工場が中心)の整備士労働者たちは、13%の賃上げ要求に対する会社側の「3年で11%の賃上げ」回答を圧倒的多数で拒否し、87%の高率スト権を確立し9月初めストに突入した(本速報版既報)。世界金融大恐慌がアメリカの資本家階級を揺さぶっているさなかに、ボーイング労働者は会社との妥協を拒否し、団結を固めて長期ストを闘い抜いている。
アメリカの航空宇宙産業・軍需産業の戦略的中枢を占めるボーイング社における労働者の反乱は、世界金融大恐慌に震えあがっているアメリカ帝国主義に対する痛烈な一撃であり、全米の労働者を激励している。このストによって、ボーイング社の誇る最新型航空機737ドリームラインの今期納入プランは来年まで延期となった。納入先にはANA、JALなど日本の航空会社が含まれている。ボーイング社は、このドリームラインをもって、エアバス社のA380との競争に打って出ようとしていた矢先であった。
ボーイング社は、国際競争力の強化のためとして、2002年、2005年の協約ごとに、労働者に徹底的なリストラ・アウトソーシング(下請け化)を強制し、2002年以来6万人から2万7000万人へと労働者の首を切ったうえで、下請け会社の低賃金の労働者を、正規職の労働者と同じ組み立てラインで仕事をさせるという攻撃を続けてきた。このボーイング社の攻撃を労働協約で承認し、現場労働者に強制してきたのが、体制内労働組合IAMであった。労働者の怒りは、組合が会社と「了解文書」を取り交わした2002年の協約改定時における62%の反対投票によって示されていた。2005年の協約では、24日間のストにもかかわらず、組合本部による一層の屈服が行われた。その結果、「1999年には4万3000人のIAM組合員が285機のボーイング機を製造していたのにたいして、今では2万5000人の労働者で441機を製造する、というとんでもない労働強化が既成事実となってしまっている」とIAMの支部機関紙は暴露している。「IAMの組合幹部は、組合員が、下請け会社の非組合員よりもいかに効率よく低コストで働けるかを会社に売り込もうとしているのだ」と現場労働者は怒りの声をあげ、長期ストを闘いぬいているのだ。〔O〕
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