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三里塚一坪共有地裁判で更新意見

20150418b-1.JPG 4月16日、千葉地裁民事第5部(松並重雄裁判長)で、一坪共有地裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、勝利の気概に燃えて闘った。
 今回は冒頭に、右陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、弁護団から意見陳述が行われた。
 この裁判は、千葉県が成田空港4千㍍滑走路北端近くにある駒井野の一坪共有地を、土地の共有者である故鈴木幸司さん、いとさん夫妻に明け渡すよう求めて06年に提訴したものだ。

20150418b-2.JPG 千葉県企業庁は「新産業三角構想」による「成田国際物流複合基地計画」の一環として、この一坪共有地を強奪し、一帯の土地を造成し成田空港会社(NAA)に譲渡するというのだ。
 だがそんな大げさな名前がついた事業計画は、提訴から9年たって、根本から破綻している。膨大な債務が残り、企業庁は今年で解散と決まっている。県側はその事実を再三指摘されながら現状説明すら行わず、一坪共有地強奪の裁判は続けているのだ。
 そして、この一坪共有地は、空港反対運動の中でつくられた「三里塚に土地を持つ会」の組合所有であり、共有者個人から買収することはできない。ましてや、金銭補償の形をとって共有権を強引に奪う「全面的価格倍賞方式」の適用は、違法・無効だ。
 千葉県はこれまで空港建設の促進者となって、天神峰・市東孝雄さんへの農地強奪攻撃に加担してきた。また千葉地裁を始め裁判所も、空港に肩入れし著しく不公平な裁判を行ってきた。このような「国策裁判」を許さない。裁判所は本件訴訟を却下せよ。
 以上のような弁護団の強く鋭い批判に満ちた陳述に、県の代理人弁護士たちは首をうなだれて沈黙するばかりだ。
 さらに弁護団は、学者、県企業庁、NAA幹部など7人の証人の採用を強く要求し、尋問事項書を提出した。
 次回期日を6月18日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で、報告集会が開かれた。
 葉山岳夫弁護士を始め弁護団が法廷を解説し、特に、破綻した事業のために、全面的価格倍賞方式という民法に規定がない例外的な方法で共有地を奪おうとする卑劣なやり口を断罪した。
 さらに弁護団から、重要な事実が報告された。東京高裁の市東さん農地裁判控訴審で右陪席裁判官だった定塚誠が、4月10日に法務省訟務局(しょうむきょく)の局長に就いたことだ。
 訟務局は国がかかわる裁判への対処を行う機関。要するに、法務省に属する検事や裁判官の出身者が国の代理人=「国側の弁護士」を務めるということだ。訟務局は01年の省庁再編で廃止されていたが、原発差し止め、基地被害などの訴訟が近年激増したため、今年14年ぶりに復活した。定塚はそのトップとして、住民の訴えを押しつぶし、国策を推進する任についた。そういう人物が3月まで農地裁判控訴審の裁判官席に座り、小林裁判長とともに結審を強行したということだ。
 まさに三里塚闘争は国家権力中枢と対決し、国策攻撃との最前線に位置しているのだ。新聞記者からも、この点に熱心な質問が集中した。
 そして弁護団はあらためて、複数の三里塚裁判はどれ一つおろそかにできない重要な闘いであり、勝利のために傍聴・支援が欠かせないことを訴えた。
 最後に、動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立った。「航空機事故の多発、JR山手線の事故などの根本にあるのは、外注化による指揮命令系統、連絡網の大混乱ということではないか。今日は韓国セウォル号事故の1周年。新自由主義の破綻は全世界的に明らかだ。民主労総はパククネ政権打倒のゼネストへと進んでいる。動労千葉も全力で闘う」
 集会後、反対同盟と支援連は千葉市繁華街に繰り出し、さらに動労千葉、県内の労働者も加わって、農地取り上げ反対3万人署名と裁判員制度反対の情宣活動を行った。(TN)

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