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「機能強化粉砕」訴え三里塚現地闘争―B滑走路北延伸予定地をデモ

「機能強化粉砕!」B滑走路北延伸予定地デモに立つ三里塚反対同盟(9月4日 成田市)

9月4日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する「空港機能強化粉砕、B滑走路北延伸阻止」を掲げた三里塚現地闘争が行われた。
2日の新やぐら控訴審で東京高裁が下した控訴棄却・仮執行宣言付きの反動判決への怒りをたぎらせて、労働者・農民・学生・市民120人が参加した。
天神峰の市東孝雄さん宅の中庭で決起集会が始まった。
最初に司会の伊藤信晴さんが、空港機能強化との闘いを訴えた。「首都圏空港機能強化は、訪日外国人6000万人という誇大な数字を前提にして決められた。羽田では都心上空を飛ぶルートが新設され、成田ではB滑走路の北延伸による3500メートル化、第3滑走路建設、そして飛行時間制限の緩和で朝5時から深夜1時までの耐えがたい騒音が襲いかかろうとしている。この住民無視のやり方に対し、闘いが起こっている。攻撃の本質はどこにあるか。成田の軍事使用が狙われていることだ。中部空港、福岡空港の拡張も戦争のためとはっきり見すえよう。この秋から始まる東関東自動車道付け替え工事が、B滑走路延長工事の開始だ。これを許さず闘おう!」
続いて、東峰の萩原富夫さんが発言に立った。前々日に下された新やぐら控訴審反動判決を弾劾し、NAAの文書隠しを追及する耕作権裁判、新たに起こした第3滑走路差し止め訴訟(第3誘導路裁判と併合予定)など、各裁判の現状を報告し、農地を守り抜く反対同盟の気概を示した。
さらに、気候変動を止めるために新たに開始した「機能強化中止」を求める署名運動の意義を強調した。「日本各地でもゲリラ豪雨被害が相次ぎ、中国、パキスタンなどで大水害が発生している。航空機が温暖化ガス排出の原因。若者の未来をかけて、成田を廃港にすることが気候変動阻止の闘いだ」
そして南西諸島、沖縄で進められる軍事基地化、ミサイル配備に対する怒りを表し、「これ以上沖縄に戦争被害を押し付けることは許されない。成田を軍事空港にさせず、戦争反対・機能強化反対を掲げて闘う」と決意を表した。

「判決が出て終わりじゃない。まだまだ闘える」と確信を語る市東孝雄さん

続いて大きな拍手で迎えられ、市東さんが発言に立った。「北原さんはよく、『三里塚の裁判では、内容的には誰が見てもこちらの勝ち、でも判決では負ける』と言っていた。でも、判決ですべてが終わったわけではない。まだ耕作権裁判は係争中。今度の判決で強制執行ができると言っても、全部取るわけにはいかない。まだまだわれわれの闘う余地はいくらでもある。日ごろからの皆さんとの団結を強化し、厳しい闘いになると思いますが、がんばりましょう。今日のデモを貫徹しよう」
連帯発言として最初に動労千葉の中村仁副委員長がマイクを握った。「動労千葉もこの6月の定期委員会で、われわれは鉄道を戦争に使わせないと宣言した。労働者、農民、市民が団結すれば戦争を止められる、安倍国葬を粉砕できる。今日のデモを貫徹し戦争に突き進む岸田を倒そう」
さらに、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、各参加団体が共に闘う決意を表した。
婦人民主クラブ全国協議会の川添望さんは、三里塚と連帯して神奈川での「国葬反対キャラバン」などの闘いが前進していることを報告した。
全国水平同盟杉並支部の狩野正幸書記長は農地決戦をともに闘うことを誓い、狭山再審闘争の「事実調べ開始か、棄却か」の重大局面到来を強調した。
星野再審連絡会議は、天神峰農地の一角に分骨されている星野文昭さんの遺志を継いで、彼の命を奪った国家権力の責任を取らせる国賠訴訟に勝利する決意を表した。また、所内で新型コロナの大クラスター発生した横浜刑務所に対し、須賀武敏さんをはじめ収容者全員の解放を要求して闘うことを訴えた。

「安倍国葬粉砕を」と9・23闘争への結集を呼びかける全学連

ここで婦人行動隊の宮本麻子さんが、9・2新やぐら控訴審反動判決に対する「弾劾声明」を読み上げ、「体をはって市東さんの農地を守りぬき、空港廃港まで闘いぬく」との反対同盟の不動の決意を示した。

続いて全学連の学生が決意表明に立った。「50年を超える三里塚の闘いがあったからこそ、『階級闘争とは帝国主義に対する実力闘争』という常識が定着し、広がった。米日帝国主義の中国侵略戦争阻止しよう」と訴え、9・23安倍国葬粉砕闘争への結集を呼びかけた。さらに、1971年渋谷闘争で殺人罪ででっち上げ起訴された大坂正明さんの初公判が、10月25日に迫ったことを告知し、勝利を誓った。
決戦本部長の太郎良陽一さんが「強制執行来るなら来い!の決意で闘い、今も敵に一指もふれさせていない。大義はわれわれにある。団結をさらに固め、より多くの人を結集しこの地を守り抜こう」とまとめ、10・9全国集会への大結集を訴えた。、最後に力強く「農地死守、機能強化粉砕」のシュプレヒコールを行った。

全参加者は、旧小見川県道前に建つ反対同盟の看板前に集合。そこに書かれた「強制収用実力阻止」の気概そのまま、こぶしを突き上げた。
その後車両で、現在のB滑走路北端近く、十余三の「成田市市民農園」前に移動し、そこから反対同盟を先頭にデモに出発した。

旧小見川県道に並び「やぐら・看板、農地を守り抜くぞ」と参加者は決意のこぶしを突き上げた

東西に走る東関東自動車道を横断。高低差の激しい狭い道を進み、東関道をまたぐ赤い進入灯が頭上に迫る。
暫定滑走路として供用開始されたB滑走路はこれまでも2度にわたる北延伸を行い、ジェット機は東関道の真上を横切る危険な離着陸を行ってきたわけだが、このたびの機能強化では東関道を地下トンネル化して(430メートル)その上に延長滑走路を築こうというのだ。その準備工事として、切り回し道路(仮設道路)をまず造るのだという。
NAAの資料によれば、東関道切り回し工事での切土15万立方メートル、盛土6万立方メートル、北延伸造成工事での切土120万立方メートル、盛土330万立方メートル。この地域の地形、水系などをことごとく破壊するとてつもない規模の難工事だ!(東京ドーム一杯が124万立法メートルとされる)
炎天下、デモは滑走路延伸予定地を進み、宣伝カーからは宮本さんの「農地死守、機能強化粉砕」の訴えと、「反対同盟の歌」を一帯に響かせた。畑地は残っているが、このあたりの用地買収はほぼ済んでいると言われ、あちこちにNAA所有地の小看板がある。現在の航空保安無線施設(誘導電波発射装置)、延長滑走路の北端地点などを確認。今は静かな風景だが、造成が始まれば殺伐とした工事現場に変貌する。廃港の危機にある成田にはあらゆる意味で「無用」な工事だ。粉砕あるのみ。

赤い橋梁のように見えるのが東関道をまたぐ現在の進入灯。この一帯をこの高さまで埋め立てて滑走路にしようとしている。東関道はトンネル化される。とんでもない大規模破壊だ

デモ隊は機動隊の規制と猛暑を打ち破って周回デモを貫徹し、「農地、やぐら・看板を守り抜き、軍事転用を許さず成田を廃港に」の決意を打ち固めた。

集会に先立ち、市東さん宅離れで反対同盟の記者会見が開かれた。
マスコミ数社が参加し、「弾劾声明」などの資料が配られた。「判決を受けて同盟はどう対応するのか」などの矢継ぎ早の質問に対し、市東さんが泰然自若として「これまで通り闘うだけ」と答えると、記者たちは納得の表情でうなずいていた。(TN)

集会に先立ち市東さん宅離れで記者会見が開かれた(9月4日 成田市)

スケジュール

◎天神峰夜カフェ
 10月8日(土)午後5時、天神峰の市東さん宅中庭集合
 
◎10・9三里塚全国総決起集会
10月9日(日) 成田市赤坂公園 正午、集会開始、午後2時30分、成田市街デモ出発
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

直射日光と強い風を受けながら、参加者全員がデモを貫徹した

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