韓米FTA批准阻止で大激突、ソウルでデモ隊が国会突入
韓国では、韓米FTA(自由貿易協定)批准、済州島海軍基地建設、韓進重工業の整理解雇撤回闘争などをめぐり、労働者階級をはじめとした全人民とイミョンバク政権との死活をかけた激突が連日、闘われている。
11月3日には、韓米FTA批准に反対する5千人の集会が開かれ、国会西門から構内へ突入しようとして警官隊と激突、23人が連行された。この闘いでこの日の国会本会議は中止に追い込まれた。10月28日にも7千人の大集会がソウル市内中心部で開かれ(写真)、参加者は「人間の帯」となって国会へデモ、国会構内に突入して70人近くが連行された。このとき連行された中には民主労総のキムヨンフン委員長や全国農民会総連盟のイグァンソク議長も含まれている。
10月11日のイミョンバク訪米の直前から、それまで密室で進められてきたFTA交渉の内容が明らかになるに従い、全社会的な怒りが一斉にわき起こっている。FTAによって米帝の大資本が韓国の経済と社会をほしいままに支配し、じゅうりんしようとしていることに、「第二の乙巳条約だ」の声が上がり、絶対阻止の闘いが爆発しているのだ。
乙巳条約とは100年前、日帝による韓国併合に道を開いた条約のことだ。実際に米韓FTAは、韓国政府に対して同協定が一切の国内法に優先することを義務づけながら、米国内での韓国側の行動については米の連邦法・州法の制約下に置かれるとしている。関税や投資規制の撤廃はもとより、FTAをテコに韓国の法と制度を丸ごと一変させ、米資本の全面的な専制支配下に置こうとする大攻撃である。
民主労総は「これまで深夜労働の撤廃や最低賃金確立のための闘いを続けてきたが、FTAが批准されればそのすべてが水の泡になる」(チョンウィホン首席副委員長)と訴えている。FTAで真っ先に打撃を受ける農民は、「農民がみな死んで国が生きられるのか」と決死の覚悟でテント座り込みに決起している。学生、知識人、商店など中小・零細の自営業者、キリスト者、映画人なども続々と立ち上がっている。
とりわけ怒りを呼んでいるのは医療の民営化だ。10月24日には医療労働者が「FTA阻止、営利病院導入阻止」を掲げて集会とデモに立ち上がった。保健医療労組のナスンジャ委員長は「健康保険が民営化され、医療費が暴騰するだろう」と指摘した。
イミョンバク政権は10月中の国会承認を何がなんでも強行しようとしたが粉砕された。決戦は11月に持ち越されたが、国会をめぐる攻防がどうなろうと、一層の矛盾の拡大、階級的大激突は必至である。
韓進重工業の闘い、済州島海軍基地建設反対の闘いも重大局面に入っている。韓進重工業では11月1日、民主労総釜山本部指導委員のキムジンスクさんがクレーン上での高空籠城闘争に突入してから300日目を迎えた。チョンテイル氏の母、イソソンさんが亡くなる直前まで思いを寄せていたのもキムジンスクさんの闘いだ。この闘いは、一昨年の双竜(サンヨン)自動車の闘い、昨年の現代自動車の工場占拠闘争を引き継いで、大失業攻撃と対決する韓国労働者階級の魂を揺り動かし、新たな団結を生み出していく中心軸となっている。
民主労総は今年、第1次の労働者大会を11月13日にソウルで、第2次労働者大会を11月26日に釜山で開催することを決定した。連帯し、ともに闘おう!(千)
写真は上から①10月28日の集会、②③11月3日の激突、④「お金より命を」などのプラカードを掲げて座り込む医療労働者。
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