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仙台の現地対策本部から現況報告

 3・11大震災から3週間が過ぎ、仙台の現地対策本部から現況報告が寄せられました。また東北石けん労働組合の3月27日付声明が出されています。以下に掲載します。
【仙台現地対策本部の報告】
■大震災は新自由主義が破壊した社会の姿を暴き出した!

 全国の仲間たち! 3月11日に襲った大震災と津波は、数万人の死者・行方不明者、数十万人の避難民という大惨事を労働者階級人民にもたらした。壊滅的被害を受けた沿岸部で目に飛び込んでくる現実は、誰もが一度は打ちのめされ、無力感、絶望感に襲われるほど、すさまじいものだ。高さ10メートルを超える濁流が、瞬く間にすべての工業施設、船舶、自動車、家屋を破壊し尽くし、次々と凶器となって人々を飲み込んでいった。海まで見渡す限りの瓦礫の山。道路や田んぼに横たわる無数の船舶。コンビニや家屋に突き刺さった流木。延々と続くおびただしい自動車の残骸。まさに戦場そのものだ。 

 この現実に向き合えば向き合うほど、死線をこえた被災地の労働者、農民、漁民、住民が、この3週間必死に生き抜いてきたことが、いかにすごいことなのか実感する。そして、われわれも全国の仲間の支援を受け、生き抜いてきた。
 しかし、われわれがが被災地で生き抜く中で目の当たりにしたものは、大震災がもたらした大惨事だけではなく、新自由主義によって徹底的に破壊され、切り捨てられてきた社会の生々しい姿だった。新自由主義が徹底的に破壊した社会に、大震災と津波が襲いかかった。新自由主義が被害を数倍、数十倍にしたのだ。
 3・11大震災は、労働者、農民、漁民の新自由主義に対する根底的怒り、無為無策の菅政権に対する根底的怒りを生み出している。そして、被災地では、苛酷な状況の中から、多くの仲間が団結し助け合い、生き抜く闘いに立ち上がっている。とりわけ、労働者は組合活動の中止を指令した体制内指導部と対決し、執行委員会を召集し、闘う団結を甦らせる格闘を開始した。被災地から現況を送ります。
(1)新自由主義が切り捨てた地方を大震災がおそった
 なによりも、震災と津波で亡くなった人々の6割以上が60歳以上のお年寄りという事実だ。新自由主義は北海道、東北など多くの地方を切り捨て、助成金を打ち切り、医療、教育、福祉をことごとく破壊してきた。青年は生活と仕事を求め、遠隔地へ通勤するか、ふるさとを離れる以外なかった。お年寄りを先導する青年労働者がいれば、多くの命を救うことができた。とりわけ、「平成の大合併」によって2000年には71あった市町村が2009年には35まで削減されてきた。地方自治の切り捨てと自治労破壊を目的とした「平成の大合併」は自治体労働者を削減すると同時に、広域に配転し自治体と地元住民を切断してきたのだ。
 震災直後、誰もが、水、食糧、燃料がまったく手に入らないという現実にぶつかった。
 それは、東北自動車道が震災によってズタズタに寸断されたためではなかった。菅政権が救助・救援よりも治安を最優先し、直ちに東北自動車道をはじめとした幹線道路を完全に封鎖して支援物資とボランティアの協力を断ち切り、自衛隊10万の軍事車両、警察の緊急車両の専用道路としたことがもたらしたものだった。
 大手スーパーとコンビニエンス・ストアが閉店した瞬間に、労働者、とりわけ青年労働者とお年寄りは水、食糧を直ちに奪われた。新自由主義は地元商店街を一掃し、労働者は郊外型大型スーパーと市街地のコンビニエンス・ストアに依存する以外なくなっていた。とりわけ、低賃金の青年労働者、年金生活のお年寄りは、コンビニエンス・ストアで日々の食糧を得る以外なかった。アパートに炊飯器をもたない青年労働者は携帯のみで放り出された。これは震災が引き起こしたのか?
 多くの避難所となった学校でも、直ちに水・食糧・燃料・毛布がまったく手に入らない。ある小学校では、1日1食、それも2年前に消費期限のきれたカンパンが配布されただけだった。ある小学校では、やはり1日1食、わかめ入りのα米おにぎりひとつが配布されただけだった。これは、震災がもたらしたものなのか? 徹底した切り捨てがもたらした現実ではないのか! なぜ、学校で炊き出しができないのか? 給食センター方式で、学校給食を民営化・外注化した教育の民営化、新自由主義がもたらした現実ではないのか! すべては、震災は100%起きると防災訓練を繰り返しながら、新自由主義のもとで地方を切り捨て、労働組合や地域住民のあらゆる共同性を解体してきたからではないのか!
 水道の復旧作業にあたった水道労働者は、震災以前に強行されてきた水道事業の合理化と徹底した要員不足の現実にぶつかった。以前は複数の系統があり、1カ所が破損しても別の系統を通して復旧することが可能だった。しかし、水道局は水道の系統を1系統に集約・合理化すると同時に、要員を徹底的に削減してきた。そして、この1系統が破壊されたとき、すべての水供給は直ちにストップしてしまったのだ。
(2)避難所自治を組織した住民の闘い
 数百人から1000人を超える被災者が避難した避難所でも、古くからの町内会自治が残っている地区と新自由主義によって町内会自治をバラバラにされた地区では、避難所自治の建設をめぐって歴然とした違いが現れた。
 古くからの町内会が維持され自治が残っていた地区では、労働者住民自身が1000名を超える被災者を町内会ごとに組織図をつくり、物資班、食糧班などの任務分担を決め、避難所自治を立ち上げていった。被災した労働者住民自身が避難所自治を担ったことによって、避難所となった学校の教育労働者の労働時間は8時間勤務が維持され、泊まり勤務の交替制によって運営された。だが、新自由主義によって町内会的団結が奪われ、バラバラに切断された地区では、避難した学校で避難所自治を建設することが困難を極めた。教育労働者の労働時間も12時間を超え、これに泊まり勤務が重なる激務となった。
 しかし、このような苛酷な状況の中から、すべての避難所で教育労働者、自治体労働者、そして、労働者住民は話し合いを組織し、団結し、助け合いながら規律を作り、避難所自治を作り出していった。ある避難所では、街ごと津浪に流され行政機構が崩壊する中、住民自身が数千名の名簿を復活させて安否を確認し合った。労働者住民が団結すれば、資本家や資本家のための行政機構なしで社会を運営できることを示した。
(3)体制内労働運動指導部の政治休戦主義を打ち破り、被災地救援・反原発の先頭に労働組合が立ちあがろう!
 3・11大震災を前に、菅政権は「国難」「政治休戦」をキャンペーンし、労働組合の闘いを圧殺することに全力を挙げた。
 津波発生時には絶対行ってはならない沿岸部の学校を避難所に指定するなど、市防災本部当局の指令は大混乱を極めた。食事をとる時間すらない! 仲間に対する必死の思いと当局に対する怒り! 多くの組合員は市防災本部のデタラメな指示と激突しながら、被災者支援とライフラインの復旧に全力を挙げ、不眠不休の闘いに突入していた。この中で、多くの組合員たちは、労働組合は何をなすべきか? 組合員は何をなすべきか? 何より組合員の安否を確認しなければ! と真剣に悩んでいた。組合の方針を切実に求めていた。
 しかし、体制内労働組合指導部は労働組合の会議・行事・催事を中止するなど、組合活動の停止を指令した。「いてもたってもいられない。何かしなければ!」という多くの組合員の思いを逆手にとって、資本、当局の「国難」「政治休戦」に率先協力し、資本主義の復興にむけた挙国一致体制に組合員を組み込もうとした。
 3月末から4月にかけて、震災を口実に、生き残った数十万、数百万の労働者に対し、全員解雇・雇い止めが無慈悲に襲いかかっている。県・市当局は、復旧最優先などと言って、一方で、全国から自治体労働者を大動員しながら、他方で、3月31日をもって大量の非正規労働者の雇い止め解雇を強行した。市の外郭団体では入札ができないためという理由で、メール1本で非正規労働者に対する雇い止め解雇が通告された。3・11震災以後、自治体の非正規労働者は正規職員と同じように、日常業務に加えて避難所の泊まり勤務に就き、市当局のデタラメな対応に対する住民の苦情の矢面に立ちながら、住民が避難所自治を建設し運営していく格闘をともに担ってきた。職場の誰もが日常業務に加えた震災業務に忙殺される中で、今なぜ雇い止めなのか! そもそも非正規とはどういうことなのか? という根本的疑問と怒りを持ち始めている。
 このような事態の中で、現地対策本部に結集する仲間は、体制内執行部の政治休戦を打ち破って、執行委員会の召集をかちとり、労働組合の旗を打ち立てる闘いを開始した。労働組合が「すべての原発を直ちに止めろ! すべての非正規労働者を正規労働者にしろ! 震災解雇を許さず、すべての労働者の雇用を保障しろ!」を掲げて登場する闘いを開始した。大恐慌下の大震災・原発大事故に立ち向かい、大震災・原発大事故を口実にた解雇自由・労働条件の暴力的破壊を策す当局・資本と闘い、労働組合を甦らせる闘いを開始した。その先頭には、青年労働者が立っている。
 震災解雇、労働条件をめぐる激変、原発事故との闘いは、これからが本番です。東日本震災救援対策本部、仙台現地対策本部に結集し、団結してともに闘おう!

【東北石けん労働組合の声明】
大震災と原発事故の一切の責任は、新自由主義を暴走させてきた政府と巨大独占資本にある!
被災地の怒りを束ねて生き抜く闘いを開始しよう!
今こそ全被災地で、生きるための階級的な団結を創り出そう!
全ての原発を今すぐ停止し、廃炉にせよ!

 今回の東日本大震災は、未曽有の犠牲と、空前の災厄を被災者にもたらした。死者・行方不明者は3万人を超え、さらに拡大しようとしている。自治体、街丸ごとが消滅してしまうような壊滅的な事態が広範囲の地域を襲った。さらにそれに加えて、東京電力福島第一発電所におけるチェルノブイリ級の大事故が被災者の生活と命を奪いながらなお深刻化している。
 この大震災、原発事故は「天災」なのか。断じて否である!
 このかん、大恐慌と戦争情勢のもとで労働者階級人民に対して、その生活と命を奪うあらゆる攻撃がかけられてきた。新自由主義は、1千万人を超える労働者を非正規雇用に突き落とし、生活できない膨大なワーキングプアをうみだしてきた。また、地方においては平成の大合併の過程で自治体職員の大リストラが強行され、まさに地方切り捨ての政策が強行されてきた。
 宮城沖大地震の起きる確率は近いうちに99%と語られながら、必要な規模の堤防の建設すら一切なされてこなかった。地震の巣の上に建設され運転されてきた原発の危険性を繰り返し指摘されながら、東京電力と政府は「安全だ」「二重三重の対策が講じられている」などとして、地元住民の反対を金の力で沈黙させて、原発を稼働させ続けてきた。
 今起こっている事態はいったい何なのだ! 危険など百も承知しながら、利潤を生まないものには一切金を出さない、新自由主義の暴走の最後的表現として今回の大惨事が生み出されたのは明白である。資本主義の労働者人民に対するむき出しの階級戦争の結果として膨大な犠牲が生み出された。犠牲者は、天災ではなく新自由主義によって殺されたのだ!
 今、われわれが立ち向かおうとしているものをはっきりさせよう。大震災と原発事故すらをも利用して、命脈尽き果てたブルジョアジーとその政府が、「国難」「挙国一致」を呼号して、一気に階級闘争を圧殺しようとしている。大震災と原発事故は、さらに膨大な労働者から仕事を奪い、大量失業が大問題として現れてくる。
 われわれの回答は鮮明である。資本家どもによる階級戦争に対して、労働者階級の団結の力で政権を打ち倒し、自らの手で労働者の生きられる社会を建設していくことだ。求められていることは、被災地の怒りに思い切って踏み込み、資本主義・新自由主義への怒りを徹底的に組織することだ。
 衣食住のすべてを奪われている被災者の階級的な怒りを束ねる唯一の担い手として、階級的労働運動が一気に情勢決定要因として登場することが求められている。資本主義の救済運動に人民を組織しようとする体制内勢力との大党派闘争に勝ち抜こう。
 すでにわれわれには、新自由主義と真正面から対決し、団結を強化して闘い続けてきた動労千葉の闘いの地平がある。ここにこそ労働者階級の勝利への道がある。国鉄全国運動と結合して階級的労働運動の爆発的な前進を勝ちとろう。
 東北石けん闘争は、新自由主義との闘いそのものとして闘われてきた。被災者の怒りと闘いは、東北石けん闘争と不可分一体のものである。解雇をはじめとしたあらゆる攻撃がかけられても、それで終わりなんかじゃない。闘って生きる道がある。このことを微力ながら身をもって表現してきたものが東北石けん闘争である。
 今すべての被災地において無数の労働者人民の手で生きるための共同の闘いが生み出されている。ここにのみ希望がある。資本家どもとその政府は、これをおそれ、階級的怒りの噴出をたたきつぶすことに躍起となっている。こんな奴らにわれわれの団結を奪い取られてたまるか! 今あらゆる被災現場で人民が開始している生きんがための闘い、それを通した職場・地域に広がる団結の力こそ、ソビエト(コミューン)の萌芽そのものだ。
 政府・ブルジョアジーには、今回の大惨事を解決することなどできない。統治能力のさらなる喪失が進行することは不可避である。復興のゴールは、資本主義による災害復旧などでは断じてない。プロレタリア革命こそがそれをなし得る唯一の道だ。
この闘いは、世界史を塗り替える勢いで今現実に前進しているエジプト革命を先頭とした国際的な闘いと一体のものだ。
 東北石けん労働組合は、心からの連帯を込めてすべての被災者、人民に訴える。今こそ階級的な怒りを徹底的に組織化し、体現し、被災地の現場に階級的団結を創り出そう! 今現在あらゆる被災現地で闘われている生きるための闘いの中に新しい社会建設への道がある。全ての被災地をタハリール広場にしよう!
2011年3月27日
 

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