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三里塚・農地裁判で証人尋問開始、千葉市内をデモ

s20120529a-1.jpg 5月28日、千葉地裁・民事第3部(多見谷寿郎裁判長)での市東孝雄さんの農地裁判がいよいよ証人調べの段階を迎えた。「農地強奪を許すな!」の気概に燃えて、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民が心を一つにし、この日全力で闘いぬいた。
 開廷に先立ち、千葉市の葭川公園に続々と参加者が結集し、強い日差しの中で正午に反対同盟主催の集会が開かれた。北原鉱治事務局長が冒頭のあいさつで、「いよいよ裁判も山場に入った。正義が正義として通用するには、われわれ底辺の人間が立ち上がらなくてはだめだ。今日の法廷闘争を断固闘おう」と熱を込めて訴えた。 

s20120529a-2.jpg 続いて反対同盟顧問弁護団が法廷に臨む意気込みを語った。司会の萩原富夫さんのリードで「市東さんの農地を守りぬくぞ!」と高らかにシュプレヒコールを上げ、直ちにデモ出発。平日の日中ではあったが、デモ参加者は125人となった。「農地死守!耕す者に権利あり」と大書された横断幕を押し立て、反対同盟がデモの先頭に立った。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんの「裁判所は農地強奪の手先になるな!」とのコールが千葉市街のすみずみまで響き渡り、ビラが沿道の人びとに吸い込まれるように手渡された。
 午後1時30分を少し過ぎて開廷。証人は現成田空港会社(NAA)用地部長の戸井建司。市東さんの農地取り上げの全過程に関与した最重要証人であり、2006年にNAAが千葉県に出した「解約申入許可申請書」を作成した張本人だ。NAA代理人の主尋問に続き、顧問弁護団の反対尋問に入った。ほどなくこの証人は、市東さんを訴えて被告席に立たせて農地取り上げ策動を進めながら、その罪深さにまったく無自覚・無責任のやからであることが明らかにされていった。
 強制的手段をもって農民の土地を収奪しようとしていることについて問いただされると、戸井証人は「話し合いで円満に解決したい。流血の事態があってはならない」などと繰り返し、ついには「市東さんには離作補償として1億8千万円を提示した」「市東さんにはまだご理解頂けるチャンスがあると思っている」とぬけぬけと述べ立てた。要するに「農民が土地を売って出ていくことだけが円満解決だ」と言っているのだ。傍聴席から激しい弾劾の声が次々飛んだ。
 さらに、明け渡し対象の土地の特定がまったく誤っているという重大な事実については、「あらためて調査したことはない」「検討してない」。旧地主の藤﨑政吉からの土地取得の経緯については、「わからない」「記録があるかどうかも知らない」。NAAの土地取り上げの唯一の根拠である「同意書」「境界確認書」およびその添付図面については、「前任者から引き継いだだけ」と万事この調子だ。そして、空港敷地内外にまたがる土地については、「空港のために一体的に運用が企図されている土地だから、農地からの転用について知事の許可は必要ない」と農地法も航空法も踏み破る暴論を臆面もなく述べ立てた。「NAAが取得すればどこにある土地も空港敷地ということか」とたたみかけられると「それは……」と絶句し、あげくに「用地部が取得した土地はすべて空港敷地」などと開き直った。さらにGSE・ULD(機材置き場)をつくる計画なるものの根本的矛盾について問いただされると、「市東さんの自宅の土地を取得できるという前提で進めていた」と口にした。
s20120529a-3.jpg 午後4時過ぎまでの弁護団の容赦ない尋問によって、NAAによる「解約許可申請」そのもののあまりのずさんさと違法・無効がが浮き彫りになった。裁判所に対しては、原発と同様の国策裁判として、NAAと千葉県の重大な違法を容認し加担するのかどうかを鋭く追及するものとして闘われたのだ。
 閉廷後の報告集会で市東さんは、「本当に腹が立ちました。話し合いだと言うのなら、うちのすぐ前でやっているあの第3誘導路工事は何か! むこうがやってくる攻撃にはそれなりの対応をします」と怒りを込めて訴え、大きな拍手を受けた。弁護団は、次回6月25日の法廷で、当時成田市農業委員会事務局長の山崎真一証人への尋問を一層厳しく行うことを明らかにした。最後に萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。「彼らは自分がやってきたことを胸を張って正しいと言えない。われわれはそれができる。空港のでたらめな拡張をこれ以上許してはならない。何が国策・国益だ! それは福島も沖縄も同じだ。この裁判で勝利し、力関係を決定的に変えていこう!」
 この激しい怒りを込めたアピールに、一同は大きな拍手で応え、次回6月25日の裁判傍聴と、7・8三里塚現地闘争への決起を誓った。(TN) 

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