「さようなら原発」集会・デモに5500人、原発廃絶へ決意固める
12月10日、東京・日比谷野外音楽堂で、作家の大江健三郎さんらが呼びかけた「がんばろう!さようなら原発1000万署名」集会が開催された。野田政権は直前の6日、衆院で原発輸出協定の採決を強行したばかりか、福島の自主避難者に一律同額で問題にもならない低額の賠償を行うと決定した。集会は福島の声を踏みにじる暴挙への怒りで覆われ、5500人を超える参加者は明治公園での9・19反原発6万人集会の高揚を引き継ぎ、原発再稼働阻止、全原発廃炉への決意を一層固めた。
集会はいわき市出身の講談師、神田香織さんの司会で始まり、冒頭、呼びかけ人の鎌田慧さんと大江健三郎さんがスピーチを行った。鎌田さんは爆発と放射能の恐怖をもたらす原発を押しつけた政府に怒りを語り、核武装のための「もんじゅ」と青森の再処理工場を止めようと訴えた。大江さんは「原発事故も収束していないのにヨルダンなど4カ国に原発を輸出しようとしている」と野田政権を弾劾し、「原発を廃絶しようという根本の決意に立った運動のみが頼りだ。それが私たちの現在と未来のすべてを担っている」と核心を提起した。大きな拍手に迎えられて被災地福島から2人が発言に立った。大熊町から避難しているハイロアクション福島原発の大賀あや子さんは苦悩をにじませながら福島の現状を報告し、再稼働の動きは「私たちの不安と恐怖を増すものでしかない。非常事態は終わらない」と警鐘を鳴らした。南相馬市在住の福島県平和フォーラムの竹中柳一さんは「東電は田畑に落ちた放射性物質はその土地のものだと言った。原子力安全委員会、原子力保安院は誰一人首になっていない」と憤り、「これを変えない限り子どもたちに未来はない。日本を変えていこう」と呼びかけた。そして、来年3月11日に郡山市の開成山球場で福島県民集会を開催すると告げ、参加を熱烈に訴えると参加者はわれるような拍手で応えた。
これに先立ち、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)は、この日できたばかりの「ふくしまの子どもたちに病院を」の新リーフレットを全参加者に配り、署名を呼びかけた。圧倒的な注目と共感が多くの労働者・市民から寄せられた。
集会後、野音を埋め尽くした参加者はデモにうって出た。まずは日比谷公園から数百メートル地点の東電本店だ。前の路上には警察車両を2台並べ、守りに必死だ。デモ隊は怒りを倍加させ、シュプレヒコールを次々とたたきつけた。NAZENの太鼓のリズムと明るく力強いコールが他の隊列まで響き渡り、終始全体を鼓舞しリードした。自治労や日教組などの色とりどりの労組旗が林立し、師走の銀座を行き交う人びとの注目を集めた。東京駅八重洲北口から解散地点の常磐橋公園までの沿道では、デモを終えて帰路につく参加者が至るところでボードや横幕を掲げ、後続のデモ隊を迎えた。福島の怒り、思いと結び原発再稼働阻止、野田政権打倒! 3・11郡山集会の成功へ進撃しよう。(TK)
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