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三里塚新やぐら裁判、東京高裁が控訴棄却の反動判決

東京高裁・渡部裁判長の反動的控訴棄却に怒りを爆発させ、裁判所へ向けて「農地を守り抜くぞ!」「やぐら・看板を守り抜くぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた(9月2日 霞が関)

9月2日、東京高裁第2民事部・渡部勇次裁判長は、新やぐら控訴審で極悪の反動判決を打ち下ろした。市東孝雄さんの天神峰農地に建つやぐら、看板など四つの工作物について、「収去と土地の明け渡しを命じた原判決を取り消せ」との三里塚芝山連合空港反対同盟の訴えを退け、控訴を棄却し、しかも「仮執行宣言」を付けたのだ。これによって、判決の確定を待たずに、成田空港会社(NAA)は天神峰農地の強奪とやぐら・看板の破壊・撤去を行うことが法的には可能になる。絶対に許すことはできない。
開廷前から異様なまでの弾圧態勢が敷かれていた。霞が関の東京高裁前には警視庁の公安警察官数十人が布陣し、傍聴に来た人々を監視し威圧している。102号法廷の入り口は密集した裁判所職員によって固められ、廷内にも傍聴席を包囲する形で屈強な職員がすき間なく立ち並び、しかもほとんどが手袋を装着している。あからさまな暴力的鎮圧部隊だ。反対同盟をはじめ傍聴席を埋めた百人近い人々の怒りが一層高まる。
被控訴人NAAの代理人は全員欠席。
午前11時、裁判官3人が現れ開廷すると、直ちに渡部裁判長が判決の言い渡しを行った。
「主文、本件控訴を棄却する」
その瞬間、法廷は怒号で満たされ、裁判長の声はかき消された。「ふざけるな!」「農民殺しへの加担だ!」「絶対に認めない!」
渡部は続けて、「仮執行できる」と主文を読み上げると、即座にその場から逃亡した。途端に裁判所職員が前面に張り出し、傍聴者に退廷を促す。傍聴者全員が徹底的に抗議をたたきつけ、激しい怒りで法廷を揺るがした。
裁判所門前に再結集し、太郎良陽一決戦本部長のリードで裁判所にシュプレヒコールを上げ、憤りを爆発させた。「控訴棄却を許さないぞ!」「やぐら・看板を守り抜くぞ!」「安倍国葬粉砕!」

弁護士会館で開かれた報告集会。顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が、「現地実力闘争と連帯して上告審闘争に勝利する」と決意を表す

その後、全員が弁護士会館に移動し、判決正本を受け取った弁護団を迎え入れて報告集会が開かれた。司会を伊藤信晴さんが務めた。
最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が発言に立ち、「詳しい検討はこれから」と断った上で判決理由の反動的な核心点を批判した。
◇市東家に秘密裏に空港公団(NAAの前身)が転用の見通しも計画もないまま旧地主から用地を「取得」して、15年も所有権移転手続きを行わず農地として使わせていたことは、農地法第5条違反。
◇農地を農地のまま利用することを目的として「取得」したとすれば、農地法第3条違反。
◇千葉県知事の許可なく行われた農地賃貸借解除は、農地法第20条違反。
以上のような弁護団が行ってきた主張に対し、判決は、「激しい空港反対運動があって用地買収を進めるのは容易ではなかった。空港敷地への転用目的で農地を取得したとしても、公団が具体的な転用計画を立て敷地を整備することができなかったのは仕方ない。成田建設のための農地転用は、事業の公益性・公共性から、県知事の許可は不要」などと、全面的にNAAの立場に立って退けた。

市東さんの天神峰農地に建つ、反対同盟の監視やぐら・看板

さらに、やぐら・看板が建つ土地について、反対同盟が市東さんから設定を受けた使用借権(無償で借りる権利)は「農地法に違反し無効だ」と決めつけた。
専門家証人による「航空需要の減少は回復しない」との予測については、「証人の一つの見解」と切り捨てた。

そして最後に仮執行について、農地法裁判、請求異議裁判の判決が「すでに確定している」ことを振りかざし、「仮執行宣言を付す必要がないとする理由は見当たらない」との非論理を並べてお墨付きを与えた。
葉山弁護士はこの判決理由を、「NAAの主張のコピー&ペーストであり、とんでもない憲法違反。直ちに上告手続きし、仮執行宣言に対しては執行停止の申し立てを行う。上告審を徹底的に闘う」と述べた。
続いて弁護団一人ひとりが怒りを込めて、控訴棄却を弾劾した。特に、成田の「公共性」を押し出し「国策」として何がなんでも機能強化を進めようという凶暴性の背後には、現実の成田廃港の危機があることが強調された。
最後に、婦人行動隊の宮本麻子さんが発言に立った。「渡部裁判長の控訴棄却、仮執行宣言付き判決は許せない。反対同盟は、裁判闘争、現地実力闘争などあらゆる手段で闘い、市東さんの農地を守り勝利します。仮執行宣言がついたことで、天神峰農地はいつでも強制執行は可能という状態になっています。現在、決戦本部を中心に毎晩の座り込みを続けていますが、さらに強化して取り組みます」と反対同盟の固い決意を鮮明にした。

「反対同盟は市東さんの農地を実力で守り抜く。9・4現地闘争、10・9全国集会に結集を」と呼びかける婦人行動隊・宮本麻子さん

そして宮本さんは当面する闘争方針として、B滑走路北延伸予定地をデモ行進する9・4現地闘争、成田市赤坂公園を会場にした10・9全国総決起集会、その前日の10・8天神峰夜カフェを告知し、「市東さんの農地を守り、空港機能強化粉砕、岸田政権打倒へ闘おう」と力強く呼びかけた。(TN)

☆婦人行動隊・木内敦子さんの談話
今日の判決は本当に許せない。ついに向こうが一歩踏み込んできたという気がする。その踏み込みにストップをかけ、さらにこちらから一歩前に出ないと、あっという間にやられてしまう。多くの人が現地闘争、裁判闘争に来ていただけるよう熱望しています。

婦人行動隊・木内敦子さん

 

 

 

 

 

 

 

スケジュール
◎B滑走路北延伸阻止!9・4三里塚現地闘争
9月4日(日)午後1時 天神峰の市東さん宅中庭集合。集会後、成田B滑走路延伸予定地デモへ

◎天神峰夜カフェ
 10月8日(土)午後5時、天神峰の市東さん宅中庭集合
 
◎10・9三里塚全国総決起集会 

10月9日(日) 成田市赤坂公園 正午、集会開始、午後2時30分、成田市街デモ出発
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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