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農地裁判控訴審第1回弁論で市東さんが意見陳述

20140327a-1.JPG 3月26日、東京高等裁判所第19民事部(貝阿彌誠裁判長)で、市東孝雄さん農地裁判の控訴審第1回口頭弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と全国から駆けつけた労働者・農民・学生・市民は、心を一つにして「農地死守」の気概に燃えて一日を闘いぬいた。

 午前8時、三里塚闘争支援連絡会議が裁判所前に陣取り情宣活動を開始。10時30分、反対同盟始め、全学連や休暇を取って駆けつけた労働者などが参加してフリートークを行い、おびただしい人数の公安警察と対峙しながら、裁判所周辺を「三里塚農地決戦」の緊張感で満たした。
20140327a-2.JPG 11時30分、デモへ向けて日比谷公園霞門に結集。北原鉱治事務局長がマイクを握り、「1978年の今日、管制塔実力占拠の闘いで福田内閣の3・30成田開港策動は頓挫した。私も労働者学生とともに横堀要塞に立てこもり闘った。今日の傍聴に新たな決意で臨む」と参加者に檄を飛ばした。正午前にデモ出発。「耕す者に権利あり/貝阿彌裁判長は審理を尽くせ」の横断幕を持つ反対同盟を先頭に、200人を超すデモ隊が、途中で経産省前の反原発テントとエールを交換しつつ、検察庁、警視庁、裁判所前を行進し、霞が関一帯を席巻した。
 午後1時、反対同盟と顧問弁護団は、この間集められた農地取り上げに反対する署名8019筆を携えて、裁判所16階の東京高裁第19民事部の書記官室を訪れた。分厚くとじられた署名用紙の束を積み上げ、北原さんが「審理を尽くし、農民殺しに加担することのないように」との申入書を読み上げ、書記官に受け取らせた。
 102号法廷が100人近い傍聴者で満席となり緊張感が高まる中で、午後2時に開廷した。若干の書面等の手続きがあり、次回期日を6月25日(水)午後3時と確認した上で、市東さんの意見陳述が行われた。
20140327a-3.JPG 市東さんはまず、「一審判決は私から農地を取り上げて、農業をやめろというものです、絶対に受け入れることができません」と確信も固く述べた。そしてスクリーンにスライド写真で南台と天神峰の農地を映しながら耕作状況と作物の品種などについて説明した。
 さらに、成田空港会社(NAA)による違法・不当な土地取得、農地法を悪用しての収用策動、有機農業の土壌の重要性、農業つぶしの国策との闘いの正しさを訴えた。最後に「農業がなくては人は生きられません。農業にこそ公共性がある。誘導路が曲がっているのは農家を虫けらのように扱い、場当たり的に進めてきた空港建設の結果です。貝阿彌裁判長は私の畑に立って、このことをよく考えてほしい」と力強く述べ、「父と私が精魂込めてつくり続けてきた畑の土を提出する」として、容器に満たした滋味豊かな黒い土を差し出し、裁判官らに確かめさせた。
 法廷は感動に満たされ傍聴席から大きな拍手が起きた。耕す農民の怒りと正義の告発だ。これに圧倒された裁判長は、傍聴席に向け「拍手は心の中だけで」などとうろたえながら叫んだ。
20140327a-4.JPG 続いて、弁護団による控訴理由書の陳述に移った。千葉地裁・多見谷寿郎裁判長による一審判決は、NAAの主張を丸ごと認め、NAAの違法・不当の一切を不問に付し、さらに独自解釈を加えて空港建設のための農地強奪にお墨付きを与えるという、とんでもない代物だ。弁護団の控訴理由書は、この「国策の論理」=非論理的暴挙を根幹から細部まで粉砕するものとして、まさに弁護団が心血を注いで作成した187㌻に及ぶ大部の書である。
 怒りと気迫のこもった陳述が続く中、裁判長は4時半を過ぎたあたりからそわそわし始め、ついに「あとどのくらい続くのか」と介入してきた。
 すぐには終わらないとわかると裁判長は、裁判官合議の末に「あと数分程度やって、残った分は進行協議を開いて決める」と一方的に言い渡した。
 市東さんの人生と日本農民の行く末がかかった主張だ。不当な制限を許さない! だが弁護団の抗議にもかかわらず、その後もたびたび陳述への打ち切り圧力を加えた末、裁判長は「今日はここまで」と閉廷を宣するが早いか、脱兎のごとく逃げ去ってしまった。
 裁判所前で待機していた仲間とも合流して、参議院議員会館講堂で報告集会が開かれた。
 北原事務局長のあいさつに続き、疲れも見せず市東さんが発言に立った。「今日も陳述書を読んでいて、“何度同じことを言っても通じないのか”と腹が立ってきた。だがこの控訴審は、日本の農家の生き方を変えるかもしれない。みなさんの力を存分に発揮してぜひ勝たせてください」と訴え、大きな拍手を浴びた。
 続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団それぞれが、法廷で全力で闘いぬいた報告と今後の闘いへの展望と決意を表した。さらに動労千葉の滝口誠さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、傍聴した埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫さんが連帯発言を行った。
 最後に、萩原富夫さんが一日の闘いをともにやり抜いた人びとの労をねぎらい、「次の裁判まで市東さんの農民としての命はつながった。そういう緊張感をもって、6・25の第2回弁論は今日を上回る結集で裁判所を包囲しよう。もっと多くの人びとに訴え交流し、闘いの陣形をつくろう」と訴えた。司会の伊藤信晴さんのリードで団結ガンバローを三唱し、控訴審勝利をあらためて誓い合った。(TN)

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