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福岡で「やっぱりいらん!裁判員制度」ディスカッション

 11月22日、福岡市内で、市民のための刑事弁護を共に追求する会による「第9回“パネルディスカッション やっぱりいらん!裁判員制度”」集会が行われ、参加した。福岡でも裁判員裁判がすでに3件行われて、みなの関心は高く、裁判員裁判を検証することによってあらためて裁判員制度を問うパネルディスカッションは、90余名の参加で大成功した。
 冒頭、共同代表の渡邉富美子弁護士が主催者あいさつを兼ねて「マスコミ報道から見た裁判員裁判の問題点」を提起し今後も廃止に向けたねばり強い運動を続けていく決意を述べた。

 パネルディスカッションは、3人の弁護士とメインゲストの斉藤文男九州大学名誉教授の計4人のパネリストによって行われた。最初に発言した元裁判官の大谷辰雄弁護士(福岡)は、「刑事弁護活動の現場から」の観点から、裁判員裁判は著しく被告人の防御権を侵害していると弾劾した。その中でも裁判員裁判で必ず行われる公判前整理手続きは、「争点整理」という名の証拠調べの簡略化によって、弁護側はほとんど闘うことが出来なくなってしまうと、自分の経験から鋭く指摘した。無罪等を争う被告人の防御のために必要なのは、検察側の証言の矛盾を徹底的に突いていくことで、そのために調書をじっくり検討し、反対尋問に時間をかけてこそ、矛盾点を明らかにすることができる。こうした機会を奪ってしまう裁判員裁判は、もはや近代刑法に基づく刑事裁判とは言えないと弾劾した。
 次に、九州放送の「めんたいワイド」の元コメンテーターでもあった斉藤文男さんが、憲法学者の立場から「裁判員制度は憲法違反。また司法の役割を全く誤解している」と強調し、裁判員制度は即刻廃止以外ないと明言した。「裁判員制度は義務として市民が合法的に殺人に加担させられる制度である」と憲法違反を暴き、また、憲法19条の「思想・信条の自由を侵してはならない」に違反していると弾劾した。さらに、制度導入が「国民の健全な社会常識が反映されれば、司法はより強固な国民的基盤を得ることが出来るようになる」という“非常識”を徹底弾劾。司法が国民の理解・支持を得て国民的基盤に立ちうるか否かは、司法が自由、人権の砦として国民の信頼を得られるか否かにかかっているのだと指摘した。
 3人の提起を受けて発言した高山俊吉弁護士は、裁判員裁判が始まってからも多くの国民が反対している全国の状況を報告し、廃止への展望がますます見えてきていると述べて、パネルディスカッションは最高潮に達した。高山弁護士は、裁判員制度は「80年ぶりの恐慌状態の中で政治経済危機を迎え、革命を前にした彼らが生き抜くために考えた制度だ」と暴露し、「われわれは、権力が戦争によって危機を突破する思想に染まるのか」と問いかけた。そして「みんな負けてない! これから死刑など重大事件で矛盾は拡大する。1人の拒否からみんなの拒否へ。みんなの拒否は廃止へ! のうねりをつくりだそう」と呼びかけた。ほとんどの人が最後まで参加し、民主党政権と対決して廃止まで闘っていくことを確認し合った。(福岡・T)

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