ILWUローカル10が人種差別虐殺事件に抗議して港湾封鎖
10月23日、米のILWUローカル10の労働者は、09年1月1日に起きた警官による黒人青年虐殺事件に抗議して、サンフランシスコ湾岸の全港湾(リッチモンド、レッドウッドシティー、オークランド、サンフランシスコ)を封鎖する闘いに決起した。同時に、オークランドのフランク・オガワ広場で「オスカー・グラント(警官に射殺された黒人青年の名前)のために公正な裁判を、殺人者の警官を投獄せよ」というスローガンを掲げて集会を行った。
(写真は集会で発言するILWUローカル10のジャック・ヘイマンさん)
この集会には、アラメダ郡の労組評議会、サンフランシスコ労組評議会、ILWUローカル10、ローカル34、ローカル6、AFSCME(アメリカ州・郡・市従業員労組連盟)ローカル3299、アメリカ教職員連盟ローカル2121、オークランド教職員連盟、SEIU(サービス従業員労組)ローカル1021、UAW(全米自動車労組)ローカル2865などの諸労働組合代表と、人権団体、反戦団体、市民団体、地域住民代表、高校生など1500人が参加した。
この闘いは、大恐慌情勢下で激化する人種差別攻撃に対して、労働組合が現場の闘いで反撃し、その闘いを軸に地域の全労働者、地域住民を組織して反撃の闘いを展開し、資本の差別・分断支配を粉砕する重要な闘いとして勝ち取られた。
オスカー・グラント事件とは、2009年元旦、電車内で暴れたとして、オークランドのBART(公営高速鉄道システム)フルートバール駅で、黒人青年オスカー・グラント(写真下)を警官が拘束し、手錠をかけられ無抵抗の状態であったにもかかわらず背後から射殺された事件。警官がオスカー・グラントに不当な暴力をふるい、無慈悲に射殺する姿は、電車に乗っていた複数の乗客の携帯電話によって撮影されており、その一部始終がメディアで流されている。虐殺行為を証言する複数の乗客もいる。
だが、この事件が明らかに人種差別事件であり、不正義きわまりない暴行・虐殺事件であるにもかかわらず、裁判所は、オスカーを虐殺した警官に対し、2010年7月4日に過失致死の陪審員表決を下し、11月5日に判決を行おうとしている。また警官側は無罪を主張したり、警官の仲間たちによる支援集会を行ったりしてきた。これに対し、ILWUローカル10をはじめとしたオスカー・グラントの家族を支援する諸団体はこれまで何度かの抗議闘争を組織してきた。この抗議闘争には人種差別に抗議する多数の黒人労働者人民が参加し、しばしば暴動的闘いに発展した。
ILWUローカル10はこの闘いを重視し、10月23日の闘いを組織した。これは、労働者階級こそが資本による差別・分断攻撃を打ち破ることができる存在であることを、労働組合の職場生産点からの実力決起で指し示した偉大な闘いだ。ILWUローカル10はこれまでも、白人警官を殺害したとデッチあげられて死刑を宣告された黒人のムミア・アブ・ジャマルさんを支援する闘いを積極的に展開してきた。これは資本家が人種差別を労働者を分断するために利用することを絶対に許さず、1934年に偉大なサンフランシスコ・ゼネストを闘いぬいたILWUローカル10の革命的伝統を守る闘いとして位置づけられている。(TZ)
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