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三里塚第3誘導路裁判―住民無視の空港拡張許すな

第3誘導路裁判閉廷後に千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。顧問弁護団事務局長・葉山岳夫弁護士がNAAを追い詰めている手応えを確認(10月22日)

10月22日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で、第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、成田空港廃港の気概に燃えて闘った。7月の期日が新型コロナ状況で中止になったことで、約半年ぶりの開廷となる。
この裁判は、反対同盟が国と成田空港会社(NAA)に対し、B滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という、二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めているもの。
さらに今成田は当初の「基本計画」を完全に無視して、空港機能強化・第3滑走路建設(敷地の2倍化!)へと進もうとしているのだ。開廷早々、弁護団は怒りに燃えて準備書面の陳述に立ち上がった。
NAAの空港建設の手法は、①地元へのあいまいな計画の提示、②野放図な拡張工事の強行と既成事実化、③さらにそれを前提とした拡張計画の提示、これらを繰り返すことであった。当初2500メートルとして計画されていたB滑走路は、南側に位置する東峰地区に阻まれて暫定滑走路として2180メートルで供用開始され、その後北に延ばされて2500メートル化した。これは、東峰の住民に殺人的騒音の恒常化で圧力を加え続け、追い出した後に南側にも延伸し、併せて3600メートルに及ぶ巨大滑走路にしたいという悪らつな意図をはらむものであった。

基本計画を無視し、その時々のつごうで拡張・施設建造を繰り返してきた成田空港。第3滑走路建設で敷地は2倍化、全長10キロに。コロナ状況の中で需要は激減し、今や住民にとって単なる「巨大迷惑施設」と化している

成田空港建設において、基本計画は単なる「目安」「概要」ではなく、重要な骨子であり、逸脱を許さない強制力を持つ。それがまったく無視され、既成事実化の上に新たな建設計画を積み重ねる。こんなやり方で迷惑施設を押し付けるとは、住民を愚弄し人権侵害を際限なく拡大することだ。
被告であるNAAと国は、ことの重大性を理解できないふりをし議論をはぐらかそうとしているが、明確な憲法違反であり許されない。
NAAは、成田空港の21年上期の国際線旅客数が前年同期比89%減の68万6千人で過去最低と発表した。コロナ不況で成田は存続の危機にさらされている。世界の航空会社も深刻な経営危機に陥っている。右肩上がりの航空需要増大を見込んで行われた滑走路延伸や誘導路建設は無用であり、各変更許可処分には重大な誤りがあったことは明白だ。この上、施設を造ることで需要が増えていくかのようなまやかしの主張で機能強化を進めるのは論外である。白紙撤回せよ!
さらに弁護団は、NAAが空港周辺住民に対してこの間実施した「健康影響調査」の結果について、全面的に開示することを要求した。
被告席にはNAAと国の代理人弁護士が12人も居並び、山のように書類を机に重ねているが、押しなべて心もとない表情で視線を落とし口をつぐんでいるだけだ。
内野裁判長は淡々と手続きを進めながら、無表情を装っている。次回期日を1月28日、次々回を4月22日として閉廷した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、弁護団が発言し、一つひとつの裁判闘争の積み重ねで市東さんの農地を守り抜くことを確認しあった。
ユニオン習志野の菊池晴知委員長が連帯発言に立ち、船橋市での「棘2」上映会の成功を報告し、11・7全国労働者集会への参加を呼びかけた。
最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、現地で強制執行阻止態勢をとっていることを報告し、その闘いの一環としての10月31日の天神峰カフェ開催を告知した。(TN)

田村明比古NAA社長。「施設を造ることで需要が増えていく」という大ペテンで空港機能強化を進めようとしている

スケジュール
◎天神峰カフェ 10月31日(日)正午 市東さん宅離れ集合

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