第3誘導路裁判、NAAの弁明と居直りを徹底弾劾
2月7日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。この裁判で三里塚芝山連合空港反対同盟は、国と成田空港会社(NAA)に対し、暫定滑走路・第3誘導路の許可処分取り消し、工事中止などを求めている。
暫定滑走路とへの字に曲がった誘導路の現実、そして天神峰の市東孝雄さんを追い出すために現在進められている第3誘導路建設は、成田空港の構造的欠陥の象徴だ。その違法性、危険性、反人民性を厳しく指摘したことに対し、国とNAAはおごりと居直りの弁明を書き並べた準備書面を出してきた。
民間航空に関する全世界共通の原則的基準を定めたシカゴ条約では、着陸帯の幅が300メートル必要とされているのに、暫定滑走路では半分の150メートルしかない。これについて被告らは「法的効力はない。従う義務はない」と反論してきた。とんでもない言いぐさだ! 航空法の第1条にも国際条約の規定に準拠して安全を確保することがうたわれているが、これを無視するというのなら、国際空港などと名乗る資格はゼロだ。
さらに、これまでの成田での数々の事故については、「事例」「事案」と言い換えた上で「管制官の指示に従わなかったパイロットのミスだ」「原因は確定できていない」などと責任逃れをし、「ただちに住民の生命身体に具体的危険を及ぼすものではない」と原発とうり二つの言い訳に及んでいる。
また東峰の森を破壊して造られた東側誘導路が今ほとんど使われていない実態、暫定滑走路が事実上着陸専用になっている現実について、NAAは「統計を取ってない」と空とぼけて数字を出すことを拒否した。その一方で「航空需要が増大している」から「公共性がある」「一大国策だ」と強弁する。国際化した羽田に競り負け凋落しつつある現実さえ認めぬとは、どこまで恥知らずな言いぐさか。
顧問弁護団は被告の居直り文書に徹底的な批判を浴びせ、「釈明を拒否する不当な態度をやめよ。統計調査を今から行え」と厳しく迫り、再度の釈明を求めた。
次回期日を5月1日(火)として閉廷。
弁護士会館で記者会見と報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。
北原鉱治事務局長が冒頭のあいさつに立ち、原発絶対反対・即時廃止の鮮明な立場と福島への連帯を表し、「成田は廃港以外にない。3・25三里塚全国総決起集会へ大結集を」と力強く訴えた。
葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団が法廷の解説を行い、被告の国・NAAの安全を無視した居直りを鋭く全面的に批判した。続いて、動労千葉の後藤俊哉さん、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会がそれぞれ連帯発言を行った。
最後に萩原進事務局次長がまとめの発言に立った。「団結街道の封鎖に加えこの第3誘導路の工事によって、天神峰、東峰、取香などの地元住民は子どもの小学校通学まで困難になっているのが現実だ。芝山も騒音によって廃村化攻撃が進んでいる。空港と共存共栄などうそだ。特に農業とは相容れない。現在のTPP推進、原発事故の状況を考えたとき、国策に立ち向かってきた三里塚の歴史が正しかったと証明できる」と確信をもって語り、現地闘争と裁判闘争を一体で闘う決意を明らかにした。裁判傍聴をともに闘った参加者全員が熱い拍手で応え、2~3月の反原発闘争から3・25三里塚への決起を誓った。(TN)
★次は市東さん行政訴訟・農地法裁判/千葉地裁 2月20日(月)午前10時30分開廷
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